新人ケアマネが迷いがちな「訪問リハ」と「訪問看護」によるリハビリの違いを解説します

新人ケアマネとして活躍するあなた。

覚えること、山ほどありませんか?

  • ケアマネ試験合格からの実務研修
  • ケアマネ事業所の上司・先輩の指導
  • ケアマネになってからの研修(専門研修・更新研修含む)

これだけでも情報量が多すぎてそうそう覚えられたものではありません。
しかし、ケアマネの大変なところは、十分な研修や指導を受ける前に独り立ちすることが多いということです。
さらに言えば、研修の内容だけでは対応しきれないことが、序盤からドバドバやってきます。
僕も新人の頃、それでさんざん悩まされました。

そんなあなたのお役に立てればと思い、僕の体験を交えつつ、ケアマネとしての基礎知識を徹底解説していきます。

この記事では、「訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)事業所によるリハビリ」と「訪問看護ステーションによるリハビリ」の違いについてお話します。

 

 

訪問リハビリとは

訪問リハビリとは、主治医の指示に基づいて自宅で受けられるリハビリテーションです。

リハビリを行うのは、訪問リハビリを行う事業所に所属する

  • 理学療法士(PT)
  • 作業療法士(OT)
  • 言語聴覚士(ST)

の内、リハビリに目的に沿ったリハビリを行う人です。

ここでは介護保険での利用を前提にお話ししますが、主治医が認めれば、介護認定を受けていない方や、認定を受けていても難病や急性増悪があった場合は医療保険で訪問リハビリの利用は可能です。

訪問リハビリで行う支援内容は、おおむね次の通りです。

  • 健康管理(バイタル測定・健康状態の把握など)
  • 身体状況の評価(身体測定・体力測定・病状や身体機能の把握)
  • 日常動作訓練(歩行訓練・家事動作訓練・買い物などの外出訓練など)
  • 摂食嚥下訓練(口腔体操・食事内容のアドバイスなど)
  • 専門業者と福祉用具の選定支援

できるようになるためのリハビリ」だけでなく、「できなくならないためのリハビリ」(介護予防)も行います。

訪問リハ事業所と訪問看護ステーションの違い

訪問リハビリで行う内容はどれも一緒ですが、提供する事業所によって種類が違います
介護保険上で訪問リハビリを提供できるのは、訪問リハ事業所問看護ステーションです。

リハビリを行う事自体は同じでも、これらは制度上の位置づけが違いまして、それに伴って手続きや書類も違います。
また、制度上での名称の違いは、厳密に言うと

  • 訪問リハビリ事業所が提供する訪問リハビリテーション
  • 訪問看護ステーションが提供するリハビリテーション

という違いです。

ややこしいですが、ケアマネとしては、サービス利用票作成にも関わってくるので、さらっとでも把握しておくことをお勧めします。

 

訪問リハ事業所による訪問リハビリ

訪問リハ事業所は、主に医療機関を指します。
医療機関とは、病院・診療所、介護医療院、介護老人保健施設であり、それぞれ介護保険での訪問リハビリを行えます。
(医療保険もありますが、介護老人保健施設では介護保険のみです。)
中には訪問リハビリ事業所として独立した事業所(訪問リハビリテーション)もあります。

訪問リハ等医療サービスを実施する場合、主治医の指示書が必要になりますが、訪問リハビリにおいての指示書は「訪問リハビリ指示書」になります。

訪問リハ事業所で作成するリハビリの計画書の名称は「リハビリテーション実施計画書」です。
ケアマネは直接関わらないんですが、病院・診療から訪問リハを行うに当たり、主治医が別の医療機関だった場合は、主治医による「診療情報提供書」が別途必要になります。

ケアマネが作成するサービス利用票でのサービス種別は「訪問リハ」になります。

訪問看護ステーションによるリハビリ

訪問看護も、言わずもがな医療サービスですので、主治医の指示書が必要になります。
訪問リハと同様にリハビリを行う場合でも、訪問看護ステーションの場合の指示書は「訪問看護指示書」です。

訪問看護ステーションによるリハビリの計画書は「訪問看護計画書」で、訪問看護の一環としてリハビリを行う場合に、計画書に盛り込みます。
計画書の作成は、PTなどリハビリ職だけでなく事業所の看護師と連携して作成することになります。
なので、訪問看護ステーションの場合はリハビリの日程以外にも、状態把握のための訪問看護を別の日程で提供することになるんです。

