新人ケアマネとして活躍するあなた。
覚えること、山ほどありませんか?
- ケアマネ試験合格からの実務研修
- ケアマネ事業所の上司・先輩の指導
- ケアマネになってからの研修(専門研修・更新研修含む)
これだけでも情報量が多すぎてそうそう覚えられたものではありません。
しかし、ケアマネの大変なところは、十分な研修や指導を受ける前に独り立ちすることが多いということです。
さらに言えば、研修の内容だけでは対応しきれないことが、序盤からドバドバやってきます。
僕も新人の頃、それでさんざん悩まされました。
そんなあなたのお役に立てればと思い、僕の体験を交えつつ、ケアマネとしての基礎知識を徹底解説していきます。
この記事では、毎月最低でも利用者には必ず交付する、サービス利用票・利用票別表についてお話します。
サービス利用票と給付管理
サービス利用票とは、あなたが作ったケアプランに沿った介護サービスが、その月の何曜日に実施され、その料金がいくらかが記載される書類です。
料金については、介護保険が適用になる(1~3割の自己負担の対象になる、または一部の加算)分のみの記載になります。
デイサービスの昼食費とか、ショートステイの居室料などは記載されません。
その、介護保険が適用になる部分の料金を介護報酬と言いますが、
- ケアプラン通りに介護サービスが提供されているか
- 事業所に適切に介護報酬が支払われているか
- 利用者から自己負担分の料金が適正に徴収されているか
などを管理することを給付管理と言います。
その給付管理に際して作成しなければいけないのが、サービス利用票というわけです。
サービス利用票・利用票別表
それぞれ解説していきますね。
①サービス利用票
サービス利用票(以下 利用票)は、居宅サービス計画書第6表に位置付けられています。
6表って呼んだことないけど。
利用票の上部は、台帳に登録した内容がそのまま反映されるシステムを利用している事業所がほとんどだと思いますので、特にいじる事はありません。
確認印の欄は令和3年度からなくなっているかと思います。
利用票作成時に必ずチェックしとくべきところだけお話ししますね。
区分支給限度基準額
区分支給限度基準額とは、1ヶ月に利用するサービスのうち、1~3割の自己負担が適用される料金の上限のことです。
要介護度が重くなるほど、上限が釣り上がります。
例えば要介護3の方だと、上限額は27,048単位/月です。
1単位=10円で、27,048単位とは、27万と480円分のサービスを利用したら、1割負担で2万7千と48円の支払いということになります。
自己負担分の介護費がこの数字を1単位でも超えると、超えた分だけ10割負担になります。
限度額27,048単位で介護費が27,148単位だった場合、100単位オーバー分=1,000円を追加で支払うということです。
限度額を越えちゃうと利用者の家計に大打撃を与えることもあるので、ケアマネはできるだけ、この限度額を超過しないように調整していく必要があります。
「超えてもいいから」っていう利用者・家族もたまにいますけどね。
1割負担を基準に、利用者の収入が多い程割合が高くなります。
収入は年金、不動産等の不労所得(家賃収入や売却含む)等なんでも、とにかく確定申告の結果等を見て判断されます。
1年ごとの更新なので、今まで1割負担だった人が、次の1年間だけ3割負担になった・・・ということはざらにあります。
区分支給限度基準額の計算は1割負担(1単位=10円)計算になっていますが、3割負担だった場合でも、1割で計算されます。
なので、区分支給限度基準額としては一旦1割で計算され、料金としてはその3倍の金額(3割負担の場合)が徴収されることになります。
前月までの短期入所利用日数
前月までの短期入所利用日数が記載されている理由ですが、短期入所(ショートステイ)は、「その利用者の介護認定の有効期間のおおむね半分を超えて利用しないようにね」という規定があるんです。
認定の有効期間が1年間なら、ショートステイは半年以内にしましょうということです。
毎月平均15日以内ってことですね。
なぜそんな規定があるかと言うと、国としては在宅介護による自立支援を推進している中で、あんまり長くショートステイを利用されると、「もうそれ施設入所じゃん」って話になるので、それじゃあ在宅介護推進に反しているからです。
ただし、虐待や被災などの理由で、どうしても自宅に戻れない事情がある利用者もいます。
そんな人にまで無慈悲に「おうち帰りなさい」なんて言えないので、どうしても規定以上の日数を利用しなければいけない場合は、「短期入所利用日数が認定有効期間の半数を超える理由書」(市町村によって名称は違う?)を提出しなければなりません。
理由書の記入方法や添付書類はそれぞれだと思うので、あなたの市のものを確認してみてくださいね。
サービス内容
ここからが利用表のメインですね。
ここには各介護サービスの、
- 提供時間帯
- サービス内容
- サービス事業者・事業所名
- 月間サービス計画及び実績の記録
という欄にそれぞれ記入していきます。
順番に説明するとかえってわかりにくいので、記入の流れで説明しますね。
例えばケアプランにデイサービスを盛り込んだとします。
どの事業所を利用するかもすでに決まってると思うので、事業所名にはそのデイサービスを入力します。
提供時間帯は、デイサービスによって違いますが、「そのサービスを利用する時間」のことです。
サービス内容とは「どんな支援をするか」ではなく、介護報酬上の報酬名・・・と言えばいいかな?
