酒や薬に頼らない!最も効果的なストレスケアとは

運動がどれほど脳に影響を与えるのか、認知症予防にどれほど効果的かっていうのを、↓でお話ししています。

 

今回お話しする中で重要なキーワードのひとつがストレスです。
これは認知症予防とイコールであり、介護職員のストレス対策にもつながってきます。

ただまあ、認知症の要因は様々なので、予防にも改善にも運動がすべてとは言いません。
ですが、長期間の研究の結果、運動がどんだけ脳に影響を与え、認知症予防につながっていくのかを、ぜひお伝えしたいと思います。

 

酒 VS 薬

ストレスや不安を和らげる薬は種類がたくさんあります。
あなたが関わる利用者さんの中には、処方を受けている方もいるかもしれませんね。

話の流れから察していただけたかと思いますが、結論から言いますと、ストレスや不安の解消には、運動の効果が大変高いという研究結果があります。

それが認知されていないこともあって、症状のある方はまず病院に駆け込んで、薬を処方してもらうわけです。

しかし、薬より効果が高いと知られているものがあります。
運動以外で。

お酒です。

飲酒量と健康リスク

やけ酒とか言いますけど、忘れさせてくれるって意味で、「今日は飲むぞー!」っていう人が結構います。
酒に逃げるともいいますけどね。

ですが、これまたご存知の通り、酒は副作用の方が多いですね。

「酒は百薬の長」とも言います。
ただしそれは少量の飲酒の場合であり、しかも効果は大分限られたものです。
具体的には、少量の飲酒によって、

  • 虚血性心疾患
  • 脳梗塞
  • 2型糖尿病

など、数える程度の疾患のリスクがちょっと下がるくらいですね。

最近の研究では、飲酒量が増えるほど、

  • 高血圧
  • 脂質異常症
  • 脳出血
  • 乳がん  ・・・など

のリスクが高くなるとされています。

その少量ってのも意見が分かれてますが、厚生労働省による健康日本21では、以下のように定められています。

【健康を害さない1日の飲酒量の目安】
・ビール(ロング缶1本)
・日本酒(1合)
・ウイスキー(ダブル1杯)
・焼酎(25度であればグラス半分)
・ワイン(グラス2杯弱)
・チューハイ(缶1本)

「飲むならこれくらいにしてね」っていうことですが、実際のところ、毎日飲むのもやめたほうがいいです。
休肝日を設けるとかね。

百薬の長ってのはそもそも酒好きの言い分で、飲めない人にしたら、百害あって一利なしです。

 

お酒メンタル

精神疾患で治療を受けている方は、まず禁酒の指示を受けます。
先に、「お酒は薬よりストレスへの効果がある」ということを言いましたが、実はそれは事実ではありません。
そうだと世間に知られているだけの話です。

お酒はストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を増大させます。

飲めば飲むほどストレスへの耐性が下がっていくので、うつなどのリスクが上がっていく一方です。

 

また、「寝酒に1杯」やる人もいるかと思います。

アルコールにはGABA(ギャバ)という、脳の興奮を抑える成分を分泌する神経を活性化する作用があります。
GABAは睡眠の質を向上するという働きがあるので、確かにお酒によって寝つきはよくなります。
しかしこれは鎮静剤・睡眠導入剤を飲んでいるようなもので、効果が長続きせず、眠りが浅くなってしまいます。

 

脳の老化・委縮を加速するもの

人は生まれてから徐々に脳が成長していきます。
何歳まで成長していくかご存知ですか?

