訪問看護の加算で迷ったらコレ!ケアマネが知っておきたい基本と応用

ケアマネとしては、サービス事業所ごとの全ての加算を把握する必要はありません。

加算の数はケアマネだけでもたくさんあるし、サービス利用表を作成するにも、その事業所に確認すれば済む話ですからね。

ただ、「こんな加算があるんだね」程度にでも把握しておくと、その後の利用時に事業所との打ち合わせが実にスムーズになります。
そういう連携がスムーズだと、相手方の事業所から「できるケアマネ」認定がもらえますので、さらっと覚えてってくださいね!

あるいは、アセスメントする中で、「こんな課題(ニーズ)があったけど、これを解決できるデイサービスはどこかな?」って考えた時に、普段なんの加算を算定しているかでそのデイの特色が分かります。
そんな風に、課題(ニーズ)解決のヒントになったりするので、ケアマネが把握しておく理由にはなると思いますよ。

この記事では、訪問看護で扱われる主な加算と単位について、分かりやすく解説していきます。

 

訪問看護の基本報酬

加算を知る前に、訪問看護事業所で算定する訪問看護費=基本報酬について知っておいた方が良いですね。
基本報酬とは、利用者さんに請求する料金の内、最低限算定できる部分になります。
「オプションなしの料金」ってところでしょうか。

デイサービスの基本報酬は要介護度によって変わりますが、訪問看護の場合は支援時間によって変わります。

  • 訪問看護Ⅰ1
    20分未満 312単位
  • 訪問看護Ⅰ2
    30分未満 469単位
  • 訪問看護Ⅰ3
    30分以上1時間未満 819単位
  • 訪問看護Ⅰ4
    1時間以上1時間半未満 1122単位

ヘルパーなんかもそうですが、どのような支援を行うかで必要な時間が変わってくるので、事業所に確認しましょう。

訪問看護の主な加算一覧

訪問看護で算定する主な加算について解説します。
※算定しているケアマネ視点で把握しておくべき加算をピックアップしてますので、加算の全てではありません。

初回加算

初回加算は、訪問看護を始めて利用した場合、最初の1カ月に1回だけ算定できます。
1回300単位です。

実は、まるっきり初めてじゃなくても算定できる場合があります。

利用したことはあるが、過去2か月間に訪問看護を利用しておらず、再度利用する際に前と違う訪問看護計画書を新たに作成した場合にも算定できるんです。

緊急時訪問看護加算

緊急時訪問看護加算とは、いわば保険のようなものです。

利用者さんの体調が急変した時など、本人・家族等から電話を受けた際に、電話対応では不十分と判断された場合、時間を問わず緊急訪問して必要な処置をしてもらえます。

この加算は、そんな緊急訪問をしてもしなくても、月額として574単位算定されます。
この加算がなければ、極端な話、夜中などに何があっても対応もしてもらえないわけですが、加算があれば安心を担保できるということです。
まさに保険ですね。

ちなみに、緊急訪問で処置した場合は、加算と別に時間に応じた訪問看護費が請求されますのであしからず。

特別管理加算

特別管理加算とは、特別な医療を受けている方に支援を行った場合に算定する加算です。
その医療の内容によって算定内容が変わります。

特別管理加算Ⅰ

  • 経鼻・胃瘻などの経管栄養チューブ管理
  • 腹膜透析
  • 気管切開・気管カニューレ
  • 膀胱留置カテーテル
  • PTCD(胆道ドレナージ)など、各種ドレーンを留置
  • 輸液用ポート
  • 数日間継続的に行っている、留置針による点滴等

これらの状態にある方に対して計画的な管理を行っている場合に、500単位/月を算定できます。

特別管理加算Ⅱ

  • 在宅自己腹膜灌流指導管理
  • 在宅血液透析指導管理
  • 在宅酸素療法指導管理
  • 在宅中心静脈栄養法指導管理
  • 在宅成分栄養経管栄養法指導管理
  • 在宅自己導尿指導管理
  • 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理
  • 在宅自己疼痛管理指導管理
  • 在宅肺高血圧症患者指導管理
  • 人工肛門、人口膀胱の設置
  • 真皮を越える褥瘡
  • 週3日以上の点滴注射

