まず最初に、なぜ介護職員実務者研修を受けるべきなのか。
その意義についてお話します。
介護職員実務者研修を受ける意義
なぜ介護職員実務者研修を受けるべきか。
それはズバリ!
より質の高い介護を提供するために、実践的な知識や技術を習得するためです!
とは言いません。
もちろん、周囲から評価や信頼を得られるから!とも、やりがい!とも言いません。
否定するわけではありませんが、僕の持論として、資格を通して得られる評価ややりがいなんて長続きしません。
強いて言うなら、資格と合わせて得た知識・技術を活用、さらに研磨することで、真なる評価につながると思います。
前置きはさておき、実務者研修のメリットについてお話しましょう。
と言っても簡単な話、キャリアアップのステップになるからです。
メリット1:介護福祉士をとるために必須
キャリアパスが介護業界にも取り入れられ、2016年より、介護福祉士を受験するための要件のひとつとして、実務者研修の修了が加わりました。
介護福祉士の取得は、今後介護職員として働くにあたって必須であることは間違いありません。
現場ではもちろん、さらに上を目指すためにも。
介護職員初任者研修は、ホームヘルパーになるのでなければ必須ではありませんが、初任者研修を修了していることで、後に述べますが実務者研修の受講時間を削減できるというメリットもあります。
そんな感じで、介護福祉士取得を目指しやすい流れになっています。
キャリアパスはそういうステップを踏んでいくためのフローチャートになっているんです。
キャリアは広義では単なる仕事の経歴だけでなく、人財として高い評価を指す場合が多いです。
2013年の介護保険改正により、介護業界でもキャリアパスの仕組みが取り入れられました。
メリット2:給与に差が出る
介護の資格は、取得し、それに関わる職務に就くことで資格手当がつく場合があります。
初任者研修修了者の場合、無資格者とは年収に3万円の差があるというデータがありますが、実務者研修修了者の場合、なんと無資格者と年収に3万2千円以上の差がつくんです!
あ、初任者研修と対して変わんなかったですね・・・。
ですが、初任者・実務者研修とも、取得するのに決して難易度の高い資格ではありません。
受講時間はまあまあ長いですが、低難度で取得できる結果の給与としては申し分ないように思います。
何より、実務者研修は介護福祉士を取得するための必須ステップであり、介護福祉士の平均年収は無資格者を6~7万円上回るのですから、取得するメリットとしては十分ですよね。
介護職員実務者研修の内容
実務者研修は、初任者研修の上位資格に当たります。
また、初任者研修がかつてのホームヘルパー2級で、実務者研修はホームヘルパー1級に該当するものです。
受講資格は特にありません。
日本語さえできれば誰でも受けられます。
カリキュラム
実務者研修は、計450時間にも及ぶ長期戦のカリキュラムをこなすことで取得できます。
多すぎて逆にピンとこなそうなので、科目ごとに一覧を挙げておきます。
- 人間の尊厳と自立:5時間
- 社会の理解Ⅰ:5時間
- 社会の理解Ⅱ:30時間
- 介護の基本Ⅰ:10時間
- 介護の基本Ⅱ:20時間
- コミュニケーション技術:20時間
- 生活支援技術Ⅰ:20時間
- 生活支援技術Ⅱ:30時間
- 介護過程Ⅰ:20時間
- 介護過程Ⅱ:25時間
- 介護過程Ⅲ(スクーリング):45時間
- 発達と老化の理解Ⅰ:10時間
- 発達と老化の理解Ⅱ:20時間
- 認知症の理解Ⅰ:10時間
- 認知症の理解Ⅱ:20時間
- 障害の理解Ⅰ:10時間
- 障害の理解Ⅱ:20時間
- こころとからだのしくみⅠ:20時間
- こころとからだのしくみⅡ:60時間
- 医療的ケア:50時間+演習
めちゃくちゃ多いですね。
これが、初任者研修を修了している場合は、
①人間の尊厳と自立
②社会の理解Ⅰ
④介護の基本Ⅰ
⑦生活支援技術Ⅰ
⑧生活支援技術Ⅱ
⑨介護過程Ⅰ
⑭認知症の理解Ⅰ
⑯障害の理解Ⅰ
⑱こころとからだのしくみⅠ
これら計130時間が免除され、320時間のカリキュラムになります。
他にも、認知症介護実践者研修修了者は⑭⑮認知症の理解Ⅰ・Ⅱ、喀痰吸引等研修を修了していれば医療的ケアが免除になります。
つまり、内容が被る科目がある研修を修了していれば、その科目が免除されるわけですね。
初任者研修の受講時間は130時間ですので、初任者研修と実務者研修の両方を受けることは損にはならないということです。
では、それぞれがどんな内容なのか簡単に説明します。
人間の尊厳と自立
基礎の基礎として、「人間とは何ぞや」的なところから始まります。
人間の尊厳と自立支援の必要性、介護場面における倫理的理解を深めます。
社会の理解Ⅰ・Ⅱ
社会保障の基本的考え、介護の歴史や仕組みについて学びます。
介護保険制度や障害者総合支援制度だけでなく、成年後見制度や個人情報保護法と、介護職員として関わることの多いワードが出てきます。
介護の基本Ⅰ・Ⅱ
尊厳・自立への理解はもちろん、介護を実践する時のリスクマネジメント、自分自身を守ること、チームケアについても学びます。
コミュニケーション技術
介護を受ける側の気持ちの理解について学びます。
コミュニケーションは介護を受ける本人だけでなく、その家族、職場等多職種とのコミュニケーションの技法を身に着ける科目です。
生活支援技術Ⅰ・Ⅱ
居室の整備から介護などの全般的な介護や自立支援などについて学びます。
ICFの概要など、「なぜその介助が必要なのか」についても知る機会になりますね。
介護過程Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ
介護を実践する過程の展開を学びます。
実際の技術というよりは、情報収集、アセスメント、介護計画立案、実施、モニタリング、計画の見直しという、ケアマネジメントの流れのことを介護過程としています。
発達と老化の理解Ⅰ・Ⅱ
人間の成長・発達に関することや、老化による心身の変化などを学びます。
人は何歳になっても発達するものです。
高齢者も例外ではありませんので、それを学ぶ機会は貴重です。
認知症の理解Ⅰ・Ⅱ
認知症の方との関わり方はもちろん、認知症をもたらす原因疾患や障害、進行による変化などを学びます。
ここでもアセスメントが絡んできます。
認知症介護実践者研修で同じ内容を学ぶことができ、そちらを修了していればこの科目は免除になります。
障害の理解Ⅰ・Ⅱ
障碍者福祉の基本理念、障害を持つ方の心理や家族等との関わり方、医療的な視点での障害について学びます。
こころとからだのしくみⅠ・Ⅱ
介護に関わる心身の仕組みについての基本的理解を学びます。
日常生活の介護から終末期においての観察ポイントを学習していきます。
医療的ケア
医療提供の仕組みや医療行為、喀痰吸引・経管栄養の概要などを学びます。
所定時間の他に、喀痰吸引・経管栄養・救急蘇生法の演習があります。
修了試験がある?
