【介護のプロ直伝】摂食嚥下障害を悪化させる7つの落とし穴

↓記事の内容では、摂食嚥下障害の原因・症状について、5期モデルにおいてどのような症状などがあるか、合併症にはどのような弊害があるかという内容をお話ししています。

 

今回は、摂食嚥下障害の原因について深掘りしていきたいと思います。

 

最近、親御さんの食事中にむせる回数が増えたり、食べるのに時間がかかったりしていませんか?
あるいは、大好きだったものを食べたがらなくなった、口の中にため込むようになった…。
その「ささいな変化」は、摂食嚥下障害が悪化しているサインかもしれません。

「このままだと、食事ができなくなってしまうのでは…」
「誤嚥性肺炎になったらどうしよう…」

そんな不安を抱えながら、日々の介護にあたっている方も多いのではないでしょうか。

こんにちは。私は介護福祉士・ケアマネジャーとして20年以上、多くのご高齢者とご家族の「食」の悩みに向き合ってきました。
その経験から断言できるのは、摂食嚥下障害の悪化は、原因を知り、正しく対処することで防げるということです。

この記事を最後まで読めば、摂食嚥下障害が悪化する本当の原因が分かり、ご自宅でできる具体的な対策によって、親御さんが安全に、そして笑顔で食事を続けられる未来が見えてきます。

もう一人で悩まず、一緒に解決の糸口を探していきましょう。

 

摂食嚥下障害、つまり「安全に飲み込む力」の低下は、単に老化現象のひとつとして片付けられる問題ではありません。
その背後には、見過ごされがちな7つの要因が複雑に絡み合っています。

  1. 複数の病気や合併症
  2. 「動かない」ことで衰える廃用症候群
  3. 良かれと思ってやっている「不適切な食事」
  4. 認知症や高次脳機能障害の影響
  5. 治療や薬の知られざる副作用
  6. 避けられない「加齢」という現実
  7. 食事に集中できない「不適切な環境」

これら一つひとつを丁寧に紐解き、具体的な対策を考えていくことが、改善への第一歩です。

1. 複数の病気や合併症

ご高齢になると、高血圧や心疾患、糖尿病といった複数の持病を抱える方が多くなります。
実はこれらの病気が、間接的に摂食嚥下機能を脅かしているのです。

例えば、心臓の機能が落ちて息苦しさがあれば、食事中に十分な呼吸ができず、むせやすくなります。また、糖尿病による神経障害が、飲み込みに関わる筋肉の動きを鈍くすることもあります。

私が担当したある方は、膝の痛みが悪化したことで外出が減り、食欲が低下。結果的に低栄養となり、飲み込む体力さえも失ってしまいました。

このように、一見食事とは関係ないような体の不調が、ドミノ倒しのように摂食嚥下障害につながるケースは非常に多いのです。

【明日からできること】
ご本人の持病を改めて確認し、日々の体調変化(「最近、息切れしやすい」「足のむくみがひどい」など)に気を配りましょう。
気になることがあれば、かかりつけ医やケアマネジャーにすぐ相談することが大切です。

2. 「動かない」ことで衰える廃用症候群

入院をきっかけに、「急に食べられなくなった」というご相談を数多く受けてきました。
その最大の原因が、動かないことで心身の機能が急激に衰える「廃用症候群」です。

治療のためにベッド上で安静にしていると、全身の筋力が低下します。
もちろん、飲み込みに使う筋肉も例外ではありません。
さらに、口から食事をしない期間が続くと、口周りの筋肉がさび付き、唾液の分泌も減ってしまいます。

実際に、誤嚥性肺炎の治療後、3日目から食事を再開したグループと、4日目以降に再開したグループでは、前者の方がその後の経過が良かったというデータもあります。
これは、いかに早く「口から食べる」という機能を再開させることが重要かを示しています。

退院直後は、ご家族もご本人も「無理はさせられない」と思いがちです。
しかし、過度な安静は、かえって食べる力を奪ってしまう諸刃の剣なのです。

【明日からできること】
日中、ベッドから離れて椅子に座る時間を少しでも作りましょう。
たとえ5分でも構いません。
座ることで心肺機能が刺激され、覚醒レベルも上がります。
可能であれば、ベッドサイドで足踏みをするなど、軽い運動を取り入れるのも効果的です。

