年齢を重ねるごとに、体力や気力の低下を感じることはありませんか?実は、それには「フレイル」という状態が関係しているかもしれません。
フレイルとは、加齢に伴い心身の活力が低下した状態を指します。身体的な衰えだけでなく、社会的な孤立や心理的な衰えも含まれる、高齢者にとって深刻な問題です。
そして、見落としがちなのが「オーラルフレイル」、つまり口の衰えです。
オーラルフレイルとは?
オーラルフレイルとは、食べ物を噛んだり、飲み込んだり、話したりといった口の機能が衰えた状態のことです。
こんな症状はありませんか?
- 飲み込みにくい
- むせやすい
- 滑舌が悪くなった
- 食べこぼしが増えた
- 柔らかいものばかり食べるようになった
- 口の渇きが気になる
「毎日歯磨きしているから大丈夫」と思いがちですが、歯磨きだけでは虫歯や歯周病、そして口周りの筋肉の衰えを防ぐことはできません。
オーラルフレイルを放置するとどうなる?
口の機能が衰えると、以下のような悪循環に陥る可能性があります。
- 食べ物をうまく噛めなくなる
- 歯茎が弱り、噛み合わせが悪くなる
- 顔の筋肉や骨が痩せてしまう
- 転倒・骨折しやすくなる
- 身体機能が低下し、車椅子が必要になる
- 外出の頻度が減り、運動不足になる
- 食欲が減退し、さらに痩せていく
- 寝たきりになる
オーラルフレイルは、全身の健康に悪影響を与え、要介護状態へとつながるリスクを高めます。研究データによると、オーラルフレイルがある人は、そうでない人に比べて寝たきりになるリスクが2.4倍、死亡率も2.1倍高まるという結果も出ています。また、認知症のリスクを高める要因としても注目されています。
今からできるオーラルフレイル予防
「まだ大丈夫」「もう手遅れ」と思わずに、今日からオーラルフレイル予防を始めましょう。
- 「あいうべ体操」で口周りの筋肉を鍛えましょう:
- 口を大きく開けて「あー」「いー」「うー」「べー」と発音する体操です。
- 舌や口周りの筋肉を鍛え、唾液の分泌を促します。
- 歯科医院での定期的な検診と口腔ケア:
- 虫歯や歯周病の治療、口腔ケア、摂食嚥下リハビリなど、専門家によるケアを受けましょう。
- 日々の生活習慣:
- バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけましょう。
- しっかりと噛んで食事をとりましょう。ひとくち30回を目安にしましょう。
- お口の乾燥を防ぐため、こまめな水分補給をしましょう。
- 日頃からお口周りの筋肉を意識して生活をしましょう。
- 唾液腺マッサージ:
- 唾液の分泌を促し、口の乾燥を防ぎましょう。
どこに相談すればいい?
ご自身の状況に合った予防・改善方法については、かかりつけの歯医者さんや自治体、ケアマネジャーにご相談ください。
オーラルフレイルは、早期発見・早期対策が重要です。些細な兆候も見逃さず、適切なケアを心がけましょう。
参考資料
- オーラルフレイルとは?|フレイル対策 – アクティブシニア「食と栄養」研究会
- オーラルフレイルをご存じですか?~お口の機能を維持するために – 町田市
- オーラルフレイル対策のための口腔体操 – 日本歯科医師会