介護の仕事をしているあなた・・・一度は頭を抱えたことがあるのではないでしょうか。
頻尿さんのケア。
大変通り越してもはや苦行ですよね(-_-;)
トイレ介助して、席に戻った途端に「トイレ」と言われる。
極端な場合、トイレを出た瞬間に踵を返してまたトイレに入る方もいます。
僕も特養にいた時、よく戦いました。
最初の何回かは、平常心を保って「しょうがないなー」くらいの感じで介助するんです。
それが、ある程度回数が過ぎてくると、「あーもうしょうがねえなー!」に。
他の方の対応が重なり始める頃には「さっき行ったばっかでしょ!」(゚Д゚;)
モラル的にそういう事言っちゃダメなのはわかるんですけど、つい口をついちゃう時ってありますよね。
それは仕方がない。
僕の個人的な考えですが、「(怒りの)感情を表に出すな」とか、「ストレス管理をしっかりしろ」とか、モラルの押し売りをする施設はブラックです。
徳の高いお坊さんとか修道女さんでもできない人はできないでしょう。
ましてや、介護職員は聖人ではありません。
少し話がそれましたが、頻尿に対する職員のイラつきに対しては、
- とにかく耐えて介助する
- 職員入れ替わりで対応する
- 頻尿の方の気を紛らわしてトイレ回数を減らす
せいぜいこんな対応しかないですかね。
③はまだ、認知症ケアの応用みたいな感じでいいかもしれません。
でも、①と②は、はっきり言って逃げの一手です。
なにも解決しているわけではないので、結局これが24時間、365日続きます。
解決したくないですか?
先ほどの①と②みたいな、「結局職員が我慢するしかないんでしょ?」的な対応を続けていては、ストレスを溜める一方です。
僕もそれで出勤が嫌になったことがあります。
施設の通用口をまたいだ瞬間に具合悪い気がする・・・みたいな( ̄▽ ̄;)
しかも職員だけでなく、職員のイラつきを感じ取った利用者さん(認知症であったとしても、その辺の感覚は鋭いんですよ)もまた、ストレスを感じてしまいます。
下手すると、そのストレスが頻尿を増進させるかもしれません。
この悪循環を断ち切るために、頻尿を改善することをおすすめします。
「当たり前のこと言ってる」とお思いかもしれません。
でも、それができずに職員に我慢を強いているのが現状です。
泣き寝入りする必要はありません。
頻尿を改善する方法、とにかくやってみてください。
頻尿の原因
尿の量
正常の場合、1回に出る尿の量はどれくらいかご存知ですか?
正常な尿量は、1回につき250~400mlと言われています。
成人が尿意を感じるのは200ml前後、最大尿量は500~600mlです。
最大尿量の頃には膀胱パンパンで限界感じる頃ですね。
子どもの場合は膀胱が小さいので、200mlの時点で結構切迫した状態になります。
だから子どもはお漏らしが多いと言われるんですね。
子どもの話ではありますが、これもお年寄りの頻尿とつながる部分があります。
では、高齢で頻尿の方の1回の尿量はどれくらいだと思います?
頻尿の方は、1回につき100ml以下です。
正常であれば尿意を感じない程度でも、尿意を感じてトイレに向かってしまいます。
その結果、出し切った感に達することなく排尿を終えるので、またトイレに行きたくなるんです。
主な原因
頻尿の原因も多岐にわたりますが、その中でも特に多い原因が、この3つです。
- 飲み物
- 思い込み
- 膀胱
ひとつずつ解説しますね。
飲み物
飲み物と言われて、何となく想像がつくかもしれませんが、多分当たってます。
カフェインの入った飲み物です。
コーヒーとか、緑茶・紅茶などですね。
カフェインには利尿作用があります。
言ってしまえば、摂取した分だけ、水分を尿に変えようとするわけです。
ただし、ここ勘違いしがちなとこなので気を付けてください!
カフェインを摂るなってことではありません。
控えた方がいいのは事実ですけどね。
1日の適切な水分量は、成人の場合、食事以外で1,500mlです。
これ、体重にも左右されますけどね。
お年寄り(特に要介護状態の方)でこれだけの水分を摂るのって、難しくないんですよね。
その割に、コーヒー好きなお年寄りって結構多くないです?