これらの状態にある方に対して計画的な管理を行っている場合に、250単位/月を算定できます。

「真皮を越える褥瘡」の方には、週1回以上、褥瘡の状態の観察・評価・記録をしなければなりません。

注意点

特別管理加算ⅠとⅡは併用できません。
両方該当する場合は、高い方(Ⅰ)を算定する場合がほとんどです。

また、Ⅰに該当する状態が2つ以上あったとしても、算定額は同じです。

もし2か所の訪問看護事業所を利用していたとしも、算定できるのはどちらか1つの事業所です。
その場合は、どちらの事業所で算定するかを話し合う必要があります。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護看護小規模多機能型居宅介護医療保険での訪問看護における特別管理加算との併用はできません。

医療保険における訪問看護とは、難病や末期がん、急性増悪などがあった時に原則週4回(必要に応じて週4回以上)利用できるサービスです。
基本的に訪問看護は介護保険を優先して利用しますが、難病等の要件に該当し、医師の指示を受けられた場合は医療保険での利用が可能になり、介護保険における区分限度基準額に左右されることなく、必要な看護が受けられます。
ちなみに医療保険は国民全員が加入する「皆保険」なので、介護保険と違い、年齢関係なく利用することができます。
医療保険と介護保険の併用についてはいろいろ規定がありますが、主に統合失調症など精神疾患がある場合に併用可能とされています。

長時間訪問看護加算

長時間訪問看護加算とは、特別管理加算を算定している利用者さんに対して、1時間30分以上のサービスを実施した場合に算定できます。

1日につき300単位、特別管理加算と併用しての算定が可能です。

ターミナルケア加算

訪問看護におけるターミナルケア加算は、利用者の死亡日及び死亡日前14日以内(計15日間)に2日以上、ターミナルケアを行った場合に2,000単位を算定できます。

医療保険と介護保険の併用について先述しましたが、併用している場合でターミナルケア加算を算定するには、最後に利用したのが医療保険によるものである必要があります。

複数名訪問看護加算

複数名訪問看護加算とは、以下の利用で、1人の利用者に対し2人以上の看護職員がサービス提供した場合に算定する加算です。

  1. 利用者の身体的な問題(体格が大きい、拘縮が酷いなど)で、1人の看護師では対応が難しい
  2. 利用者の暴力行為・著しい迷惑行為・器物破損行為がある
  3. その他①②に準ずる行為がある

複数名訪問看護加算Ⅰ

2人の看護師等が同時に支援を行った場合に算定。

  • 30分未満
    254単位
  • 30分以上
    402単位

複数名訪問看護加算Ⅱ

看護師等1人と看護補助者等が同時に支援を行った場合に算定。

  • 30分未満
    201単位
  • 30分以上
    317単位

退院時共同指導加算

退院時共同指導加算とは、病院や介護老人保健施設などから退院・退所する利用者について、主治医等から在宅での療養に関する指導を受けた上で、退院・退所後に訪問看護を実施した場合に算定できる加算です。

もともとは、一堂に会してカンファレンスを行う必要がありましたが、コロナ過等の理由もあって、テレビ電話等の活用もできるようになりました。

基本的には退院・退所後の支援1回に限り算定できますが、特別管理加算の対象者の場合は2回の算定が可能です。
1回の場合で2か所の訪問看護事業所を利用している場合は、どちらか一方にしか算定できません。
2回の場合は、2か所の事業所それぞれに1回ずつ算定できます。

訪問看護サービス提供体制加算

訪問看護サービス提供体制加算とは、訪問看護のサービスの質を向上するための加算です。

ⅠとⅡがありますが、違いは職員の勤続年数の長さによります。

Ⅰは1回につき6単位。
Ⅱは1回につき3単位の算定です。

まとめ

訪問看護の加算は、医療サービスなだけあって、訪問看護等と比べても複雑です。

ですがその分、ケアマネ事業所の加算にも影響してくる部分が多いので、訪問看護の加算を把握しておく意味は大いにあります。

実際に利用票に挙げてみると結構大変ですが、名前だけでも憶えて帰ってくださいねー!