・・・医療・福祉関連の資格ってことは、介護福祉士とらなきゃいけないの?
介護福祉士取得までは最低3年かかりますけど、早く取れる介護の資格もあります。
介護の主な資格の一覧をリンクに貼っておくので、確認してみてくださいね。
認知症介護基礎研修ってどんなの?
認知症介護基礎研修とは、文字通り認知症ケアのキホンのキを学ぶための研修です。
研修自体は、認知症の知識不足や、ケア方法を間違っている介護職員が増加している状況を改善するために2014年から始まっています。
厳密に言うと、認知症ケア関連の研修はもっと前からあって、
- 認知症介護実践者研修
- 認知症介護実践リーダー研修
- 認知症介護指導者養成研修
の3ステップで2001年から始まっています。
介護保険創設間もなくですね。
ただ、①実践者研修の受講可能要件が「認知症介護2年以上」という、第1ステップからもはや初任者じゃないハードルが設けられていました。
2年も知識のない人に介護されてはよろしくないね、という考えから、新たに基礎を学べる第1ステップを設け、4ステップになったのでした。
研修の内容は?
認知症ケアを行う上で重要なのは、チームアプローチであると言われています。
一人で介護することはもちろん、介護職員だけで介護することにはどこかで必ず無理が出てくるからです。
なので、医療面や栄養面、家族の協力などが不可欠であり、それが介護職員を含めた認知症ケアのチームになるという考え方です。
多職種連携とも言いますね。
認知症介護基礎研修は、認知症の基本知識に加えて、そのチームの一員としての心構えを学びましょうという感じです。
カリキュラムは実施する自治体によって多少変わると思いますが、ラインナップの例としては↓の内容で計6時間からなります。
- オリエンテーション
認知症を取り巻く現状 - 講義
認知症の理解と対応の基本(認知症の定義やケアの理念・基礎技術等) - 演習
認知症ケアの実践上の留意点(コミュニケーションや行動背景を理解したケア等)
eラーニングができる自治体もあります。
時代ですねえ。
受講するには?
認知症介護基礎研修の受講対象者は、介護施設や介護サービス事業所の職員です。
職員であれば、その年度の開催に合わせて受講できます。
ただ、訪問入浴介護以外の訪問系サービス、ケアマネ、福祉用具事業所は対象外らしいです。
ケアマネと福祉用具事業所は何となくわかるとして、なぜ訪問系サービスのほとんどが対象外なのかについては後述します。
受講申し込みは個人ではできません。
あなたが所属する施設・事業所が行います。
これまでも、初任者研修の感覚で新人に受講させる施設・事業所は多かったみたいです。
開催場所・日時は?
開催場所や日時は、研修を実施する自治体によるので、あなたの所属する施設・事業所にお任せするしかないですね。
どうせ「行け」って言われるので。
参加費は無料ですが、テキスト代が1,000~5,000円程度かかるところもあるらしいです。
施設・事業所で持ってもらいましょう(てへ)
試験はある?
この研修に試験はありません。
カリキュラム通りに受講し終えたら、受講証明書がもらえます。
キホンのキというだけあって、未経験者向けのやさしい内容です。
受講の義務化ってどういうこと?
義務化に至る背景
認知症関連の研修会や勉強会などに参加する度耳にするのが、認知症患者数の推移です。
認知症患者の爆発的な増加について、国も憂慮しています。
2025年問題然り、今後の超高齢化社会を迎えるに当たって、もう数をどうこうするよりも、その数相手にケアの質を上げてくしかないという結論に至ります。
これは今のところ致し方ないですね。
ということで、ケアの質底上げのための対策のひとつとして、2021年度より、医療・福祉関連の資格を持たない介護職員に対して、認知症介護基礎研修受講を義務化されました。
正確には、2021年度~2023年度の間は経過措置として、各事業所に「なるはやで実施してね」という努力義務が課せられています。
経過措置の開ける2024年以降から、完全な義務化となっています。
また、無資格の新人さんは、(新規・中途問わず)採用されてから1年以内に事業所から受講へGOサインが出されることになっています。
「働きながら学びましょう」っていう時代背景が反映されていますね。
義務化の対象外になるケース
義務化について、一定の要件をクリアしていれば対象外になるケースがあります。
ケース1:有資格者
先述の通り、受講義務化の対象者は「医療・福祉関連の資格を持たない介護職員」です。
つまり、何らかの資格を持っている(研修を受けている)場合は、義務化を免れるということです。
義務化の対象外となる資格は以下の通りです。
医療関連資格
- 医師
- 歯科医師
- 看護師・準看護師
- 薬剤師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
- あん摩マッサージ師
- はり・きゅう師
福祉関連資格
- 介護福祉士
- ケアマネージャー
- 社会福祉士
- 介護職員初任者研修修了
- 介護職員実務者研修修了
- 生活援助従事者研修修了
- 介護職員基礎研修過程修了
- 訪問介護員養成研修一級過程・二級過程修了
- 精神保健福祉士
- 管理栄養士・栄養士
当然、義務化になる前に認知症介護実践者研修・実践リーダー研修・指導者養成研修など認知症関連の研修を修了した職員も対象外です。
ケース2:養成学校・福祉系高校
養成学校
養成学校で認知症関連の科目を受講した方は対象外になります。
卒業証明書や履修科目証明書で受講したことを確認できることが要件です。
福祉系高校
福祉系高校で認知症関連の科目を受講した方は対象外になります。
福祉系高校では認知症関連の科目受講は必須なので、卒業証明書があればOKです。
ケース3:介護に直接関わらない職員等
人員配置基準上、従業者として算定されていない方や、直接介護に関わらない職員は対象外になります。
ケース4:所属する事業所
訪問入浴介護を除く訪問系サービス、居宅介護支援(ケアマネ)、福祉用具事業所は対象外となります。
訪問系サービス(介護保険)とは、
- 訪問介護
- 訪問入浴介護
- 訪問看護
- 訪問リハビリ
ですが、この内、無資格でも実施できるのは訪問入浴だけなんです。
訪問介護は介護職員初任者研修、訪問看護・リハビリは看護師や理学療法士等医療関連資格が必須なので、ここで働く時点で無資格者であることはあり得ないんです。
対象外にならないケース
ケース1:認知症サポーター等
認知症サポーター養成講座の修了者やキャラバンメイト(養成講座の講師ができる資格)を持っていても、受講の対象外にはなりません。
これは、認知症サポーター養成講座の内容が認知症介護基礎研修の内容と異なるためです。
ケース2:外国人介護職員
無資格の外国人介護職員も受講しなければなりません。
EPA介護福祉士や在留資格「介護」等の医療・福祉関連資格を持っていれば対象外になります。
まとめ
認知症介護基礎研修の義務化は、認知症にまつわる時代背景から発生したものと言えます。
介護職員としてのステップアップの足掛かりなるので、受講の機会が得られるのは将来的に良いことです。
ただ個人的には、「義務化」と言われると、「介護の仕事をしてみようかな」ぐらいの方々が少し踏み込みにくくならないかなと、多少の不安は拭えませんけどね。
僕は、軽い気持ちで介護の正解に来られる方は大歓迎です。
「介護はそんなに甘くない!」という声もありますが、別に他の仕事だって甘くありません。
資格や知識・スキルはあなたの介護職員としての働き方を良いものにする手段のひとつになります。
資格が全てではありませんが、あなたの持ち味を発揮するために、役に立つかもしれませんよ。