多くの方は、適切な量の水分を摂れていないのに、利尿作用のある飲み物を飲んでしまいます。
すると、出る分の尿が溜まってない状態なのに、尿を出そうとしてしまう。
すると尿意だけが先行して、何度もトイレに行きたくなってしまうんです。
コーヒーが好きで、トイレ行く割には少量ないし全く出ない人の場合、これが原因の可能性があります。
思い込み
お年寄りあるある。
「あんまり飲むとトイレ行きたくなるから飲まない」
中には「飲んだらすぐトイレ行きたくなる」って人も多いですね。
でも、「飲んですぐ行きたくなる」のは、実は間違いなんです。
水分を取ってから、腎臓を介して尿が溜まるまで、通常6時間かかると言われています。
なおかつ、極端な話、尿に変わるのは摂った水分の1%。
つまり、200mlの水を飲んだら、尿に変わるのは2mlなんです。
他の99%の水分は腎臓で再吸収されて、全身をめぐることになります。
なので、飲んですぐトイレに行きたくなるのは、気のせいなんです。
神経質な方がおちいりがちですね。
失禁などの失敗を恐れるあまり、何度もトイレに行くとかね。
膀胱
子どもは膀胱が小さいとお話ししましたが、何らかの原因で膀胱が小さくなっているお年寄りもいます。
これは、神経質な方に起こることが多い状態なんです。
失禁などの失敗を恐れる人は、膀胱に100ml程度しか溜まってない状態でトイレに行くことが多いですよね。
運動しないと筋肉が衰えるのと一緒で、正常な量まで尿が溜まらないと、膀胱は「ま、こんなもんか」と怠けるようになり、100~200mlに収まる程度に小さくなってしまいます。
結果、嫌でもトイレ行きたくなっちゃうんです。
膀胱・骨盤底筋群の柔軟性の低下が原因である可能性もあります。
加齢や薬、廃用症候群などが原因で、血流が悪くなって固くなります。
もともと膀胱は、臓器の中で一番心臓から遠いので、血流が悪くなりやすいそうです。
膀胱が固くなると、尿が溜まっても膨らみにくくなるため、すぐにキャパオーバーしちゃいます。
骨盤底筋群は、膀胱や子宮などをハンモックみたいに支えているもので、固くなると、筋の開いたり閉じたりする運動がうまくできなくなって、つられて尿道のしまりも悪くなります。
女性の場合は出産によって損傷することがあるみたいです。
他には、疾病によるものがあります。
例えば尿道や膀胱に結石ができると、結石が転がった刺激で膀胱が収縮してしまう。
がんや炎症などでも同様のことがあります。
以外と忘れがちなのが、利尿剤を飲んでた場合です。
これはその名の通り、排尿を促すものなので、飲めばその分トイレに行きたくなります。
他にも原因を挙げればきりがありませんが、この飲み物・思い込み・膀胱の3つにアプローチすることで改善する方はかなり多いです。
ということで、今からでもできる改善方法についてお話しします。
頻尿の改善方法
飲み物で改善
とにかく水を飲むようにしましょう。
適切な水分量を摂取することで、身体の中の循環も良くなり、老廃物も排出されやすくなります。
頻尿だけでなく、いろんな疾病や認知症の改善にも効果があります。
コーヒーが好きで、どうしても飲みたいって人もいるかと思います。
どうしても飲むなら十分に水を飲んだ上で、1日1杯程度にしましょう。
昨今ではカフェインレスもあるのでいいかもしれませんが、それこそ、「コーヒー飲んだら出る」って思い込みが働いちゃうかもしれないので、あまりおすすめできません。
1日の適切な水分補給量については、↓の記事で触れてます。
認知症改善についての記事ですので、ついでに参考にしてもらえればと思います。
コーヒーとかカフェインが入ってなければいいんですが、やはりここは水をおすすめします。
白湯でも大丈夫です。
例えばジュースだと、糖分が入ってますので、飲み過ぎれば別の疾病のリスクにつながる可能性が高い。
水が一番、体に浸透するので、たまにはジュースぐらい飲むにしても、基本的な水分補給は水にしてください。
理想は、毎日、1時間のうちに300mlを3回、つまり1000ml近く飲むことです。
ちょっと難しいですが、改善効果は高いです。
認知症などの改善にもつながりますよ。
でも、水道水は何かと心配って方、いますよね?
60代で亡くなったん僕の親父は、何本ものボトルを持っては、ちょくちょく公衆の湧き水汲み場に通ってました。
僕も何回か手伝わされたことがあります。
めっちゃ嫌でした(;´・ω・)
山道運ぶの重いし!
