介護現場で役立つ! 表情心理学で相手の気持ちを理解する

前回の記事では、心理学の始まりと、ヒトラーや橋下徹に学ぶ、大衆の心をつかむ心理テクニックを紹介しました。

この記事では、コミュニケーションを円滑にしていくために、相手の心理、つまり本音を見抜く方法についてお話ししていきます。

 

 

「表情」から見抜く

僕らが生活していく上で、周りの人とのコミュニケーションは欠かせませんね。

コミュニケーションは基本、言葉を交わすことから始まります。
でも、言葉だけに注目しているうちは、相手の本音を読み解くことは不可能です。

言葉と本音・感情はイコールではないことは、なんとなくわかりますよね?

そこで、相手の「表情」や「しぐさ」を見ることで、感情や考えを判断するんです。

 

言語と非言語

今しがたお話ししたように、人間のコミュニケーションツールは言葉だけではありません。

日本人の信条は察しと思いやりだと、新しい東京の某組織の戦術作戦部作戦局第一課課長さんも言ってました。

 

心理学では、言葉を交わすコミュニケーションを、バーバルコミュニケーション(言語的コミュニケーション)と言います。

言語以外の方法で取るコミュニケーションを、ノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)と言います。

 

表情やしぐさは、言葉ではないのでノンバーバルコミュニケーションってことになります。

このノンバーバルコミュニケーションを理解することで、相手の本音を見抜くことができるようになります。

また、ノンバーバルコミュニケーションには本人すら気づいていないような感情の揺らぎが表れることがあります。

これが相手の本音を見抜くのに最大のヒントになるんです。

 

表情は心の鏡

人の感情はいろんな表情になって表れます。

表情っていうのは、生活の中で起こるいろんな出来事に適応するための反応や反射の名残なんです。

例えば、「驚いたりして眉を上げる」というのは、視野を広くして見たいものをしっかり見るための動きだったそうです。
「驚いた」ことに対する防衛本能として、対象をしっかり観察して情報を集めようとする反応なんですね。

 

心の内を隠そうと頑張っても、感情の動きなどから、反射的に何かのヒントが滲み出ちゃうわけです。

嘘が下手な人なんてのは、表情がわかりやすかったりしますよね。
その人は本能に忠実ってことですね(о´∀`о)

 

人間は、ある特定の感情を感じると、例外なく同じ表情で表れる説を提唱しています。

その説を、FACS(Facial Action Cording System)と言います。

その特定の感情というのは、次の7つです。

  • 驚き
  • 恐怖
  • 悲しみと絶望
  • 憤りと怒り
  • 嫌悪
  • 軽蔑
  • 喜びと歓喜

感情自体はもっと種類がありますけど、この7つはもう全人類に共通するものだと言われているんです。

その特徴を理解することで、日常生活での相手の心理状況を簡単に読み取れるようになります。

 

例えば、喜びに関わる「つくり笑い」。

本当に喜んで笑っている場合、口角が頬骨に向かって引き上げられます。
それに釣られて、目も山形になりますよね。

つくり笑いは、目が山になりません。
いわゆる「目が笑ってない」ってやつです。

とはいえ、つくり笑いでも、意識すれば本当に笑っている表情を作ることもできるので、それだけでは判断仕切れない場合もあります。

口角が引き上げられるのには大頬骨筋(だいきょうこつきん)が関わっているんですが、大頬骨筋が動く時間は、本当の笑いと比べて、つくり笑いの方が短いんです。

つまり、笑顔の時間が長い場合、つくり笑いである可能性が高いんです。

 

ポイントは一瞬の表情

このつくり笑いの例で言えば、そういう一瞬の小さい変化に、本心が表れるんです。

意識した表情にも限界があるんですね。

一瞬の表情は、時間にすると約0.2秒くらいです。
気をつけてないとすぐ見逃します。

いつも笑顔のあいつが、「あれ?今一瞬、悲しそうな顔をしていたような・・・」っていうシーン、ありますよね。

 

つくりじゃなくて、普通に感情が表情に表れる時間の平均は約2秒と言われています。

つくり笑いでない本音の笑いは、2秒前後で終わるんです。

4秒くらい続くこともあるそうで、その時間が長いほど感情が強いってことになります。

さらに、つくりの場合は顔の左右が非対称になっているそうです。
つくり笑いで、片方の口角だけヒクヒクと引きつってる描写って漫画でよくありますよね?
あんな感じじゃないかな。

 

社会的知性とは

社会的知性とは、表情・視線・しぐさなどから周囲の人の関係性や意図を読み取る能力です。

空気を読むみたいなもので、コミュニケーションする上で必要不可欠なオプションです。

空気を読む読まないってのは、たいていの人はだいたい無意識のうちにやってます。

これができるかどうかは、社会生活が成り立つかどうかにつながってきますね。

認知症においては社会性認知と言いますが、意味は概ね同じです。

 

自分の表情を思い返してみると

あの時、無意識につくり笑いしたなー・・・

ってこと、ありません?

無意識下でもつくり笑いの表情は、やっぱり無理矢理作ってるものなので、長時間続いてないのがわかると思います。

そういう無意識を意識的にできるようになると、相手の信頼を得る手段になるかもしれません。

 

介護の場面でも必須になる心理術

今回は職場の人間関係を改善するためのきっかけにと心理術の一部を紹介しましたが、これは介護の場面でも必要不可欠な技術になります。

特に認知症などで円滑なコミュニケーションがとれないような方の対応をする場合、言葉以上に重要になるのが仕草や表情です。

心理術を活用することで、不穏な方を落ち着かせることができる可能性は高いので、参考にしていただければ幸いです。