胃食道逆流とは
胃食道逆流症ってご存知ですか?
胃液や胃酸が逆流して、胸やけとか呑酸(どんさん=すっぱいゲップ)などの症状を起こす病気です。
昔はお年寄りとか、欧米の方に多かったんですが、近年の日本では、食生活が変わったなどで、若い人でもみられるようになったそうです。
逆流性食道炎と言った方が聞き馴染みがあるかもしれませんね。
逆流性食道炎は逆流性食道症の一種です。
種類や特徴については、脱線するので今回はお話ししないでおきます。
ググってみてね。
胃食道逆流の症状
先ほどお話ししましたが、胃液や胃酸の逆流により、胸やけや呑酸が見られます。
他にも、胸の痛み、胃のもたれ、のどの違和感やかすれ、咳や気管支炎などがあり、たまに耳の痛みまで出る人もいます。
胸やけとか胸の痛みが出る理由は、食道が胃酸で刺激されるためです。
食べ物も、胃に入ると胃酸によって酸性になります。
胃は酸に強くできているんですが、食道は酸に対して無防備です。
なので、胃酸などが逆流すると、食道がノーガードでパンチもらって炎症起こしちゃうんですね。
胃食道逆流の原因
一般的に、胃食道逆流を起こしやすい人の特徴は、
- 脂っぽい食事や甘いものの間食が多い
- 過食・過食気味
- 早食い
- 肥満
- お酒大好き
- タバコやめらんない
- ストレス過多
- 胃や食道の器質的な問題
って感じです。
さらに、お年寄りや急性期治療を受けている方の場合だと、食道の括約筋がゆるんでいる可能性があります。
加齢の影響と、鼻腔カテーテル留置によって、食道の入り口や胃の噴門部(食道とつながる胃の入り口)のしまりが悪くなるんです。
しまりが悪いってことは、出入り口が開きっぱなしになってるってことです。
なので、胃の中のものが「おい、あそこ開いてるぜ!行ってみよう!」となるわけです。
摂食嚥下との関係
カテーテルのリスク
介護施設でも、鼻腔カテーテル留置の方は時々いらっしゃると思います。
なぜカテーテル留置になっているかというと、もちろん、口から食べるのが困難であると診断されたからです。
例えば昔は、誤嚥性肺炎の診断を受けるとすぐに絶食指示が出ていました。
で、たいていの場合は点滴を受けて、状態が落ち着いたところでカテーテル留置してゆっくり栄養摂っていきましょーって感じ。
そうしている間に、どんどんどんどん摂食嚥下機能が低下していくんです。
もちろん、診断を受けた初日~3日くらいはさすがに食べれないこともあるでしょうけどね。
経口摂取を再開するにしても、最低限の体力は必要です。
最低限の体力を得るためには、最低限の栄養を摂らなくてはなりませんね。
経口摂取を焦るあまり、体力面を無視してしまっては、かえって病状の悪化を招く可能性もあります。
なので、最初の内はカテーテルによる栄養摂取、あるいは経口摂取との併用によって、栄養を確保する必要があるんです。
逆流のリスク
逆流の程度によっては、逆流物が食道から咽頭へ飛び出す可能性もあります。
嘔吐に至ることもありますね。
逆流物や嘔吐物は、出てきた勢いで気管に入り込む危険性があるので、それによってまた誤嚥性肺炎を発症するかもしれないんです。
逆流するってことは、せっかく摂ろうとした栄養が吸収する前に出て行っちゃうことになるので、最低限の体力も確保できません。
それに嘔吐って、結構体力消耗するんですよね。
胃食道逆流を防ぐ対策
まずは一般的な対策を挙げときます。
食生活の改善
揚げ物などの脂っこいもの、脂肪の多いもの、甘いものを避けた方がいいのはご存知の方も多いと思います。
胃食道逆流のある人によくないものは、他にも結構あるんです。
- みかんやパイナップルなど酸味・刺激のあるもの
- コーヒー
- 紅茶
- お酒
脂っこいものなども含めて、これらは胃酸の分泌を促す作用がある上に、吸収や腸への送り出しにも時間がかかるので、逆流が起こりやすくなります。
中でもアルコールは、食道下部括約筋をゆるくする作用もあるんです。
お酒飲み過ぎると吐いちゃうのは、この作用のせいでもあるわけですね。
食べ物じゃないけど、もちろんタバコもだめですよ。
腹圧をかけない
腹圧がかかるっていうのは文字通り、お腹を圧迫するってことですね。
- きつめのズボンを履く
- 前かがみになる
- 重いものを持つ
- トイレできばる
- 腹部マッサージなど
腹圧がかかると、胃の中のものが押し出されて逆流する可能性があります。
僕もよく、ご飯食べてゴロゴロしてると、子どもがお腹の上に乗って暴れるので、「ゲー出る!ゲー出る!」って言ってます(;´Д`)
姿勢の取り方
食後すぐに横になると、胃も横向きになるので、中のものが出てきやすくなります。
食べ終わったら、しばらくはゴロゴロせず起きてるようにしましょう。
ゴロゴロしてると子どもに乗られるので(;´Д`)
理想は1~2時間ですね。
胃が空になるのは食後2時間前後らしいので、最低でもそれくらいは身体を起こしている必要があります。
よく、「寝る前2時間は食事を摂らないようにしましょう」って言いますよね?
あれは、もちろん太りやすいからってのもあるんですけど、逆流を防ぐためにもいいんです。
お年寄りなど、長く起きてられないような方であれば、ベッドを45度以上にギャッジアップしましょう。
これは、経管栄養の方に食事を流入中・流入後でも必須の角度です。
で、1~2時間経ったら、角度は10~20℃くらいまで下げて大丈夫です。
この時、左側臥位(左を向いて寝る姿勢)にしておくと、胃の構造上、逆流しにくくなります。