てか親父しか飲んでないし!
まあ僕の事情はさておき、水道水をそのまま飲むのが不安であれば、ウォーターサーバーがおすすめです。
これはお年寄りに限らず、一人暮らしの20代の方や、小さいお子さんのいるご家庭などにもおすすめですよ。
飲み終わった後はボトルの回収が不要で、そのままリサイクルに出せます。
毎回新品のボトルを使うので、衛生面はまず心配ありません。
サーバーのデザインも11種類あるので、お住いの部屋に合わせて選べます。
今なら他社から乗り換えで結構なキャッシュバックがあるし、初回でボトルを2本無料でもらえますよ!
疾病・認知症・頻尿だけでなく、もちろん美容にもいいので、水にはぜひこだわってみてください。
そのまま飲むのはもちろんですけど、天然水で作る料理はもっと美味しいですよ。
思い込みを改善
思い込みの改善は難しいですよね。
指示の通りにくい認知症の方はもちろんですが、年下(というか若造)に諭されるのは、屈辱的だってお年寄りもいます。
この辺は専門家である、看護師やお医者さんを通して伝えてもらうのもありですし、とりあえず「こうらしいですよー」程度に話すくらいでいいのかなと思います。
聞いてくれる方は、それで改善する可能性もありますしね。
認知症の場合は、認知症の改善だけで頻尿まで改善する可能性もあるので、そちらからアプローチしてみてはいかがでしょうか。
膀胱を改善
膀胱が小さくなっている場合
尿意を訴えていても、下腹部がパンパンにならない場合は、膀胱が小さくなっている可能性があります。
そんな方は、尿意を感じ始めてから1時間、トイレを我慢してもらってください。
そうして一度、膀胱を膨らませることで、ストレッチ効果を与えます。
しばらく続けると頻尿も改善してきますよ。
行かないと不穏になる、我慢しきれず失禁してしまうような状況の場合は、無理せず別のアプローチを検討しましょう。
骨盤底筋群が固くなっている場合
膀胱が小さくなっている人は我慢させるようにお話ししましたが、骨盤底筋群が固くなっている人には我慢させないでください。
膀胱自体は正常な大きさなのであれば、我慢すると完全にキャパオーバーします。
膀胱炎などの可能性もあるので注意です。
膀胱が小さいのと骨盤底筋群が固いのの見分け方は、ちょっと専門的なのでお医者さんか、身近に理学療法士などがいれば聞いてみるといいかな。
骨盤底筋群を鍛えることで、頻尿の改善が期待できます。
一般的なトレーニング方法は、
- 仰向けになる
- 肛門と尿道を10秒閉め、力を抜いて10~20秒リラックス
- これを10回繰り返す
ですね。
施設だと、ベッド上でおむつ交換する方に、お尻を浮かしてもらうよう促すことがありますが、それもいいトレーニングです。
ですが、認知症により指示が通りにくかったりすると、うまくできません。
「肛門を閉める」って、やってるかどうかも確認できないですもんね。
おすすめの方法を紹介しますね。
- まずは椅子に座ります。
- 座った状態で、膝の間に何かはさみます。
何でもいいです。
エクササイズに使うような小さいボールとか、丸めたバスタオルとか。 - はさんだ状態で、膝を内側にぎゅーっと力を入れます。
- 10秒力を入れたら、力を抜いて10秒リラックス。
- これを1日10回です。
これをこのまま認知症の方に言っても通らないかもしれませんが、ボールをはさんでもらって「ここに力入れてくださいねー」くらいだったら、指示が通るかもしれません。
まとめ
頻尿を改善するには、その原因にアプローチするのが一番です。
当てずっぽうでやっても、かえって大失禁になるかもしれず、ご本人の意欲を急激にそぎ落とす結果になりかねません。
お医者さんや看護師、理学療法士などに、聞き、適切なケアを行うようにしましょう。
もし頻尿の原因が、治療を要するような疾病だったりしたら、まずはそっちが治らないことには、ケアのしようがありません。
場合によっては、一時的なカテーテルなどの併用も必要です。
医療と介護で連携を図りつつ、頻尿を改善できるよう、頑張りましょう!
おさらい
- 水をしっかり飲む!
- 尿意を感じてから1時間我慢!
- 骨盤底筋群トレーニング!
これで改善するケースは本当に多いので、ぜひやってみてください!
※ご本人の状態の評価を忘れずに!