長い長いカリキュラムを終えて、ついに実務者研修修了!!
・・・と言いたいところですが、必ずしもそうとは限りません。
実務者研修においては修了試験の実施義務はありませんが、スクールによっては、「介護技術」や「医療的ケア」それぞれの筆記試験、「医療的ケア」の実技試験が行われるところもあるようです。
とはいえ、勉強した通りの内容の確認なので、難易度はそこまで高くありません。
なんにせよ、ついに修了となり、修了証がもらえます
修了証は介護福祉士試験を受けるために必要なので、大切に保管してください。
受講費用
実務者研修の受講費用は、初任者研修同様、スクールによって大きく開きがあります。
むしろ、開き具合は初任者研修以上です。
3万円台のところもあれば、20万円近いのところもあります。
厳密に言うと、その開きの理由はスクールの違いだけではありません。
持っている資格によっても、費用が変わってきます。
初任者研修修了者であれば、およそ10万~15万円です。
一番安いパターンは、介護職員基礎研修修了者の場合で、4万~6万円です。
すんごい安く感じるかもしれませんが、介護職員基礎研修はもう存在しない資格なので、存在したころに取得した人は、それだけの免除がある・・・ということになります。
ちなみにそれらの資格がない場合は、15万~20万円以上と思っておいてください。
・・・って言っても、めちゃくちゃ高いですよね。
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2007年~2013年の6年間しか存在していません。
免除されるのは費用だけでなく、カリキュラムにおいて医療ケア以外すべてが免除されます。
働きながら無料で受講する2つの方法
無料で受講しようとする場合、職業訓練校の無料講座を受けるという方法があります。
が、無料講座を受けるにはいくつか条件があり、そのひとつが「離職中(休職中)であること」です。
つまり、職業訓練校では働きながら無料で受けることはできないということです。
しかも通信ではなく、全部通わなければなりません。
では、働きながら無料で受ける方法はないのか?
安心してください!
ありますよ!
2つも!
無料で受講する方法1:スクールの資格取得支援制度
実務者研修を開催しているスクールによっては、受講料0円制度などの資格取得支援制度を設けている場合があります。
資格取得支援制度とは、初任者研修を開催しているスクールが運営する介護施設などに就職することで、受講費が返ってくる制度です。
先述した介護職員囲い込み作戦ですね。
制度の名称は、「全額キャッシュバック」「受講費が実質無料」など、スクールによって違いますので、確認してみてください。
雇う側・雇われる側ともにwin・winの制度ですね。
大手のスクールにもなると、受講後の就職になる施設もたくさんあることが多いので、「このスクールを選ぶと就職先を選べない」ということもないので安心です。
無料で受講する方法2:介護求人の紹介から資格取得までサポート!
各施設・事業所で人材不足を解消するために、方法1で紹介したような囲い込み作戦が行われていますが、人材不足は全国規模で懸念されています。
しかし、各施設・事業所だけではまだ改善には至らないこともあるでしょう。
そこで注目したいのが、資格取得のサポートを掲げる求人紹介企業です。
厚生労働省認可の大手介護就職支援センター
- 働きながら、0円で資格が取れるキャリアアップ応援制度!
- 就職は無資格、未経験OK!
- 専任のコーディネーターが無料で相談に乗ってくれる!
求人数はかなり豊富。
中には福利厚生もしっかりした求人もたくさんあります。
いろんな働き方を慎重に決めたいという方にオススメの企業です。
高時給な上に資格取得支援制度もある介護派遣!
- 高時給!
- 専任スタッフが派遣後もサポート!
- 無資格・未経験OK!
- 働く前に施設見学もできる!
今や、介護派遣という働き方は、介護職として賢く稼ぐためのマストツールと言えます。
派遣なら短期雇用も可能なので、人間関係のストレスも少ないのがマストの秘訣です。
まとめ
何度もお話ししましたが、介護職員実務者研修は、介護福祉士の受験のための必須要件なので、介護職員であれば受けない手はありません。
無料で(または安く)受けられるのであれば、それにこしたことはありませんよね。
取得することで評価につながる・・・と実感できるかはあなた次第ですが、取得していなければ逆に「ねーのかよ」ぐらいに思われるようになってくるかもしれません。
時間もかかって大変ですが、取得する価値がある資格だと思います。