新人ケアマネとして活躍するあなた。
覚えること、山ほどありませんか?
- ケアマネ試験合格からの実務研修
- ケアマネ事業所の上司・先輩の指導
- ケアマネになってからの研修(専門研修・更新研修含む)
これだけでも情報量が多すぎてそうそう覚えられたものではありません。
しかし、ケアマネの大変なところは、十分な研修や指導を受ける前に独り立ちすることが多いということです。
さらに言えば、研修の内容だけでは対応しきれないことが、序盤からドバドバやってきます。
僕も新人の頃、それでさんざん悩まされました。
そんなあなたのお役に立てればと思い、僕の体験を交えつつ、ケアマネとしての基礎知識を徹底解説していきます。
この記事では、注意して扱わないと後で面倒な目にあう、介護報酬と加算についてお話します。
介護報酬とは
介護報酬とは、介護サービスを提供した際に支払われる報酬、つまり利用料金です。
介護報酬には、基本報酬と加算があります。
特に加算とはなんなのかを解説していきますね。
利用者さんや家族に料金の説明をする時、「〇〇の加算がつきます」などと説明するかと思いますが、案外「加算」というものにピンときてないものです。
日常生活で使わない単語ですからね。
たいていはスルーされるんですが、万が一質問されても、クールに、エレガントに返答できるよう、加算の基本を確認しておきましょう。
基本報酬とは
基本報酬とは、介護サービス事業所ごとに設定されている最低限の料金です。
サービス利用票を見てもらうとわかると思いますが、
デイサービスなら「通所介護〇〇」
ヘルパーなら「身体〇〇」・「生活〇〇」
などのサービス名が書いてあり、それぞれ料金が設定されています。
(〇〇には、利用時間や要介護度等に応じた数字が入ります)
加算とは
加算とは、基本報酬に上乗せして請求する料金のことです。
種類は数えきれないほどあるんですが、大きく分けると
- サービス内容に追加することで上乗せされるオプション料金
- 基本報酬に自動的に上乗せされるデフォルト料金
って感じで覚えてもらうとわかりやすいかと思います。
※「オプション料金」等は正式名称ではありません
(ここからの説明は便宜上、「オプション加算」と「デフォルト加算」と呼称します)
どちらも事業所によって設定が違うので、利用する場合は事前に「加算は何がありますか?」等確認しておきましょう。
加算の一例
先述の通り、加算の種類は多岐にわたるので、加算の一部を例として紹介します。
オプション加算
入浴介助加算Ⅰ・Ⅱ
入浴介助加算は、通所介護(デイサービス)や通所リハビリテーション(デイケア)で算定される加算です。
以前は種類がなかったんですが、令和3年度よりⅠとⅡが設けられました。
- 入浴介助加算Ⅰ
自立支援や体調観察を含む通常の入浴介助を行った場合 - 入浴介助加算Ⅱ
医師等が自宅を訪問して個別の入浴支援が必要であることを確認し、通所サービスの機能訓練指導員や理学療法士等への指導・連携を行いながら、Ⅰの入浴支援を行った場合
用件はもっと細かいですが、ざっくり言うとこんな感じです。
ⅠとⅡを一緒に算定することはできません。
Ⅱを算定した人は、僕はまだ関わったことないですね。
個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱ
デイサービスではよく、みんなで一緒に体操やレクなど行っていると思います。
個別機能訓練加算は、通所介護で、みんなでやる体操等の他に、個別に計画して実施される機能訓練です。
Ⅰ・Ⅱとありますが、令和3年度の介護保険改正から内容ががらっと変わっています。
改正前の「Ⅰ・Ⅱ」が統合されて「Ⅰ」に。
LIFEへの情報提出を要件に、Ⅰに加えて「Ⅱ」を一緒に算定できるようになりました。
ちなみに、少ないかもしれませんが、短期入所生活介護(ショートステイ)でも個別機能訓練加算はあります。
【参考】
QLCシステム株式会社 通所介護の個別機能訓練加算
令和3年度改正までは試行段階であった「CHASE」(チェイス)と、リハビリ情報に特化したデータベース「VISIT」(ビジット)を一体的にしたもの。
科学的介護推進体制加算
科学的介護推進体制加算は、令和3年度から新設された加算です。
居宅・施設ともに、LIFEを活用してサービス提供に活かすことで算定できます。
以下は、科学的介護推進体制加算以外にLIFEの活用によって算定できる加算です。
- 個別機能訓練加算Ⅱ
- 口腔機能向上加算Ⅱ
- ADL維持等加算Ⅰ・Ⅱ
- 栄養アセスメント加算
- リハビリテーションマネジメント加算Aロ・Bロ
算定要件さえ満たしていれば一緒に算定できるみたいです。
デフォルト加算
