認知症ケア専門士とは?受験資格や合格率などについて解説します

認知症ケア専門士って、なんかすごそうだね!
コンペイ
そうですね。
その名の通り、認知症ケアのプロってことになります。
持ってたら評価されそうだし、受けた方がいいかな?
コンペイ
評価や信頼を得られるのは間違いないので、受ける価値はあると思いますよ。
だよね!受けてみよ!
・・・で、どうやって受ければいいの?
コンペイ
じゃあ、受験資格などのことも含めて解説しますね。

 

認知症ケア専門士とは

認知症ケア専門士とは、2005年から一般社団法人日本認知症ケア学会が主催するようになった民間資格です。

その名の通り、認知症ケアのスペシャリストと言われている資格です。

介護施設の職員が取得している場合が多いようですね。

受験するには?

認知症ケア専門士認定試験の受験資格

認定試験を受けるには、試験を実施する年度から過去10年以内に、認知症ケアに関する施設・団体などで認知症の方の支援としての実務経験が3年以上必要です。

他の資格はなくても関係ありません。

受験の流れ

受験するにはまず、受験の手引きを申し込みましょう。
手引きをもらうには電話かFAXの他、ネット申し込みが大変便利になっております。

詳細はコチラ!

手引きは1,000円かかりますので、悪しからず。

手引きを読めばわかることですが、認定試験は1次試験と2次試験があります。
認知症ケア専門士認定試験では、それぞれに申し込みをする必要があるんです。
忘れそう。

1次試験の申込期間は3~4月
2次試験の申込期間は8~9月です。

受験の費用

1次試験の受講料は、3,000円×受講する分野数になります。
全4分野を受ける場合は、3,000×4で12,000円です。

2次試験の受講料は、8,000円です。
2次試験では事前に論述試験の提出がありますので、手引きに沿いながら、2次試験申し込みと一緒に提出します。

認定試験の概要

試験の実施日は例年、1次試験は7月頃、2次試験は12月頃になっています。

1次試験の概要

1次試験は筆記で、マークシート式の5者択一です。

4分野から50問ずつ、計200問が出題されます。
各分野70%以上が合格基準になっています。

出題される4分野は以下の通りです。

  1. 認知症ケアの基礎
  2. 認知症ケアの実際1:総論
  3. 認知症ケアの実際2:各論
  4. 認知症ケアにおける社会資源

これらは、分野ごとに分けて受験することができます。
受験申し込みした年度から5年以内に全部受かれば良いので、「今年は2分野だけ受けよう」みたいな申し込み方も可能です。

3分野受かって1分野だけ合格点に届かなかったとしても、翌年以降に受験料をその1分野だけもう一度払えば、他の分野の合格を残したまま受験ができるので、焦って取る必要もないですよね。

1次試験の範囲はけっこう広いので、じっくり勉強していきましょう。
次に2次試験について解説しますが、1次試験を合格できるなら、恐れることはありませんよ!

2次試験の概要

2次試験は、論述試験面接試験があります。

論述試験のポイント

論述問題は事前の提出になります。
1次試験の合格後に問題のテーマと用紙が送られてくるので、テーマに沿って用紙に解答を記入し、2次試験受験の申し込みと一緒に送付します。

良い解答をするためのポイントについてお話ししておきますね。

まず、月並みですが、自分なりの意見を述べることが第一です。
一般論や自分が働く施設・事業所でのやり方などを引っ張り出して、それに対してあなたはどう考えて、どう実践していくかを述べるのが良いかと思います。

認知症ケアにおいて、問いに対して「これこそが正解」なんてものはありません。
人を相手にする以上、答えはいくつも存在します。

あなたが学んだ認知症ケアの知識を活かして、かつ「なぜその結論に至ったかの客観的な根拠」を述べることができれば間違いないでしょう。

1次試験対策のテキストなどを見れば、いろんな事例を目にする機会があると思いますので、そういうのを参考にしてみてください。

何より、自宅でゆっくり考えながら取り組めるので、納得いくまで見直して大丈夫ですよ。

面接試験のポイント

面接試験は論述と違い、面接会場に行く必要があります。
コロナ過ではオンライン面接もあるんでしょうかね?