脳が成長するのは、25歳までだそうです。

25歳以降は、1年間に0.5%~1%ずつ小さくなっていきます。
萎縮ってことです。
自分の年齢考えると寒気がしますね(;´Д`)

つまりは老化です。
老化は25歳から始まっています。

ほっといても脳委縮はしていきますが、それをさらに加速させる要因があります。

  • お酒
  • ストレス
  • 睡眠不足
  • トランス脂肪酸の摂りすぎ    ・・・など

ちなみに、飲酒量が多い方ですと、飲まない方と比べてうつ病のリスクが3.7倍認知症のリスクが4.6倍にまで高まるそうです。

一説では、意欲低下は、「新しい脳細胞が作られない」ことで引き起こされるそうですが、うつ病は「新しい脳細胞を作る働きを邪魔する」そうです。
つまり、うつ状態になると新しい脳細胞が作られにくくなるので、意欲低下が起こるということになります。
うつと意欲低下はそんな関係でつながってたんですね。

 

脳が若返る?

60歳の方々に運動させたところ、脳が若返ったという実験結果があります。

60歳の方々を、2つのグループに分ける。

【グループA】
週に数回程度のウォーキングを、1年続けてもらう。
【グループB】
週に数回程度、ストレッチなど、心拍数が上がらない程度の軽い運動を1年続けてもらう。

A・Bそれぞれ、実験開始前と1年後にMRIや各種心理テストを実施する。

結果、グループAは身体機能だけでなく、脳の働きも改善した。

具体的には、MRIによって海馬の大きさを観察したところ、運動量が少ないグループBの海馬は、1年で1%以上小さくなっていました。
年相応に老化しているといったところです。

対して、運動をしたグループAの海馬は2%大きくなっていました。

1年に1%萎縮するとすれば、Aの方々は2歳分若返ったということになります。

 

認知症予防と運動の関係

 

抗うつ剤との比較の結果

運動と抗うつ剤の効果の比較をした実験がありました。

実験開始から2~3か月後、両者の改善効果は・・・

 

同じくらいでした。

 

「なーんだ同じか」とお思いのあなた!
注目すべきは実験から半年後の、うつ病再発症率なんです。

両者の再発症率は、

  • 抗うつ剤:38%
  • 運動:8%

という結果でした!

運動による改善後の方が、圧倒的に再発症率が低かったんです。

運動は習慣的に行うほど効果が高まります。
習慣付いた運動は、目先の効果だけでも抗うつ剤に匹敵する効果があり、なおかつ再発を防ぐのに、これ以上のものはないということなんです。

おまけに副作用もなし!
(筋肉痛はあり!)

運動は最高の薬になるってことですね。

運動の効果が世間に浸透してない理由

運動が、認知症も含め健康に対して驚くべき効果があるというお話をさせていただきました。

運動が体にいいってことは、もう誰でも知ってることですよね?

知ってるはずなのに、もともとスポーツなどやってた人でもなければ(中にはやってた人ですら)、なかなか実行に移れないものです。
ましてや継続するなんてねぇ(;´Д`)

高齢者が行動に移せないのは疾病などによる心身機能低下があり得るので、もちろん無理してやれってものではありません。

では、健康な人でもなかなか運動に踏み出せないのはなぜでしょう。

 

多くの人は、「運動しない事のリスク」「運動する事による恩恵」を知らない・自覚できていないことが理由です。

体にどういいのか、特に、認知症予防にどう影響するのかということまでは、多くの人が知らないんです。

 

昨今の情報社会にあって、なぜここまで浸透していないのでしょうか。

情報は発信者の意図と、受信者の需要が交わったものが浸透する

BMIの真実

肥満度を表すBMI(Body Mass Index)ってありますよね。
誰でも聞いたことのある、もはや常識です。

でもこれ実は、肥満を表すものとしての科学的根拠には乏しいんです。

 

BMIの計算式、ありますよね。

「体重」÷「身長の2乗」

僕は体重57kg、身長165cmなので、
57 ÷ {1.65 × 1.65} = 約20.94

※成人の正常値は22くらい

 

何が言いたいかわかります?

