新人ケアマネとして活躍するあなた。
覚えること、山ほどありませんか?
- ケアマネ試験合格からの実務研修
- ケアマネ事業所の上司・先輩の指導
- ケアマネになってからの研修(専門研修・更新研修含む)
これだけでも情報量が多すぎてそうそう覚えられたものではありません。
しかし、ケアマネの大変なところは、十分な研修や指導を受ける前に独り立ちすることが多いということです。
さらに言えば、研修の内容だけでは対応しきれないことが、序盤からドバドバやってきます。
僕も新人の頃、それでさんざん悩まされました。
そんなあなたのお役に立てればと思い、僕の体験を交えつつ、ケアマネとしての基礎知識を徹底解説していきます。
この記事では、ケアプラン第2・3表の書き方についてお話します。
ケアプラン 第2表を作ってみよう!
表紙であるケアプラン 第1表ができたら、次はサービス利用の肝となる、第2表を作ります。
上側の「作成年月日」「利用者名」「居宅サービス計画作成者」は、第1表のものが反映されますのでいじることはありません。
第2表は基本的に左側から埋めていく感じになります。
項目は左から順に、
- 生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
- 援助目標
・長期目標 期間
・短期目標 期間 - 援助内容
・サービス内容
・※1
・サービス種別
・※2
・頻度
・期間
順番に解説していきますね。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
「生活全般の解決すべき課題(ニーズ)」は、アセスメントの課題検討用紙にある項目と同じものです。
課題検討用紙からコピペでOKです。
そこで挙げた数だけ入力していきます。
この部分の文例を探してみると、たいていは「〇〇したい」という表現になっています。
いわゆるポジティブプランです。
周りのケアマネにも、そういう人が多いかもしれません。
それが悪いわけではないんですが、実際のところ、ここの書き方は「〇〇したい」だと決まっているわけではありません。
なぜポジティブプランが主流になっているかというと、ニーズという言葉の捉え方の問題なんです。
ある研究者はニーズについて、次のように述べています
「生活全般の解決すべき課題」とは、要支援・要介護状態になっても、可能な限り自分らしく生活すること。
つまりニーズとは、利用者の自立への意欲を指しているという考え方です。
これ自体はケアマネジメントの理念として正しいものです。
ただ、ニーズとは言いつつも「解決すべき課題」なのだから、ここには「現状の生活で困っている事」を書いた方が適切なのではないでしょうか。
そして、自立への意欲にあたる「〇〇したい」「〇〇のようになりたい」とは、目標に当たるものではないでしょうか。
そこを取り違えたことに端を発し、「生活全般の解決すべき課題」と「長期目標」の区別がつかない書き方が定着してしまっていると考えられます。
この欄には、課題検討用紙を作成する時点で、解決しなければならないことを優先的に挙げるよう意識してほしいです。
援助目標
①長期目標・期間
課題の欄に「〇〇したい」が定着しているのに対して、目標は「〇〇できる」が定番ですね。
目標の設置とは到達点のことですから、目標に到達した時「〇〇できるようになった」という文章がしっくりくるので、「〇〇できる」という書き方は適切かと思います。
長期目標は、定めた期間においての最終到達点のことです。
最終とは言っても、その期間内での話ですので、プランを更新する際はまた新たな目標を定めることになります。
「足腰が弱って転びやすい」という課題があったとします。
「転ばないようにしたい」という本人の意向があるなら、それを踏まえて「転ばずに過ごせる(生活できる)」辺りが良いでしょう。
