【例文・テンプレート付】たった15分で書ける!ケアの質が劇的に上がる認知症介護研修報告書の書き方

認知症介護の研修報告書をスムーズに書く方法

毎日のお仕事、本当にお疲れ様です。
介護福祉士・ケアマネジャーとして10年以上現場に携わる中で、数多くの研修に参加し、そして数えきれないほどの研修報告書に目を通してきました。

「研修内容を思い出すのが大変…」
「結局、いつも同じような内容になってしまう」
「報告書って、正直面倒…」

新人だった頃の私も、あなたと全く同じ悩みを抱えていました。
しかし、多くのご家族や利用者様と向き合い、後輩の指導をする立場になった今、研修報告書が単なる「義務」ではなく、自分自身の成長とケアの質を飛躍させる「最高のツール」であることに気づいたのです。

この記事を読めば、あなたの「面倒な報告書作成」の時間が、利用者様とご家族の笑顔に直結する「価値ある学びの時間」に変わります。

明日からすぐに実践できる具体的な書き方のコツから、周りと差がつく視点まで、私の経験のすべてを詰め込んでお伝えします。

1. なぜ研修報告書が「面倒」から「武器」に変わるのか?

多くの人が報告書を「研修に参加した証拠」として義務的に捉えています。
しかし、本来の目的はそこではありません。

  • 学びの定着: 書くことで、聞いた内容が頭の中で整理され、記憶に定着します。
  • 視点の獲得: 「何を学んだか」「どう活かすか」を言語化することで、自分のケアの課題が明確になります。
  • チームへの貢献: あなたの学びをチーム全体で共有することで、事業所全体のケアの質が向上します。

私の経験上、質の高い報告書を書くスタッフは、例外なく日々のケアの質も高く、利用者様やご家族からの信頼も厚い傾向にあります。
この報告書を、あなた自身の専門性を高める「武器」へと変えていきましょう。

2.【基本の型】これだけ押さえればOK!報告書の構成要素

まずは基本の型をマスターしましょう。この通りに書けば、誰が読んでも分かりやすい報告書が完成します。

  • 基本情報
    • 所属・氏名: 例:〇〇介護老人保健施設 介護福祉士 田中太郎
    • 研修日時: 2025年〇月〇日(〇)〇時~〇時
    • 研修場所: 〇〇研修センター(オンラインの場合は「オンライン」)
    • 研修名: (正式名称を正確に記載)
    • 講師名: (氏名、所属、役職などを記載)
  • 研修内容(要約)
    • 研修の要点を3つほどに絞って箇条書きでまとめます。すべてを書き出す必要はありません。
  • 所感(学びと今後の活用)
    • 研修を通して最も重要だと感じたこと、そしてその学びを明日からの業務にどう活かすかを具体的に記述します。

3.【実践編】もう迷わない!中身の書き方3ステップ

「頭ではわかっていても、いざ書こうとすると手が止まる…」

そんなあなたのために、私の実践する3つのステップをご紹介します。

ステップ1:研修中の「メモ」で8割決まる

報告書をスラスラ書くための準備は、研修中に始まっています。
ただ板書を写すのではなく、以下の3点を意識してメモを取ってみてください。

  1. 「事実」: 講師が話した重要なキーワードやデータ。
    (例:認知症のBPSDの要因は4つ)
  2. 「解釈」: それを聞いて、自分が「なるほど!」と感じたこと、疑問に思ったこと。
    (例:あの利用者さんのあの行動は、この要因が原因かもしれない)
  3. 「応用」: 自分の現場で「明日から試せること」。
    (例:〇〇さんへの声かけの際、まず視線を合わせることを徹底しよう)

この3点を分けてメモしておくだけで、後の「所感」が驚くほど書きやすくなります。

ステップ2:「研修内容」は箇条書きで簡潔に

研修内容を長々と文章で説明する必要はありません。
報告書を読む上司が知りたいのは「あなたが何を学んできたか」の要点です。

【記述例:認知症ケア研修】

  • 認知症の中核症状とBPSD(行動・心理症状)の関連性
    • BPSDは「本人の要因」「環境要因」など複数の要因が絡み合って出現することを理解。特に、ケア側の不適切な関わりが引き金になるケースを学ぶ。
  • パーソン・センタード・ケアの具体的実践方法
    • その人らしさを尊重するケアの重要性を再認識。本人の生活歴や価値観を知るための傾聴技法について学ぶ。
  • 非薬物療法によるBPSDへのアプローチ
    • ユマニチュードの4つの柱(見る・話す・触れる・立つ)の具体的な実践方法をロールプレイングで習得。

