【ケアマネ必見】短期入所療養介護の加算を徹底解説!医療型ショートステイの料金体系と注意点

ケアマネとしては、サービス事業所ごとの全ての加算を把握する必要はありません。

加算の数はケアマネだけでもたくさんあるし、サービス利用表を作成するにも、その事業所に確認すれば済む話ですからね。

ただ、「こんな加算があるんだね」程度にでも把握しておくと、その後の利用時に事業所との打ち合わせが実にスムーズになります。
そういう連携がスムーズだと、相手方の事業所から「できるケアマネ」認定がもらえますので、さらっと覚えてってくださいね!

あるいは、アセスメントする中で、「こんな課題(ニーズ)があったけど、これを解決できるデイサービスはどこかな?」って考えた時に、普段なんの加算を算定しているかでそのデイの特色が分かります。
そんな風に、課題(ニーズ)解決のヒントになったりするので、ケアマネが把握しておく理由にはなると思いますよ。

この記事では、短期入所療養介護で扱われる主な加算と単位について、分かりやすく解説していきます。

 

短期入所療養介護と短期入所生活介護の違い

加算などの話の前に、短期入所療養介護と短期入所生活介護の違いについて簡単に話しておきます。

  1. 短期入所生活介護(以下、生活介護)は一般型ショートステイとも呼ばれ、老人短期入所施設や特別養護老人ホーム等へのショートステイ。
  2. 短期入所療養介護(以下、療養介護)は医療型ショートステイとも呼ばれ、介護老人保健施設(以下、老健)や療養病棟のある病院・診療所、介護医療院等へのショートステイ。

単なる入所先の違いではなく、その目的によって利用先が変わります。
家族の急用やレスパイトケアなども前提のひとつとしてありますが、①はメインが日常生活支援で、②は日常生活支援も行いますが、看護・医学的管理下での介護やリハビリがメインとなります。

療養介護は、老健から退所したり、デイケア等からの流れで利用する場合が多いかもしれませんね。

短期入所療養介護の基本報酬

加算を知る前に、短期入所療養介護で算定する短期入所療養介護費=基本報酬について知っておいた方が良いですね。
基本報酬とは、利用者さんに請求する料金の内、最低限算定できる部分になります。
「オプションなしの料金」ってところでしょうか。

ショートステイなどの入所系サービスは、利用者さんの要介護度によって料金が変わります。
さらに、施設及びその居室には種類がありますので、料金体系は多岐にわたります。
医療が絡んでるだけあってかなり複雑なので、この記事では介護老人保健施設に絞って解説していきます。

介護老人保健施設短期入所療養介護費

名前長いですね。

生活介護と共通している部分として、従来型の施設とユニット型の施設、従来型個室・多床室とユニット型個室がありますが、療養介護は体制によってさらに種類があります。
まずは従来型の基本報酬を見ていきましょう。

名前長すぎるので一部省略していきますね。

要介護1要介護2要介護3要介護4要介護5
老健短期入所
療養介護費(Ⅰ)
老健短期入所
療養介護費(ⅰ)
【従来型個室・
基本型】
752単位799単位861単位914単位966単位
老健短期入所
療養介護費(ⅱ)
【従来型個室・
在宅強化型】
794単位867単位930単位988単位1044単位
老健短期入所
療養介護費(ⅲ)
【多床室・
基本型】
827単位876単位939単位991単位1045単位
老健短期入所
療養介護費(ⅳ)
【多床室・
在宅強化型】
875単位951単位1014単位1071単位1129単位
老健短期入所
療養介護費(Ⅱ)
【療養型老健・
看護職員を配置】
老健短期入所
療養介護費(ⅰ)
【従来型個室・
療養型】
778単位861単位976単位1054単位1131単位
老健短期入所
療養介護費(ⅱ)
【多床室・
療養型】
857単位941単位1057単位1135単位1210単位
老健短期入所
療養介護費(Ⅲ)
【療養型老健・
看護オンコール体制】
老健短期入所
療養介護費(ⅰ)
【従来型個室・
療養型】
778単位855単位950単位1026単位1103単位
老健短期入所
療養介護費(ⅱ)
【多床室・
療養型】
857単位934単位1029単位1106単位1183単位
老健短期入所
療養介護費(Ⅳ)
【特別介護老人保健施設
短期入所療養介護費】
老健短期入所
療養介護費(ⅰ)
【従来型個室】
737単位782単位845単位897単位948単位
老健短期入所
療養介護費(ⅱ)
【多床室】
811単位860単位920単位971単位1024単位

