はじめに:失禁がもたらすもの
高齢者の失禁は、単なる身体機能の低下にとどまりません。本人にとっては、**「恥ずかしい」「情けない」「ふがいない」**といった感情を引き起こし、自尊心を大きく傷つける問題です。
認知症との深い関係性
「認知症だから仕方ない」「失敗するからおむつにした方がいい」と安易に結論づけてしまうのは、その人の尊厳を踏みにじる行為と言えるでしょう。
実は、おむつを使用することで、精神的なショックから認知症の発症や悪化を招く可能性が高まるという研究結果も出ています。
「自分でトイレに行ける」という感覚が、認知症のリスクを下げることにつながる可能性があるのです。
おむつに頼らない選択肢:水分摂取の重要性
もちろん、おむつを頼らざるを得ない状況も理解できます。しかし、「トイレに行ける」という目標に向かって、私たちができることはたくさんあります。
その一つが、水分摂取です。
「失敗しないように水分を控える」のではなく、**「排泄感覚を呼び覚ますために水分をたくさん摂る」**という考え方こそが、問題解決の糸口になるかもしれません。
水分をしっかりとることで、一度の排尿量が増え、終わった後の爽快感が得られます。この爽快感が、頻尿を防ぐことにつながるのです。
40代から見直したい!水分摂取の習慣
40代頃から残尿感を感じている方もいるのではないでしょうか。もしそうであれば、一度、1日の水分摂取量を見直してみてください。
- 目安の1日1.5Lに達していない
- コーヒーや緑茶などカフェイン飲料が多い
- 頻繁にアルコールを飲む
このような方は、水分が不足している可能性があります。カフェインやアルコールは利尿作用があるため、体内の水分を排出してしまうのです。
水やカフェインレスの飲み物に変えて、こまめに水分補給をするように心がけましょう。
水分摂取のポイント
- 1日の水分摂取量の目安は体重×30ml (例:体重50kgの人なら1.5L)
- 心疾患など、水分制限が必要な場合は、医師に相談
- 短時間に大量に飲むのではなく、こまめに少量ずつ
- 冷たい飲み物は避け、常温の水を少しずつ
まとめ
高齢者の失禁は、本人の尊厳を大きく傷つけ、認知症の発症や悪化にもつながる可能性があります。
水分摂取は、排泄感覚を呼び覚まし、失禁の改善に繋がるだけでなく、認知症予防にも効果が期待できます。
ご自身の水分摂取量を見直し、こまめな水分補給を心がけましょう。