初回加算
初回加算とは、初めてそのサービスを利用した月に、1回だけ算定できる加算です。
デイサービスやショートステイなどでは算定できません。
令和3年度から訪問入浴で算定できるようになりました
介護職員処遇改善加算
介護職員処遇改善加算(以下、処遇改善)とは、介護職員の賃金向上を目的に、前身である介護職員処遇改善交付金から引き継ぐ形で、2012年から始まった加算です。
昇給と介護の資質向上をひもづけるキャリアパス要件と、職場環境など賃金以外の改善の取り組みを指す職場環境等要件を満たすことで算定できます。
これによって介護職員の平均月収が数万円上がったとか、そんな気がするとか・・・。
介護職員特定処遇改善加算
介護職員特定処遇改善加算(以下、特定処遇)とは、「経験・技能ある介護職員」の賃金向上を目的に、処遇改善に上乗せして算定できる加算です。
2019年より始まりました。
「経験・技能ある介護職員」とは、10年以上介護福祉士やってる人を指しますが、それを基準に詳細は事業所ごとに判断して良いっぽいです。
該当する職員は、賃金の月額が8万円相当アップで計算されますが、これもまた事業所ごとの裁量で、10年未満等の職員への配分を決定します。
単純計算で説明すると、10人中4人が該当している場合、
月8万円×4人=32万円を、この4人が多めにもらえる配分で、10人全員に分配するということです。
例えば、該当する4人は約4万円ずつ、それ以外の6人は約2万6千円ずつ・・・みたいな。
(事業所によっては全員とは限らないし、手取りとして8万円きっかりもらえるわけではありませんが)
特定処遇が公表された時は中堅・ベテラン職員は狂喜乱舞したかと思いますが、体感での賃金アップは8万円に満たない場合がほとんどだったそうな。
サービス体制強化加算
サービス体制強化加算とは、そのサービスの質を高めるための基準を満たした場合に算定できる加算です。
介護福祉士などの資格を持っていることや、勤続年数が主な算定要件です。
ケアマネが算定できる加算の一例
初回加算
同じ初回加算でも、他のサービスとはちょっと要件が違いまして、次の3パターンで査定できます。
- 新規に居宅ケアプランを作成した場合
- 要支援者の認定が要介護に変更になって、居宅ケアプランを作成した場合
- 要介護1⇒3など、要介護区分が2段階以上変更となって、新たに居宅ケアプランを作り直した場合
入院時情報提供加算
入院時情報提供加算とは、利用者さんが入院した際に、ケアマネから入院先の病院へ介護情報を提供する事で算定できる加算です。
入院後3日以内でⅠ、7日以内でⅡを算定できます。
退院・退所加算
退院・退所加算とは、入院していた利用者が退院するに当たり、ケアマネが病院に訪問し、入院中の治療状況やADL等の状態について情報提供を受け、退院後のサービスについてなど検討する等した際に算定できる加算です。
コロナ過のこともありますが、テレビ電話等を使っても良いそうです。
要件が小難しいのですが、情報提供を受けた回数(1~3回)と、その内最低1回は以下のメンバーでカンファレンスを行っている場合で算定できる単位数が違います。
- 本人や家族
- 病院の医師及び看護師等
- ケアマネ
- 在宅に関わる医師・歯科医師・薬剤師等
- ケアマネの介護サービス事業所
※③~⑤で計3者以上の参加が必要
退院に合わせて新規に居宅介護支援を受ける場合もあると思いますが、退院・退所加算を算定する場合は、初回加算との併用はできません。
委託連携加算
委託連携加算とは、居宅ケアマネが地域包括支援センターから予防支援の委託を受けた際、包括職員がその利用者に関する必要な情報の提供や、介護予防サービス計画作成に協力(サービス担当者会議に参加するなど)することで算定できる加算です。
委託を受けた月に、利用者一人につき1回だけ算定できます。
初回加算との併用も可能です。
もともと、予防支援のケアマネジメントに関して、地域包括支援センターの負担が大きかったこと、委託の報酬が安いため受けてもらえる居宅ケアマネの確保が大変だったことなどを受けて、委託しやすくなるように令和3年度から新設されたとか。
だったら委託の報酬とか業務内容を見直せばいいのにと僕が思っていることは、僕とあなただけの秘密です。
まとめ
ケアマネは、自分の分だけでなく、他の事業所の介護報酬のことまで、ある程度把握しておく必要があります。
ただ、全てを把握するのは難しいと思うので、新規以来の都度、加算などについて確認するようにした方が無難です。
こちらが手を抜くと、請求に関して相手に大きな迷惑をかけることもあり得るので、信頼関係を保持するためにも頑張って覚えてくださいね。