ユニット型介護老人保健施設短期入所療養介護費

特養同様、ユニット型の老健も増えてきています。

要介護1要介護2要介護3要介護4要介護5
ユニット型
老健短期入所
療養介護費(Ⅰ)
ユニット型
老健短期入所
療養介護費(ⅰ)
【ユニット型個室・基本型】
833単位879単位943単位997単位1049単位
ユニット型
老健短期入所
療養介護費(ⅱ)
【ユニット型個室・在宅強化型】
879単位955単位1018単位1075単位1133単位
経過的ユニット型老健短期入所
療養介護費(ⅰ)
【ユニット型個室的多床室・
基本型】
833単位879単位943単位997単位1049単位
経過的ユニット型老健短期入所
療養介護費(ⅱ)
【ユニット型個室的多床室・
在宅強化型】
879単位955単位1018単位1075単位1133単位
ユニット型老健短期入所
療養介護費(Ⅱ)
【療養型老健・
看護職員を配置】
ユニット型老健短期入所
療養介護費
【ユニット型個室・療養型】
944単位1026単位1143単位1221単位1296単位
経過的ユニット型老健短期入所
療養介護費
【ユニット型個室的多床室・
療養型】
944単位1026単位1143単位1221単位1296単位
ユニット型老健短期入所
療養介護費(Ⅲ)
【療養型老健・
看護オンコール体制】
ユニット型老健短期入所
療養介護費(ⅰ)
【ユニット型個室・療養型】
944単位1020単位1116単位1193単位1269単位
経過的ユニット型老健短期入所
療養介護費(ⅱ)
【ユニット型個室的多床室・
療養型】
944単位1020単位1116単位1193単位1269単位
ユニット型老健短期入所
療養介護費(Ⅳ)
【ユニット型特別介護老人保健施設
短期入所療養介護費】
ユニット型老健短期入所
療養介護費(ⅰ)
【ユニット型個室】
816単位863単位924単位977単位1028単位
経過的ユニット型老健短期入所
療養介護費(ⅱ)
【ユニット型個室的多床室】
816単位863単位924単位977単位1028単位

長いしややこしいですが、利用する施設に聞けばどの種類かわかりますので、丸暗記する必要はないですよ。
それと、【経過的ユニット型】は廃止になりますのでご注意を。

短期入所療養介護の主な加算一覧

療養介護で算定する主な加算について解説します。
※算定しているケアマネ視点で把握しておくべき加算をピックアップしてますので、加算の全てではありません。
また、入所系サービスに初回加算はありません。

送迎加算

送迎加算とは、サービス利用に当たり、施設側で送迎を行った場合に算定できる加算です。
片道186単位です。

通所サービスの送迎は基本報酬に含まれていて、送迎しなかった場合は減算という形をとっていますが、ショートステイの場合は「送迎したら加算」です。

 

夜勤職員配置加算

夜勤職員配置加算は、各施設に入居している利用者の人数に応じた夜勤職員(介護職・看護職)がどう配置されているかで算定できる加算です。

1日24単位算定できます。

個別リハビリテーション実施加算

利用者ごとに個別リハビリテーション計画を作成し、その計画に基づいて医師または医師の指示を受けた理学療法士(PT)等が個別リハビリテーションを行った場合に算定できます。

1日240単位です。

基本報酬のⅣ【(ユニット型)特別介護老人保健施設短期入所療養介護費】では算定できません。

療養食加算

療養食加算とは、利用者さんの年齢や心身の状況に応じて、適切な栄養管理や療養食を提供した場合に算定できる加算です。
管理栄養士の配置が必要になります。

1日3回を限度に、1回8単位

療養食とは、心疾患の方の塩分・水分管理や、糖尿病の方のカロリー調整等のことです。
要件にはありませんが、主治医から摂取制限の指示があることを確認する必要があります。

緊急短期入所受入加算

緊急短期入所受入加算とは、ケアプランによる計画にない、緊急的なショートステイ利用をした場合に算定できる加算です。

1日につき90単位で、7日間が限度です。
ただし、介護者である家族等の疾病等やむを得ない事情がある場合は、14日間までを限度に算定できます。

コロナ過では一時的に、4日間を限度に全てのショートステイ利用者に対して算定していましたね。

ちなみに、主治医が認める重度の認知症状のため在宅生活が困難になった方を受け入れた場合、認知症行動・心理症状緊急対応加算を算定できるんですが、その場合は緊急短期入所受入加算は算定できません。

認知症行動・心理症状緊急対応加算は1日200単位算定できます。

重度療養管理加算

以下①~⑨に該当する、かつ要介護4~5の利用者に、計画的な医学的管理を行い、かつ療養上必要な処置を行った場合に算定できます。

  1. 常時頻回の喀痰吸引
  2. 人工呼吸器を使用
  3. 中心静脈注射を実施
  4. 人工腎臓を実施、かつ重大な合併症を有する
  5. 重篤な心機能障害・呼吸器障害等により常時モニター測定を実施
  6. 膀胱または直腸の機能障害があり、かつストマの処置を実施
  7. 鼻腔カテーテルや胃瘻等の経管栄養
  8. 褥瘡治療を実施
  9. 気管切開を実施

各基本報酬のⅠに限り、1日120単位を算定。

老健ショートステイ利用時の2つの注意点

ショートステイ利用に際して、ケアマネが特に注意するべきことが2つあります。

医療サービスであること

療養介護は、訪問看護等と同じ医療サービスです。

利用に当たっては、主治医に利用の是非や留意点等について意見聴取しなければなりません。

 

30日の縛り

療養介護の利用が連続30日を越えると、31日目の料金は実費(10割負担)になります
32日目からは元に戻り、生活介護のような減算もありません。
これは、中には長期の療養が必要な方がいるためだと思われます。

ただ、老健の場合は空床利用(長期入所者が退所・死亡等で空いた場合に、次の長期入所者は入るまでショートステイ枠として利用すること)であることが多いので、30日以上入所すると分かっているなら、そのまま長期入所を勧められると思います。

ちなみに、生活介護を30日利用し、31日目に療養介護に移った場合は、30日の縛りはなくなります。
もちろん、そこから31日以上どこにも移らず連続利用すれば縛りは復活しますし、生活介護からの生活介護、療養介護からの療養介護と、同じ種別同士で移っても縛りはなくなりません。

まとめ

短期入所療養介護の加算は、施設サービスかつ医療サービス故か、生活介護に輪をかけたように複雑です。

これ以外の加算・減算もあるので、利用する際は必ず事業所に確認しておきましょう。

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