面接は6人1グループで20分間行われます。
テーマに関するスピーチを1人1分程述べて、その後6人でディスカッションする感じです。

こちらも、勉強したことや普段実施していることを思い返しながら言葉にできれば問題ないと思います。

グループの人の意見が自分の意見と違ったとしても、それを受け入れた上で持論を展開できればいい評価になると思いますが、相手を否定さえしなければ、そんなに構えて臨まなくても大丈夫です。

合格したら登録

試験をパスしたら、認知症ケア専門士として認定され・資格の交付を受けるために、手順に沿って登録申請をしなければなりません。
受かったら終わりじゃありませんよ。

登録申請料に15,000円かかりますのでご注意を。

認定試験の合格率は?

認知症ケア専門士の受験者数は年々減少傾向にはあるそうですが、毎年およそ6000~9000人って感じで推移しています。

認定試験の合格率は、およそ50~60%程度ですので、例年4000人前後というところです。
他の認知症関連の資格と比べると、難易度は高めなようです。

合格・登録したら終わりじゃない?

認知症ケア専門士は、当然取得するまでが大変ではありますが、取得後に忘れてはいけないのが、5年ごとの更新です。

更新に必要な手続き

認知症ケア専門士の資格を更新するためには、所定の書類に必要事項を記入し、証明写真を添付して、認知症ケア学会に送付しなければなりません。

書類は認知症ケア学会のホームページからダウンロードできるので、自分で印刷します。

更新の期限

資格更新においては「更新期間」があります。

期間は資格を取得してから5年後の年度末(1月~3月)で、これより早くても遅くても更新申請することができません。

更新に必要な単位数とは?

更新申請するためには、認知症ケア学会が認めた研修への参加、学会発表、論文執筆などで付与される単位を、30単位以上取得している必要があります。

単位を取得したら、認知症ケア学会のホームページから取得単位数が記載されたページを印刷して、送られてくる取得単位票に添付します。

5年間に取得した単位数が30単位に満たなかった場合、当然更新はできません。
その場合、更新の保留申請をすることで、1年間だけ更新を延長することができます。
ただし、更新の保留申請をして、1年で更新できたとしても、次の更新はその4年後となり、4年で30単位を取り直さなければならないので、かなりハードルが高くなります。
できるだけ保留しないで更新したいところですね。

更新料

資格の更新料として1万円が必要になります。
支払いは振り込みです。

ちなみに、単位取得のための学会などへの参加には、3,000~1万円かかります。
もちろん、交通費なども別途必要です。

認知症ケア専門士を取得するメリットは?

認知症ケア専門士は、2005年に始まってからメキメキとその知名度を上げてきました。
「専門士」という響きだけでも、なんかすごい頼りになりそうな感じがしますよね!

事実、周囲からの信頼は厚くなるかと思います。
認知症患者が増え続ける昨今で、根拠に基づいた質の高い認知症ケアを行えるという人材は、重宝されることでしょう。

そして、定期的に認知症に関する最新知識に触れる機会があるという大きなメリットがあります。

  • 年間8冊の認知症ケアに関する論文集や専門誌が送られてくる
  • 全国各地で行われるハイレベルな研修会に参加できる
    (一般参加可能ではあるが、専門士の資格があれば割引がある)
  • 学会に参加し、多くの事例を学ぶことができる

もちろん、5年ごとの更新をやめてしまうと、これらの特典は受けられなくなります。

まとめ

認知症ケア専門士は、理想的な認知症ケアを実践したいという強い向上心がある人向けの資格です。

ただ個人的な意見を言わせてもらえば、「難関な資格や深い知識を持っていること」と「優秀な介護職員であること」は、必ずしもイコールではないということを忘れないでほしいです。

資格や知識があっても、実践できなければ意味がありません。
また、自分だけができていたって意味はありません。

大事なのは、あなたが努力して得た知識や技術を、あなたの職場で共有することです。

認知症ケア専門士は、自分が実践することに特化した資格ではないかと思います。
認知症ケアに関する知識を共有するためには、昨今推進されている認知症介護実践者等の研修も見逃さない方が良いかもしれませんよ。