頻尿の人の尿量は?
夜何度も起きてトイレに行く トイレに行ったばかりなのに、1分でまたトイレに行く
最初の何回かは割と我慢できるものです。
だけど、短時間で何度も何度も「トイレ」と言われると、本気でうんざりしますよね。
通常、1回に出る尿量は250~400mlと言われています。
成人が尿意を感じる始めのは200ml前後。
最大尿量は500~600ml。
最大に達すると、膀胱パンパンで「もれる~!」って感じです。
子どもの場合は膀胱が小さいので、200mlの時点で結構切迫した状態になります。
だから子どもはお漏らししやすいのかもしれません。
実は、膀胱の容量については高齢者の頻尿にも共通します。
高齢で頻尿の人の「1回の尿量」はどれくらいかご存知ですか?
概ね、1回につき100ml以下。
全く出ないこともありますね。
正常であれば尿意を感じない量でも、トイレに向かってしまう。
その結果、出し切った感に達することなく排尿を終えるので、すっきりできずにまたトイレに行きたくなります。
頻尿の原因も様々だけど、その中でも特に多い原因が、次の3つ。
①飲み物
②思い込み
③膀胱
ひとつずつ解説します。
頻尿の原因3選
①飲み物
カフェインの入った飲み物には利尿作用があります。
コーヒーとか、緑茶・紅茶などがそうです。
個人差はあるものの、成人の1日の適切な水分量は、食事を除き1500ml。
ですが、高齢者で1日にこれだけの水分を摂るのはなかなか難しい。
その割に、コーヒーや緑茶が好きな方って意外と多いですよね。
実際のところ、適量の水分に達していないのに、そういう利尿作用のある飲み物を好む方が多いです。
すると、通常量の尿が溜まってない状態なのに、尿を出そうとしてしまう。
尿意だけが先行して、何度もトイレに行きたくなってしまう。
コーヒーが好きで、トイレ行く割には少量ないし全く出ない人の場合、これが原因の可能性があります。
さらに言うと、お酒(特にビール)を飲む方はコーヒー以上に利尿が進むので注意が必要。
②思い込み
「飲むとトイレ行きたくなるから飲まない」
「飲んだらすぐトイレ行きたくなる」
そう話す方は非常に多いです。
でも、「飲んですぐトイレに行きたくなる」のは、実は勘違いである場合があります。
水分を取ってから、腎臓を介して膀胱に尿が溜まるまで、通常3~6時間かかると言われています。
排出に至るまで2日という話もあります。
なおかつ、尿に変わるのは飲んだ水分の1%。
つまり、200mlの水を飲んだら、尿に変わるのはほんの2mlだけということです。
他の99%の水分は腎臓で再吸収されて、全身をめぐります。
なので、飲んですぐトイレに行きたくなるのは気のせいであることが多く、実は糖尿病など別の要因が頻尿につながっていることもザラにあるんです。
③膀胱
子どもであれば、もともと膀胱が小さい。
高齢者の場合は、何らかの原因で膀胱が小さくなっている場合があります。
これは、神経質な方に起こることが多いです。
失禁など排泄の失敗を恐れる人は、膀胱に100ml程度しか溜まってない状態でトイレに行くことが多いんです。
その分トイレの回数が多くなるわけですが、正常な量まで尿が溜まらないうちに排出する習慣がつくと、膀胱は怠けるようになります。
その結果、容量が100~200ml程度まで小さくなります。
すぐに膀胱がいっぱいになるので、嫌でもトイレ行きたくなってしまう。
他にも、容量だけでなく、膀胱や骨盤底筋群の柔軟性の低下が原因である可能性もあります。
筋肉や内臓は、加齢や薬、廃用症候群などが原因で、血流が悪くなって固くなります。
もともと膀胱は、臓器の中で一番心臓から遠いので、血流が悪くなりやすいです。
膀胱が固くなると、尿が溜まっても膨らみにくくなるため、容量がすぐ臨界に達します。
また、骨盤底筋群とは、膀胱や子宮などをハンモックみたいに支えているものです。
これが固くなると、筋の開いたり閉じたりする運動がうまくできなくなり、つられて尿道のしまりも悪くなります。
女性の場合は出産によって損傷することもありますね。
他に、病気によるものがあります。
例えば尿道や膀胱に結石ができると、結石が転がった刺激で膀胱が収縮してしまう。
がんや炎症などでも同様のことがあります。
意外と忘れがちなのが、利尿剤を飲んでいる場合。
これはその名の通り、排尿を促すものなので、飲めばその分トイレに行きたくなります。
頻尿を改善する方法
頻尿の原因を挙げれば他にもいくつか出てきますが、多くの人の原因は、先に挙げた3つに該当します。
なので、
①飲み物
②思い込み
③膀胱
これら改善することで頻尿が落ち着く場合が多いです。
①飲み物を変える
コーヒーやお酒など、利尿作用の強い飲み物は控えましょう。
好きなものやめるのはストレスがつきものですが、水分補給の基本を水にして、コーヒーなどは1日1~2杯に抑えましょう。
水分補給量は、徐々にでかまいませんので、目安の1日1500mlに近づけていきましょう。
②思い込みの殻を破る
人の体は不思議なもので、強い思い込みが実際に現れることがよくあります。
プラセボ効果というもので、医療・介護現場ではよく、
「腹が痛いから薬くれ!」
など連日訴えるけど実際には異常ない時などに、フリスクやビタミン剤などを薬と偽って(偽薬)渡すと、それで訴えが落ち着くことがよくあります。
新薬の臨床試験でも、効果の比較のために偽薬が使われますね。
頻尿については、先にお話しした通り、
「飲むとトイレが近くなる」
という思い込みで起こっている場合があります。
その思い込みの殻が破れれば、案外すんなり頻尿がおさまるかもしれません。
③思考と膀胱を柔軟に
トイレの失敗を恐れるあまり何度もトイレに行きたくなる場合は、
「トイレに行きたい気がする…」
と思い始めてから30分~1時間、我慢してみてください。
最初は失敗するかもしれませんが、続けると徐々に膀胱の容量が増えていき、頻繁に行きたくなることが減ります。
また、膀胱と骨盤底筋群の柔軟性を高めるストレッチなどがあります。
動画を検索すればたくさん出てくるので、やりやすいものを選んで実践してみてください。