つまり、毎週月曜日に「リハビリ目的の訪問看護」を予定していたら、月曜日以外の曜日に「健康チェック等を目的とした訪問看護」が最低3ヶ月に1回入るということです。

リハビリを導入する際のケアマネ業務

ケアマネが自宅でのリハビリをケアプランに盛り込む場合、訪問介護等の介護サービスよりも手順が多いんです。

通常、介護サービスを利用する場合の流れは次の通りです。
訪問介護を利用するとします。

  1. アセスメントの結果、訪問介護が必要となった(本人・家族の同意済)
  2. ケアマネから訪問介護事業所へ連絡し、回数や曜日など利用調整する
  3. サービス担当者会議を行う
  4. ケアプランに同意を得て、訪問介護開始

簡単にまとめれば、こんな流れですね。

これが訪問看護等の医療サービスの場合、途中ひと手間が入ります。

  1. アセスメントの結果、訪問看護が必要となった(本人・家族の同意済)
  2. ケアマネから主治医へ、訪問看護を利用する運びになった旨と、療養上の助言等をもらう(意見聴取)
  3. ケアマネから訪問看護ステーションへ連絡し、回数や曜日など利用調整する
  4. サービス担当者会議を行う
  5. ケアプランに同意を得て、訪問看護開始

※②と③は前後しても大丈夫です。
ただし、②の主治医への連絡方法がFAXなど書面の場合、返答をもらうまで時間がかかる(1週間以上かかることも)ことが多いので、同時進行で進めていくのがいいでしょう。
(市町村によってやり方が違うので、あなたの市町村のやり方を確認してくださいね)

 

主治医からの意見聴取の注意点

主治医からの意見聴取について、少々注意が必要です。
例えば「訪問リハビリ」として意見聴取したのに、「訪問看護によるリハビリ」を導入した場合。
この場合、主治医は事業所から「訪問リハビリ指示書」作成依頼が来ると思います。
しかし、導入したのは訪問看護ステーションの方なので、実際に来る作成依頼は「訪問看護指示書」です。
気を遣ってそのまま作成してくれるお医者さんもいますが、まれに「話が違うから書けない」と突っぱねられることもあります。
あらかじめ訪問看護ステーションを利用することがわかっているなら、ちゃんと「訪問看護によるリハビリ」として意見聴取してください。
あるいは、訪問リハでも訪問介護でも、本人らの希望する曜日・時間に空きがあることを確認してから、主治医に意見聴取するのが確実です。

病院からの依頼で、入院中の患者さんの担当を請け負う際、退院に向けて、関係者を集めて会議を行います。
それが退院カンファレンスです。
退院カンファレンスではおおむね、病院の医師・看護師等、本人・家族、居宅サービス事業所、ケアマネが参加しますが、本人の病状によって病院側から訪問看護等医療サービスなどの利用を勧められる場合があります。
なので、そのカンファ内で医療サービスの必要性と療養上の助言等を確認できれば、それをもって意見聴取とすることもできます。
ただし市町村によっては、カンファの有無に関わらず全て公式の文書を使えってところもありますのでご注意を。

ケアプランが完成したら

医療サービスを盛り込んだケアプランを作成し、サービス担当者会議を終えて署名をもらって完成したら、本人・家族はもちろん、ケアプランに盛り込まれた事業所全てに写しを交付します。

医療サービスを利用するために意見聴取した主治医のことはケアプランに記載しませんが、意見聴取をした以上は、主治医に対してもプランの写しを交付しなければなりません。
「先生にあげたよ!」っていう記録もしっかりつけておきましょう。

介護認定更新月にやること

介護認定の有効期間満了が近づくと、認定更新に合わせてケアプランの更新も行いますよね。
それに合わせて、もう一度主治医から意見聴取を行わなければなりません。(市町村による?)
手順は最初の時と同じです。
基本的には更新月の上旬~中旬のうちにやりとりを済ませちゃいましょう
やるのを忘れちゃってても慌てず、更新月をまたいだ後でも意見聴取してください。
やらないよりはずっとマシです。
僕はしょっちょう忘れま

更新プランの交付も忘れないでくださいね。

まとめ

訪問リハ。

訪問看護のリハ。

かなりややこしいですが、そこだけクリアしちゃえばあとはやることは一緒です。
ひとつひとつ手順を確認して、間違わないように気を付けてみてください。