摂食嚥下障害を改善する秘訣!

↓の記事では、摂食嚥下障害の原因・症状について、5期モデルにおいてどのような症状などがあるか、合併症にはどのような弊害があるかという内容をお話ししています。

 

今回は、摂食嚥下障害の改善していくために必要不可欠な、評価についてお話ししていきます。

嚥下関係は医療側のアプローチがメインです。

でも、だからって介護職員に出番がないわけではありません。

食事は生活の基礎です。
生活の基礎を守るのは介護職員の本分ですからね。

経口摂取を適切に実践していくために、介護職員も評価について正しく理解をしておきましょう。

とはいえ、難しい表現や専門用語は僕も難しくて嫌いなので、なるべくさらっと簡単にまとめてみます。

 

摂食嚥下機能評価

経口摂取を早期の段階で実現するためには、その方の最も良い状態やその時間帯を見極めて、それに合わせて評価を行う必要があります。

状態悪い時に評価したら、いつまでたっても取り組めないかもしれませんからね。

 

評価の内容としては、フィジカルアセスメントベッドサイドスクリーニングに大別されます。

さっそく小難しいですね。
詳しく解説していきます。

どちらも、ただ摂食嚥下機能を診断して評価するだけでなくて、治療・栄養・リハビリを行っていく上での指針となる重要な情報になります。
と、ここまでは医療関係者の領分。

介護職員の出番はここからです。
評価結果だけに偏ることなく、日常生活の場面や心身機能を十分に考慮した上で、機能のステップアップを図っていくための支援をしていくわけです。

 

フィジカルアセスメント

フィジカルアセスメントとは、「フィジカル(身体的な)」「アセスメント(情報を集めて分析する)」ということです。

問診・視診・触診・聴診・打診を通していろんな情報を集めて分析します。
 日本語では「身体診察技法」と呼ばれています。

 

摂食嚥下のリハビリにおいては、

  • 脳神経
  • 呼吸
  • 筋・骨格
  • 内臓
  • 他身体各部

これらの状況を評価することが必要になります。

特に脳神経の機能を理解せずに、適切な評価をすることは難しいんです。

介護職員がそれを無理やり全部理解する必要はありませんよ。

介護分野で把握するべきは、どの部分の機能低下があって、どういったケアを行うかというところです。

つまり、医療チームが参謀、介護チームが実戦部隊です。
こう介助することで、その機能の向上が期待できる」という根拠をもってケアに当たるようにしましょう。

 

話を戻して、嚥下に関する脳神経の核は、脳幹に集まっています。

脳幹には橋(きょう)と延髄って部位があります。

橋に三叉神経、顔面神経、
延髄に舌咽神経、迷走神経、舌下神経の神経核があります。

これらは、

  • 運動
  • 知覚
  • 分泌

を司っていて、唾液の分泌や、摂食嚥下の一連の動作と密接に関わっています。

これらのどこが機能低下しているかわかれば、それに合わせたリハビリや介助ができるようになるんです。

例えば、舌下神経は舌の運動に関わります。
舌をべーっと出してもらって、舌が左側に傾いていたら、舌の左側がうまく動かせていない=左側の麻痺ということになります。

となると、舌を回旋させたり右側へも伸びるようにリハビリしたり、食事介助する場合は、麻痺のある左側に食べ物を置かないようにするなどの対応をとる、って感じです。

 

こんな感じで、それぞれの神経の機能低下を複合的にアセスメントして、その他の問題はないかなどの評価と組み合わせてアプローチしていきます。

 

ベッドサイドスクリーニング

摂食嚥下機能が低下している人の経口摂取を支援する場合、リスクヘッジが不可欠です。
窒息だの誤嚥性肺炎だの、食事は命に直結する生活動作のひとつですからね。

適切なリスクヘッジを行うために、継続的にモニタリングを行っていく必要があります。

先にお話しした通り、評価はその人の状態が良い時を狙います。
その時を引き出せるよう、日常的に口の周囲のマッサージや舌のストレッチなどを行うようにしていきます。

その人が出来ない部分をフォローしながら、良い機能を発揮してもらうことで、早期かつ安全に経口摂取を実施する条件を導き出せるんです。

 

このスクリーニングを行うタイミングは、施設側の認識によってまちまちではあるんですが、病状の悪化がない限りは、すぐにでもアセスメント・スクリーニングを実施できるように、口腔ケアや姿勢確保などのケアを行っていくようにします。

リスクヘッジしながら、早くに少量ずつでも実施を始めることが、早期の改善につながります。

 

まとめ

摂食嚥下障害を改善する秘訣は、その人がどのような状態になるかを正確に評価し、何を訓練すれば安全に食べられるようになるかを導き出すことです。

「むせやすいから刻み食にしましょう」とか、「みんなでパタカラ体操しましょう」というのは、全て無意味とまでは言いませんが、根拠のない当てずっぽうの対策です。

その人の何の機能が低下しているか、何の訓練でそれが改善するかを評価・実践するのが、正しい摂食嚥下リハビリテーションということになります。