3. 良かれと思ってやっている「不適切な食事」

「むせるから、とろみをつけよう」
「食べやすいように、全部ミキサーにかけよう」

ご家族の優しさからくる、こうした工夫が、実は逆効果になっているかもしれません。

【落とし穴1:強すぎる”とろみ”】
Yahoo!知恵袋などでも「とろみをつけたら嫌がって飲んでくれない」というお悩みを見かけます。
これは当然の反応かもしれません。
なぜなら、とろみが強すぎると、ベタベタして喉に張り付き、かえって誤嚥のリスクを高めることがあるからです。
理想は、ポタージュスープ などの、サラッとしたとろみです。
焦ってとろみ剤を追加すると、時間差で固まりすぎてしまうこともあるため注意が必要です。

【落とし穴2:お粥の”離水”】
お粥は食べやすいと思われがちですが、唾液に含まれる消化酵素(アミラーゼ)によって、時間が経つと水分と米粒が分離(離水)してしまいます。
この「水っぽい固形物」は、実は飲み込むのが非常に難しいのです。

【明日からできること】

  • 交互嚥下: 食べ物と水分(ゼリーなど)を交互に摂る方法です。お口の中に残ったものを水分が洗い流してくれます。
  • 複数回嚥下: 一口食べたら、「ごっくん、もう一回ごっくん」と声をかけ、2~3回飲み込んでもらいましょう。
  • お粥のスプーン: お粥を食べる際は、一口ごとにスプーンをきれいに拭くか、水を入れたコップでゆすぐと離水を防げます。

 

4. 認知症や高次脳機能障害の影響

認知症や高次脳機能障害があると、「食べる」という行為そのものが分からなくなったり、食事に集中できなくなったりします。

  • 食べ物を認識できず、口を開けない
  • 口の中にため込んで、飲み込むのを忘れてしまう
  • 次から次へと口に詰め込んでしまう

このような症状が見られる場合、無理強いは禁物です。

私がケアマネジャーとして関わった方で、食事のたびに介助者とご本人が疲弊しきっていたケースがありました。
しかし、食事の前にご本人が好きだった演歌をかけるようにしたところ、気持ちが落ち着き、スムーズに食事に集中できるようになったのです。

【明日からできること】
その方が安心できる環境を整えることが最優先です。
食事の前に好きな音楽を聴いたり、優しく手を握って「さあ、美味しいご飯ですよ」と穏やかに話しかけたりするなど、食事を「楽しい時間」だと認識してもらうための工夫を試してみてください。

 

5. 治療や薬の知られざる副作用

ご高齢の方は多くの薬を服用していることが多く、その副作用として食欲不振や口の渇きなどが現れることがあります。
特に、複数の医療機関から同じような効能の薬が処方されている「重複投与」には注意が必要です。

また、口の中が乾燥していると、薬が喉に張り付いてしまい、そこで細菌が繁殖して誤嚥性肺炎の原因になることも。食事をしていなくても、お薬を飲む前の口腔ケアは非常に重要です。

【明日からできること】
「お薬手帳」を一つにまとめ、医師や薬剤師に見せて重複投与がないか確認してもらいましょう。
また、服薬前にはお茶や水で口を潤してから飲んでもらうようにしましょう。

 

6. 避けられない「加齢」という現実

悲しいことですが、加齢によって飲み込む力や咳き込む力は確実に衰えていきます。
筋肉が減り、喉の感覚も鈍くなるため、ご本人がむせている自覚のないまま、気づかぬうちに誤嚥している「不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)」も増えてきます。

「年のせいだから仕方ない」と諦めるのではなく、「加齢による変化」を正しく理解し、悪化のスピードを緩やかにするためのケアを考えることが重要です。

【明日からできること】
食事以外の時間でも、おしゃべりをしたり、歌を歌ったりする機会を増やしましょう。
これは、口や喉の筋肉を鍛える最高のリハビリになります。

 