ステップ3:「所感」であなたの価値を示す

所感は、あなたの専門性と成長意欲を示す最も重要なパートです。
「勉強になりました」「楽しかったです」で終わらせては、あまりにもったいない。

ここでは、「学び(What)」→「理由(Why)」→「活用(How)」のフレームワークで書くことをお勧めします。

【よくある惜しい所感の例】

今回の研修でパーソン・センタード・ケアの重要性を学びました。今後の業務に活かしていきたいです。

これでは、あなたの学びの深さが伝わりません。

【ケアの質が上がる所感の例】

(What:学び) 今回の研修で最も心に残ったのは、BPSDはご本人からの「SOSのサイン」であるという視点です。

(Why:理由) これまで私は、徘徊や大声といった行動そのものを問題と捉え、どうすればそれを止められるか、という発想になりがちでした。しかし、その行動の背景にあるご本人の不安や苦痛に寄り添えていなかったと痛感させられました。特に、〇〇様が夕方になると落ち着かなくなるのは、ご自宅に帰りたいという切実な思いの表れなのだと、研修内容と結びつけて理解することができました。

(How:活用) 明日からは、〇〇様が落ち着かなくなる時間帯に、ただ制止するのではなく、まず傾聴し、ご本人が何に不安を感じているのかを探ることから始めます。そして、ご本人の好きな昔の音楽を一緒に聴くなど、安心できる環境づくりを試みたいと考えています。この取り組みを記録し、他のスタッフとも共有することで、チームとして〇〇様への理解を深めていきたいです。

いかがでしょうか。
後者の所感からは、あなたの利用者様への真摯な姿勢と、具体的な改善意欲が明確に伝わりますよね。

研修報告書のテンプレート

以下に、報告書のテンプレートを用意しました。
ここまでお伝えしたことを踏まえ、必要に応じて修正してご活用ください。

研修報告書
以下について報告いたします。

(職名・氏名)〇〇 ○○○○
(参加した日)令和○年〇月〇日  (会場名)〇〇にて

(研修名)○○
講師 〇〇氏(または先生)

【研修内容】
1.〇〇
(詳細)〇〇
2.○○
(詳細)〇〇
3.〇〇
(詳細)〇〇

【所感】
今回の研修を受け、〇〇について学びました。
〇〇の時、私はよく〇〇してしまうことがありますが、それではかえって○○なので、改善しなくてはならないと痛感しています。

〇〇できるよう、この研修の内容を業務の中で活かしていきたいと思います。

以上

※()の部分は消して、〇のところに受けた研修に当てはまる文言を入れましょう。
 自分らしい言葉に加工することも忘れないでください。

【応用編】家族介護にも役立つ「研修の視点」

この記事を読んでくださっている方の中には、ご家族の介護をされている方もいらっしゃるかもしれません。
家庭と仕事とでは大きな違いがあるものの、専門職が受ける研修の知識は、ご家庭での介護のヒントにもなります。

例えば、研修で学ぶ「環境整備」の視点。
認知症の方が混乱しないように、トイレの場所を分かりやすく表示したり、カレンダーを見やすい場所に置いたりする工夫は、ご家庭でもすぐに実践できます。

ご家族が専門的な知識を少しでも知っておくことは、介護の負担を減らし、ご本人の穏やかな生活を守ることに繋がります。
機会があれば、地域の「認知症サポーター養成講座」などに参加してみるのも良いでしょう。

この記事のまとめ

  • 研修報告書は「義務」ではなく、ケアの質を高める「成長のツール」と捉えよう。
  • 研修中は「事実」「解釈」「応用」の3点を意識してメモを取ると、報告書が格段に書きやすくなる。
  • 所感は「学び(What)」「理由(Why)」「活用(How)」のフレームワークで書くことで、具体性と熱意が伝わる。
  • まずはテンプレートを参考に、あなたの言葉で「明日からどう活かすか」を書いてみよう。

Q&A:研修報告書のよくあるお悩み

Q1. 研修内容をほとんど忘れてしまった場合、どうすればいいですか?

A1. 正直に「記憶が曖昧な部分がある」と前置きした上で、配布された資料を基に要点をまとめるか、同行した同僚に確認しましょう。大切なのは、不正確な情報を書かないことです。その上で、唯一鮮明に覚えていることだけでも所感で深掘りすれば、学びの意欲は伝わります。

Q2. 所感で「素晴らしい研修でした」以外に何を書けばいいですか?

A2. 「なぜ」素晴らしいと感じたのかを具体的に掘り下げてみましょう。「講師の〇〇という言葉が心に刺さったから」「今まで疑問だった〇〇が解決したから」など、あなたの感情が動いたポイントを書きましょう。本文で紹介した「What→Why→How」のフレームワークが役立ちます。

Q3. 報告書がいつも長くなってしまうのですが、簡潔にまとめるコツはありますか?

A3. まず「誰に、何を一番伝えたいか」を明確にしましょう。多くの場合、それは「研修の学びをどう業務に活かすか」という所感の部分のはずです。研修内容の要約は箇条書きで3点程度に絞り、最も熱量を注ぐべき「所感」に文字数を割くよう意識すると、メリハリのある簡潔な報告書になります。