そうです。

僕の身長せめてあと5cmほし・・・

この計算方法では、筋肉量や脂肪量が一切無視されているんです。

筋肉なんて脂肪の3倍重いって言われているので、体重=肥満度とはちょっと違います。
筋肉や骨格など、脂肪以外の要因でも体重は変わりますので、体重の数値だけ重くても、肥満であるとは限らないんです。

たとえば、スポーツ選手とかボディビルダーみたいな人って体重は重いためBMIは高くなるけど、体脂肪率は低い。
逆に隠れ肥満みたいな人は、体重は軽いためBMIも低くなるのに、体脂肪率は高い。

どっちが健康的かは、言うまでもありませんね。

基準となる数値についても曖昧です。
肥満の基準として、日本で一般的に知られている数値は「25以上」。
しかし、WHOでは30以上としています。

BMIを広めた男

1883年、ドイツの数学者アドルフ・ケトレーがBMIを発明しました。

ですが、先述の通り体重と肥満度は必ずイコールってわけではありません。
それはケトレーもわかってたことで、ご本人も「肥満度を算出するには曖昧だ」と言っていたそうです。

 

なぜそんなBMIが、肥満を表すものとして世間の常識になっているのか。

これは、ある欲深いアメリカ人の策略が始まりだったのです・・・

 

そのアメリカ人、仮称を「ノアさん」としましょう。

ノアさん(仮)は保険会社に勤めています。

1945年、ノアさんが普段の業務中、顧客のリストを確認していたところ、あることに気づきます。

体重が重い人ほど保険料を多く支払っている傾向にあったんです。
正確には体格ですかね。
アメリカ人は肥満体系が多いので、健康への危機感から、保険をかける傾向があったんでしょう。

ノアさん、ここで「(゚∀゚)キタコレ!」とひらめきます。

「この傾向を利用すれば、保険料がっぽりとれちゃうんじゃね?」

 

きっとこの時ノアさん、悪い顔してたんでしょうねえ。

まあでも、肝心のがっぽりとる方法は何なんでしょうか。
赤の他人、それもかなりの大人数を太らせないことには、大した収入にはなりません。

でも、そんなこと不可能ですよね?

 

そこでまた、ノアさん(゚∀゚)キタコレ!します。

スポーツ選手と隠れ肥満の例のように、BMIの存在とその曖昧さを利用すれば、体型的には「標準」に該当する人も「肥満」と思い込ませることができると考えたのです。

今でこそ体組織計が普及していますが、体脂肪量を測定する簡単な方法がなかったのに対して、BMIの計算方法はかなーりシンプルです。(体重×身長の2乗)

この発想は大当たりしまして、見事、BMIは世間の常識となりました。

ノアさん、さぞかしホクホクしたでしょうね。

 

BMIと肥満については、「一般社団法人 日本肥満症予防協会」で詳しく説明されてますので、検索してみてください。

 

とにもかくにも、金儲け(ていうか詐欺?)のためにBMIは利用され、今や世界の基準になったということです。

宣伝効果

認知症に対して、薬、サプリメント、脳トレなどが効果的だとみんなが知っているのは、それがビジネスに活用されるからです。

認知症患者を抱える家族、どうにか認知症を予防したいと考える人にとっては、それらは多少お金を出してでも欲しいコンテンツなのがわかってるので、開発者はビジネスチャンスと必死こいて宣伝します。

BMIの話で言えば、ノアさんよっぽど宣伝したんでしょうね。
1945年当時はSNSなんてなかったので、拡散するのも大変だったと思います。

褒められた話じゃないですけど(;^ω^)

 

身体を動かすだけなら、それこそ体一つあれば事足りますよね。
やろうと思えばお金をかけなくてもできることなので、ビジネスのコンテンツには仕上げにくいんです。

まあでも、頭の良い人は工夫一つでビジネスを起こせるものです。
近年では、スポーツ用品メーカーとか、スポーツインストラクターなどが、運動と脳(子ども向けには運動と学力)の関係性を主張して、スポーツ始めませんかと推奨する場面を多く見かけるようになりました。

 

お金が絡むと、真実を歪めてしまうことがあります。
これは未来永劫なくなりません。
情報が不足していた昔も、インターネットで情報過多の現代でも、お金をめぐるトラブルの数は多分変わってないでしょうから。

そんなお金なんて、全部僕にくれればいいと思います。