7. 食事に集中できない「不適切な環境」

食事がうまく進まない原因は、ご本人だけでなく、周りの環境にあるかもしれません。

【物理的環境】

  • 姿勢: 椅子や車椅子に深く腰掛け、足が床にしっかり着いていますか?顎が上がっていると気管が開き、誤嚥しやすくなります。クッションなどを使い、少し前かがみの姿勢を保つのが理想です。
  • 視界: テレビがついていたり、人の出入りが激しかったりすると、食事への集中が途切れてしまいます。静かで落ち着いた環境を整えましょう。

【人的環境】 介助者の関わり方も非常に重要です。

  • 目線:立ったまま、上からのぞき込むように介助していませんか?必ずご本人の目線までかがみ、目を見て話しかけましょう。
  • ペース:介助者のペースで次々と口に運ぶのは危険です。ご本人がしっかり飲み込んだのを確認してから、次の一口に進みましょう。

私の経験上、介助者が少し姿勢を低くするだけで、ご本人の食べる様子が劇的に改善する場面を何度も見てきました。
小さなことですが、効果は絶大です。

【明日からできること】
一度、ご自身の介助の様子をスマートフォンなどで撮影してみることをお勧めします。
客観的に見ることで、「顎が上がっていたな」「ペースが早すぎたかも」といった改善点に気づくことができます。

まとめ

摂食嚥下障害の悪化を防ぐために、今日から意識すべきポイントをまとめます。

  • 体調管理の徹底: 食事とは無関係に見える持病や体調の変化こそ、悪化のサイン。かかりつけ医と密に連携しましょう。
  • 「動く」機会を作る: 過度な安静は禁物。日中、少しでも座る、立つ時間を作り、食べるための体力を維持しましょう。
  • 食事の工夫を見直す: とろみや食形態は、ご本人に合っているか常に疑う視点を。交互嚥下や複数回嚥下など、安全な技術を取り入れましょう。
  • 安心できる環境作り: 特に認知症のある方には、穏やかで食事に集中できる環境が何より大切です。
  • 介助方法の再確認: 姿勢、目線、ペース。ご自身の介助方法を見直すだけで、誤嚥リスクは大きく減らせます。

まずは、この中から一つでも構いません。明日から試せることを見つけて、実践してみてください。その小さな一歩が、親御さんの「食べる喜び」を守る大きな力になります。


Q&Aセクション

Q1. 食事を嫌がるようになったら、どうすればいいですか?

A1. まずは、なぜ嫌がるのか原因を探ることが大切です。体調が悪い、口の中に痛みがある、食事が美味しくない、あるいは認知症の影響で「食事」だと認識できていないなど、様々な理由が考えられます。無理強いはせず、一度食事を下げて時間をおいたり、好きなものや香りの良いもの(お味噌汁など)を少しだけ試してみたりするのも一つの方法です。どうしても食べない場合は、無理せず訪問看護師やケアマネジャーに相談してください。

Q2. むせにくい食事の姿勢を、具体的に教えてください。

A2. 基本は「深く座り、軽くおじぎ」の姿勢です。

  1. 椅子や車椅子に深く腰掛け、背中を背もたれにつける。
  2. 足の裏全体が床やフットレストにしっかりと着くように高さを調整する。
  3. 顎を軽く引き、少し前かがみの姿勢になるように、背中にクッションなどを入れる。 この姿勢をとることで、食道が広がり、気管が狭まるため、食べ物が気管に入りにくくなります。

Q3. 薬が飲みにくいようなのですが、どうすればいいですか?

A3. 薬が飲みにくい場合、まずは薬剤師に相談することをお勧めします。錠剤を粉砕したり、カプセルを開けたりすると効果が変わってしまう薬もあるため、自己判断は危険です。服薬用のゼリーを使ったり、少量のゼリーやペースト状のものに混ぜたりする方法もあります。ただし、薬によっては相性の悪い食品(牛乳やジュースなど)もあるため、必ず専門家に確認しましょう。


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