認知症ケア専門士と認知症介護実践者研修の違いってなに?どっちをとるべき?

認知症患者数が爆発的に増え続ける昨今、介護職員が認知症ケアの知識を深めることは、何も特別なことではなくなってきました。

それに伴って、今や「何それ?」くらい聞き慣れないものがあるほどに、認知症関連の資格が設けられています。

今回はその中でも、

  1. 知名度の高い認知症ケア専門士
  2. 取得が簡単だけど実用性が高い認知症介護実践者研修

このふたつの資格の違いについてお話したいと思います。

 

認知症ケア専門士とは

認知症ケア専門士とは、認知症ケア学会が主催する民間資格です。

認定試験があり、マークシート式である記述の1次試験、論述やグループワークを行う2次試験をクリアし、登録申請を行うことで得られる資格です。

資格取得後も5年ごとに更新しなければならないし、更新するにも5年間の間にやらなきゃいけないノルマがあるので、働きながら継続するのはかなり大変。

その反面、認知症ケアに関する最新情報を得ることもできますし、ハイレベルな学会や研修に割安で参加することもできます。

認知症ケアに対して普段から意識が高い介護職員さん向けの資格になっています。

 

 

 

認知症介護実践者研修とは

認知症介護実践者研修は、「研修」と言う通り、研修を受けることで得られる資格です。
強いて資格名で言うなら、「認知症介護実践者研修修了者」というところですね。

より実践的な知識・技術の習得し、認知症介護の専門職を養成するための研修です。

一番のメリットは、キャリアアップのステップを踏めるということです。

認知症介護系の研修は、

  1. 新人・無資格者等向けの基礎研修
  2. ここで紹介している実践者研修
  3. チームリーダーとして他をけん引する実践リーダー研修
  4. 実践者・実践リーダーを養成する指導者

この4つの段階を踏んで(有資格者等は②からですが)、認知症対応型施設の管理者になれる可能性が生まれます。

施設側としても、加算をつける要因になったりするので、修了者は存在そのものが重宝されます。

 

認知症ケア専門士と認知症介護実践者研修の違い

認知症の方への支援において、最新知識を持っている事、実用的な技術を実践できる事が重要と言われています。

認知症ケア専門士で学べる事

認知症ケア専門士では、年8回論文集や専門誌が送られてきたり、学会や研修に参加することができます。
これは更新性の資格で、更新を継続するために学会等の参加はしなければいけないのですが、なんにせよ、認知症に関する最新の知識を学ぶ機会があることに間違いありません。

まさに生涯学習のための資格です。

さらには、チームリーダーであったり、地域のアドバイザーを養成することを目的とした認知症ケア上級専門士という上位資格もあります。

認知症介護実践者研修で学べる事

対して認知症介護実践者研修では、文字通り、より実践的な技術を学ぶことができます。

試験もないので、受ければ取得確定の資格ではありますが、所属する施設・事業所の推薦が必要になります。
また、専門士と違って更新制度も学会への参加等もないため、取得後は自分でスキルを磨いていくしかありません。

更新はありませんが、修了後に実務経験を積めば、実践リーダーや指導者養成研修という上位資格を受けられる可能性が出てきます。
この研修で得た実践的なスキルを、あなたが広めていくための指導・教育スキルを養うことができるわけです。

キャリアアップの重要なステップになること、施設・事業所の加算=収入に貢献できるため需要が高いという点で、国家資格である介護福祉士に並ぶ資格と言えるでしょう。

どっちをとるべき?どっちもとるべき?

もちろん、両方とることも良いかと思います。

ですが、専門士の更新にかかる単位取得(リンクを参照)と、実践リーダー研修等の同時進行は、かなりの労力です。
勉強に没頭しすぎて現場がおろそかになっては元も子もありません。

両方とりたい方は、段階を踏んで計画していくことをおススメします。

では、どちらかを選ぶとすると、どちらが良いでしょう?

当然のことを言うようですが、それはあなた自身が将来どうなりたいかを基準にするべきです。

どちらの資格で何が学べるかは先述した通りですが、何も専門士で技術が学べないわけではありません。
実践者研修もしかりです。
それぞれが何に重点を置いているかの違いです。

  • 「とにかく知識を深めたい」という方は専門士
  • 「実践スキルを習得しながらキャリアアップしたい」という方は実践者研修

という感覚で良いでしょう。
まあ、実践者研修は自分で受けるタイミングを選べない(施設・事業所から行けと言われて受ける)し、今後は自分以外の職員もどんどん受ける流れになりますので、そういう意味では優先したいのは実践者研修かもしれません。

まとめ

専門士と実践者研修、どちらを受けるにしても、絶対に忘れてはならない前提があります。

得た知識・技術を、独りよがりにしてはいけないということです。

自分だけが実践しても、毎日24時間、利用者さんと関わるわけではありませんよね?
あなたができていても、他の職員ができていなければ、利用者さんの状況は何一つ改善しません。

どちらかを、あるいはどちらも取得してあなたのレベルが上がっているなら、それを周りに広めてください。

最初は「何それ?」ってやっかまれることもあるかもしれませんが、そうなったらしめたものです。
だってそれ、その現場ではあなたが先駆者ってことですよ?

あなたが周りのレベルを上げることができたら、あなたには指導者の素質があるということになります。

もちろん、ただ知識・技術を「やれ」と押し付けるのでは絶対にうまくいきません。

実践リーダー研修等でも習得できるかもしれませんが、本屋にあるようなリーダー系やビジネス系の自己啓発本に目を通してみると、良い勉強になりますよ。