パーキンソン病と認知症の関係とは?マイケル・J・フォックスの引退から考える

引退を発表したあの人

映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は、あなたも一度は聞いたことがあると思います。

そのシリーズ通して主役を演じてきたマイケル・J・フォックスが、令和2年11月20日に引退を発表しました。

その理由は、「記憶力の低下」とのことです。

 

マイケル・J・フォックスは、この映画の1作目にしてハリウッドスターになりました。

しかし、3作目の撮影中、身体に異変を感じて通院。

パーキンソン病と診断されました。

当時30歳です。

 

パーキンソンの代表的な症状には、

  1. 手足の震え
  2. 筋肉のこわばり
  3. 動きが鈍くなる
  4. 歩く時などにバランスがとりにくくなる

があり、パーキンソン病の4大症状と言われています。

マイケル・J・フォックスは、このパーキンソン症状によって、思うように身体を動かせず、奥さんにコーヒーを入れて運ぶことも出来なくなったそうです。



当時の映画撮影は、身体の震えを薬で無理矢理抑えながら続けていたそうです。

その中で1番辛かったのは、映画の台本を覚えれないことと話しています。

 

パーキンソン病とは

パーキンソン病とは、脳の一部に異常が生じることで発症する病気です。

パーキンソン病では、細かい作業ができない、自分の思ったタイミングで歩き出せない、小刻みになってスムーズに歩行できないなどの症状がみられるようになります。

日本ではおよそ1000人に1人が発症すると言われています。
60歳以上ではおよそ100人に1人です。

その中でも、40歳以下で発症する方もおり、それを若年性パーキンソン病と言います。

今後高齢化が進むにつれて、発症する方の数は増えると考えられますね。

 

原因

パーキンソン病は、中脳の黒質にある神経細胞が減少することで起こります。

この黒質は、ドーパミンを産生するのに重要です。
それが障害されることで、ドーパミンが十分に産生されなくなります。

それによってパーキンソン病を発症すると考えられているんです。

 

レビー小体型認知症との関係

パーキンソン病では、ドーパミンを産生する神経細胞の中に、レビー小体と呼ばれる細胞の塊が蓄積しています。

レビー小体はパーキンソン病以外で、レビー小体型認知症にもかかわっていると言われてるんです。

どちらもレビー小体に関連して病状が発症するので、これらの疾患をまるっとまとめて、「レビー小体病」と言う専門家もいるそうです。

レビー小体型認知症について詳しくまとめた記事がありますので、参考にどうぞ。

 

また、ある説では、「パーキンソン病とレビー小体型認知症の違いは何か」について、

「違いはないです」

と断言する意見もあります。

ちょっと解説しますね。

 

パーキンソン病の4大症状は、最初にお話しした通りです。
ちゃんとした症状名で言うと、

  1. 制止時振戦
    筋肉に力を入れていないときに起こる1秒に4〜7回程震える。
    筋肉に力を入れるとこの震えは消えるが、しばらく同じ姿勢でいると、また現れることもある。
  2. 筋固縮
    身体を動かそうとしたとき、筋肉がこわばって、抵抗感を感じるようになる。
  3. 動作緩慢(または無動・寡動)
    動作がゆっくりになる。
  4. 姿勢反射障害
    歩く時などにバランスが悪くなり、転倒してしまうことも。

これ以外では、嗅覚症状や便秘、低血圧、発汗障害なども見られることがあります。

匂いが感じられなくなったら、PCR検査もいいですが、パーキンソン症状もないか確認した方がいいかもしれませんね(-_-;)

さらに、精神面への影響もあって、うつや認知機能低下、幻覚、妄想などが出現することもあります。

 

パーキンソン病においても、認知症状が見られることがあるんです。
パーキンソン病の診断を受けてから認知症状が見られた場合、「認知症を伴うパーキンソン病」と診断される場合があります。

 

一方で、レビー小体型認知症ではパーキンソン症状を伴う場合があります。

 

「どう違うの?」って聞かれたら、「まあ、同じ?」って言うしかないですね(;^ω^)

 

レビー小体は全身の神経に発生するんですが、脳のどこに多く発生したかによって、症状が違います。

正確に言えば、出現する症状の順番が違います・・・かな?

要は、黒質の病変ありきで言うと、

  • 制止時振戦・筋固縮・動作緩慢・姿勢反射障害が先に出たらパーキンソン病
  • 認知症状が先に出たらレビー小体型認知症

ということです。

極端な話、4大パーキンソン症状があるのでパーキンソン病の診断を受けて、後から認知症状が見られたら「認知症を伴うパーキンソン病」。

認知症状が見られた後にパーキンソン症状が見られたら、レビー小体型認知症と診断されるんです。

パーキンソン病の既往がある方が認知症状を発症するケースは、介護施設経験がある方なら、見たことがあるかもしれませんね。

 

ということでつまり、パーキンソン病とレビー小体型認知症は同じものということになります。

 

記憶障害

パーキンソン病にも認知症が併発するのであれば、記憶障害が発症しても不思議はないということになります。
レビー小体型認知症しかり。

マイケル・J・フォックスも、30歳でパーキンソン病を患い、身体的な症状に加えて、どんどん台本が覚えられなくなってきたことに苦しんでいたそうです。

パーキンソン病が進行するにつれて記憶障害も顕著になり、59歳の若さで引退を発表されました。

 

パーキンソン病を発症した有名人は結構多いです。

良く知られているところで、

  • モハメド・アリ
  • オジーオズボーン
  • 永六輔
  • 江戸川乱歩など

記憶障害で言うと、ハリーポッターのダンブルドア先生でおなじみのリチャード・ハリスも、記憶力の低下に悩んでいたそうですね。