ケアマネージャーの業務のひとつに、要介護認定申請代行があります。
文字通り、介護保険の認定を受けるための申請を、本人や家族等に代わって行う業務です。
新規申請から更新・区分変更申請も全て代行できます。
(ケアマネ以外でも代行できる人はいます)
今回お話ししたいのは、区分変更申請についてです。
勝手に申請をすすめないで!
ケアマネが必要と判断しての申請であれば、なんら問題ありません。
ですが、まれに本人の周りの人物が、何かのきっかけで本人・家族に直接「変更かけてもらっちゃいなよ!」と勝手に申請をすすめ、本人らもその気になって申請をケアマネに希望してくることがあります。
はっきり言わせていただきます。
それ、やめていただきたいっす!
勝手にすすめるケース1:親戚・知人
親戚や、近所などの知人など、要介護者の家族同士で介護について話(雑談でも相談でも)することは多いです。
その中で、
A「うちのばあちゃん、○○で大変でさー」
B「大変ねー!それで介護度いくつなの?」
A「介護度は1だよ」
B「ええ!そんなんで介護度1っておかしくない!?うちは✕✕で介護3だよ!」
A「え?そうなの?」
B「絶対もっと高くなるからケアマネさんに言った方がいいよ!」
こんなやりとりが結構あるみたいです。
僕も度々、「知り合いにこう言われて…」的なことを言われます。
勝手にすすめるケース2:入院先のスタッフ
病気や怪我などで入院することは少なくありません。
その中でも特に、腰椎や大腿骨の骨折をした方は、病棟の看護師さんから区分変更申請をすすめられるパターンが多いんです。
相手は専門職なので、看護師に言われたら「うーん、思い切って、やっちゃおっかな!」と考えても仕方がありません。
確かに、ADLが下がることには違いありませんからね。
勝手に変更を勧めてはいけない理由
なにも、区分変更することが悪いわけではありません。
大事なのは、本当に区分変更が必要なのかの見極めです。
そして、その見極めの基準は2つあります。
- その人の状態に現在の介護度が合っているか、今後もその状態が続く見込みがあるのか
例えば大腿骨骨折のために廃用症候群を起こした場合、回復にかなりの日数を要する場合があります。
しかし、廃用症候群が軽度で、入院中のリハビリである程度回復する見込みがある場合、絶対に区分変更する必要があるかは微妙なところです。 - 利用料金・区分支給限度基準額(以下、限度額)に影響があるか
退院後にもADL低下等の影響が続くと見込まれれば、何かしらのサービスを調整する必要があります。
必要なサービスを導入した結果、現在の介護度では限度額をオーバーする場合、区分変更を検討する基準になります。
しかし、仮に介護度が高くなる見込みがあったとしても、限度額以内に収まる場合、わざわざ変更をかける必要はありません。
この2つの基準を満たすと判断できれば、早急に区分変更申請を行うべきでしょう。
これを判断するには、入院直後では情報が足りません。
入院期間が数日程度と短かければ、そもそも区分変更が必要ではないレベルである可能性が高いです。
なのに、入院直後に病棟看護師が、ケアマネにも相談しないで患者の家族に区分変更をすすめることが結構あるんですよ。
せめて相談して!
言われたらこっちも申請せざるを得ない場合が多いので、やむを得ず申請するんですが、状態変わらず申請を却下される、要介護5で出たけど次の更新で要支援になる・・・というケースがざらにあります。
上記のケース1の場合も同様です。
「要介護度が低い」=「介護が大変じゃないと思われてる」という思い込みから、とにかく重い介護度を要求する人がいます。
ケアマネからすると、介護度の高低は、次の3つにしか影響しません。
- 限度額
- 施設入所申し込み
- 車いすや介護ベッドなど介護度の制限がある福祉用具貸与の可否
僕なんか特養の出なので、介護職員目線で言うと、寝たきりの要介護5の利用者より、歩き回る認知症の要介護2の利用者の方が対応に苦労する場合が多いです。
家庭ならなおさらですよ。
24時間誰が見るんだよって。
だから、要介護度が低いから大変じゃないなんて思ってほしくないんです。
それに、デイサービスやショートステイなどを利用する場合、介護度が高くなるほど料金も高くなります。
特に地域密着型デイを利用している場合(施設にもよりますが)、限度額と利用料の関係で、要介護1よりも要介護2の方が利用できる日数が減る可能性があります。
区分変更を申請する時は、こういうデメリットにも留意しなければなりません。
だからね
むやみに「区分変更したら?」って言わないで!
って話です。
ケアマネに相談しましょうね!