期間は、状況にもよりますが、サービス担当者会議当日(または訪問介護等のサービスが最初に入る予定の日どちらか)から始まり、要介護認定の有効期間の最終日までを記入しておけば支障ないです。
僕は、[ R〇.〇.〇~R□.□.□ ]って書き方をしています。
目標の設定は、解決すべき課題1つにつき1つです。
②短期目標・期間
短期目標でも、「〇〇できる」という表現を使います。
長期目標が「転ばずに過ごせる」であった場合、それを達成するための小目標を立てる感覚です。
例えば、「足腰が弱って転びやすい」が課題なら、
- 転びにくくなるよう、足腰を強くする(または今より弱くならないようにする)
- 転びにくい環境を整える
などを達成することで、長期目標の「転ばずに過ごせる」が達成でき、ひいては「足腰が弱って転びやすい」という課題が解決できるということです。
「〇〇できる」という表現に当てはめると(無理に当てはめなくてもいいですが)
- 転びにくくなるよう、足腰の筋力を向上できる(または筋力を保てる)
- 自宅内の段差につまずかないで歩ける(またはつかまりながら安全に歩ける)
などです。
言い回しは好きに変えていいですが、本人や家族が見てもわかりやすい言葉選びをしましょう。
「足腰の筋力」⇒「下肢筋力」では伝わりにくいです。
もしかしたら、中には「向上」なども微妙って言うケアマネがいるかもしれません。
まあ、それくらいはいいと思いますが。
期間は、基本的には長期目標の期間の半分とか、長くて1年くらいでいいでしょう。
長期目標の期間が3ヶ月ぐらいなら、同じにしてもいいかな。
また、作成するあなた次第ではありますが、↑の例のように長期目標を達成するのに2つ以上の短期目標が必要になる場合もあるので、そこは臨機応変に考えていきましょう。
援助内容
③サービス内容
ここには、実際にどんな支援を行うかを記入します。
短期目標ごとに設定していきますが、短期目標の主旨がはっきりしないと整合性に欠けることがあるので、その辺気をつけてください。
例えば、「転びにくくなるよう、足腰の筋力を向上できる」と短期目標を挙げている場合、支援方法として思いつくのはリハビリ・機能訓練ですね。
訪問サービスか通所サービスにするかはこの次に記入するので、ここではどんなリハビリ等をするかを挙げます。
と言っても、「もも上げ訓練」とか具体的なものではなく、「下肢筋力強化訓練」とかざっくりしたので結構です。
具体的な方法はそのサービス事業所が、あなたのケアプランを元に独自の支援計画書を作り、決定してくれます。
下肢筋力強化訓練って専門的な言い回しなので、「足腰の筋力を向上(維持)する訓練」でもいいですね。
正直、僕はめんどくなっちゃって言い換えてないことが多いですけど。
また、福祉用具をケアプランに盛り込む場合は、その必要性をこの2表のどこかに書いておく必要があります。
この例で言えば、課題の時点で「足腰が弱って転びやすい」としているし、短期目標で「段差につまづかないで歩ける」(またはつかまりながら安全に歩ける)と挙げているので、杖・手すり等や段差を解消する福祉用具が必要だとわかりますよね。
でなければ、サービス内容の欄に「廊下につかまるところがないため、手すりを設置する」などでもいいです。
そんな感じで、「なぜ福祉用具を利用するのか」が第3者にもわかるようにします。
④※1・サービス種別
※1は、欄外下に書いてあります。
「保険給付対象かどうかの区分」について、保険給付対象内サービスについては〇を付す。
つまり、フォーマルサービス(介護保険上のサービス)であれば〇を付け、インフォーマルサービス(介護保険じゃないサービス)であれば〇は付けません。
インフォーマルサービスには、家族などの支援も含まれています。
お金が発生するサービスだけではなく、家族・近所・ボランティアなど、必要であれば支援をお願いすることもあるので、盛り込んでいきましょう。
ただし!
ケアプランに盛り込んだサービスや人にはサービス担当者会議参加の声掛けをしなければなりません。
スケジュール調整がつかなくて不参加になる分にはかまわないんですけどね。
また、本人の署名をもらった後でケアプランを交付しなければいけない決まりもあるので、むやみにプランに盛り込むのは考え物ですね。
サービス種別とは、「訪問介護」(=ヘルパー)とか「通所介護」(=デイサービス)等、サービス事業所の分類です。
インフォーマルサービスであれば、家族支援や配食サービスなどなどですね。
実際のところ、アセスメントの時点で利用するサービスはおおよそ見当ついてると思いますので、思った通りに入力しましょう。
⑤※2・頻度
※2も欄外下にあります。
「当該サービス提供を行う事業所」について記入する。
④のサービス種別に分類を記入してあると思います。
※2には、実際にサービス提供をお願いする事業所の名前を記入します。
サービス種別が「訪問介護」なら、「〇〇ヘルパーステーション」。
「通所介護」なら、「□□デイサービス」って感じで。
インフォーマルサービスでも同様です。
「家族支援」なら「家族」とか、「配食サービス」ならその業者の名前を入力します。
家族については、「子」など具体的にしてもかまいませんが、そこまでしなくていいと思います。
ちなみに、さらに言うと「セルフケア」(サービス種別)で「本人」(※2)とする場合もありますよ。
頻度とは、その支援の回数などのことです。
週2回訪問介護が入るなら「週2回」。
福祉用具貸与は「毎日」でいいでしょう。(購入や住宅改修は「単独」にすることが多いです)
割と記入は自由ですので、「利用時」とか「随時」とか、これかな?ぐらいの感じで入れてもらえばいいと思います。
利用者らの中には、ケアマネの介入前から、すでにやれることをやっている場合があります。
自分ででできる体操などのリハビリ、家族の通院介助など、アセスメントの上必要であったとしても、すでにやっていて、続ける意思もあることをわざわざケアプランに盛り込むのは、「言われなくてもやってるよ!」などの反感を買うことがあるかもしれません。
自分の中で「アセスメントの時点ではできていなくて、頼めばやってもらえること」みたいな、ケアプランに盛り込むか否かの基準を決めておいた方が良いと思います。
そして、サービス担当者会議の際にでも、「体操はこれからも続けてくださいね」等、一言添えておきましょう。
⑥期間
これで完成!ケアプラン 第3表
僕の事業所のシステムでは、第3表の作成年月日は1・2表とは別に入力しなければいけない仕様になっています。
1・2表と合わせましょう。
あなたの事業所ではどうかわかりませんが、印刷前にチェックしておきましょうね。
サービス担当者会議の時(または前日までに)支援の日程を事業所と話し合い、その通りに記入してください。
インフォーマルサービスも入れて良いんですが、入れるとしたら1週間単位でスケジュールが決まっているものだけにして、記入後に見た目がごちゃごちゃにならないことを意識してくださいね。
主な日常生活上の活動
記入するのは主に、
- 起床
- 食事(朝・昼・夕)
- 外出予定(買い物等)
- 趣味活動
- 午睡
- 入浴
- 就寝
1日のおおまかな流れを知っておくと、サービスを入れる時間帯の目星がつきやすいというメリットがあります。
週単位以外のサービス
ここには1週間のスケジュールとは別のサービスを記入します。
主に福祉用具貸与やショートステイですね。
インフォーマルサービスで、例えば配食サービスなどはここに記入しても良いですね。
まとめ
ケアプラン第2・3表の作り方を解説しました。
ケアプラン作成において、特に時間がかかるのはアセスメント(課題検討用紙)ですが、特に文章に悩むのがケアプラン第2表と言えます。
「知識がなくてもわかりやすい言葉選び」だけでも大変なのに、「〇〇できる」だのなんだのって決まってるのは非常にやりづらいですね。
大事なのは、生活の困り事に対しての目標指向型(目標に向かっていくためのもの)であることです。
目標指向型だから「〇〇できる」という言い方がしっくりくるってだけの話なので、絶対にその言い方をしなきゃいけないわけではありません。
どうしても悩む時は、「ケアプラン 長期目標 文例」等で検索すると、100個以上の例をまとめてくださっている方のサイトがすぐ見つかりますので、参考にしてみてはどうでしょうか。