デイサービスなら「通所介護〇〇」等が入力されます。
「〇〇」は、利用時間や利用者の要介護度に応じた数字が設定されており、あなたがお使いのシステムに登録してあれば、提供時間帯を入力すると自動で反映されると思います。
入力するのはそれだけではなく、事業所ごとに設定している加算(時には減算)というものが必要になります。
加算・減算は事業所ごと・サービスごとに多岐にわたるので割愛します。
「通所介護〇〇」というのが基本報酬に当たり、オプションで選べるものから自動的につくものまである、一種の追加料金みたいなのが加算です。
減算とは、事業所的にはペナルティみたいなもので、その名の通り、利用料金から差し引かれるものです。
最後に月間サービス計画及び実績の記録ですが、週2回、火・金曜日の利用であることを入力すると、各週の火・金曜日のところに「1」と入ります。
「2」以上の数字が入るケースはあまりないので割愛しますが、まあ単純に「1」は「1回」と考えてください。
また、各欄に「予定」と「実績」と書いてありますね。
「予定」は、「今月この日にサービス提供する予定ですよ」ということです。
「実績」は、「今月の予定に対して利用状況はこんな結果でした」ということになりますので、これを作成する時点では気にしなくて大丈夫です。
②利用表別表
利用表別表は、サービス利用表に記入されたサービス内容に応じた料金が表示されます。
利用表から勝手に反映されるので、入力に関してこっちを直接いじることはありません。
記載される料金は先述の通り、介護報酬に限ります。
1か月のサービス提供が終わると、各事業所から1か月分の利用実績が渡されるわけですが、その実績に書かれた料金と、この利用表別表の料金が完全に一致しないと、サービス事業所にもケアマネ事業所にも介護報酬が入ってこないので、一致するまで収入が先延ばしになります。
場合によっては不当請求と疑われることも・・・。
また、下の方に「種類別支給限度管理」とあります。
これは各市町村で、例えば訪問介護の需要が供給を上回る可能性があると判断された場合、利用者一人につき訪問介護の利用料金に上限をつけることがあるのですが、その上限額を「種類支給限度基準額」と言います。
それが設定されている場合は、そのサービスの利用を基準額内に収めるよう調整しなければなりません。
まあ、設定されてる市町村はほとんどないみたいですけどね。
サービス利用表・別表の交付
提供するサービスが決まり、サービス事業所ごとの提供時間やサービス内容等が分かった時点で、利用表及び別表を作成します。
作成した利用表・別表はセットにして2部印刷し、本人・家族に1部を交付、もう1部は控えとして受け取り印(確認印)またはサインをもらいます。
それをもって、「この月の予定について了承しました」という意向を得たことになります。
毎月のモニタリングと一緒に交付して、「〇月分の利用票を交付し、了承頂いた」等の記録を加えておきましょう。
交付時期はなるべく早い方が良いので、サービス利用開始前、またはその月の前月に交付しましょう。
利用票・別表の右上に「作成年月日」とありますが、これは「利用者に交付し了承を頂いた日」になりますので、交付しに訪問する日付を入力します。
ちなみに、令和2年度から押印は不要になりましたが、あなたの事業所の方針に合わせて交付を行ってください。
僕の事業所では、念のため印かサインは継続してました。
利用票・別表の交付は毎月の必須事項なのでお忘れなきようにお願いします。
要支援者の場合、押印等をもらった利用票を地域包括支援センターに提出しなければいけないので、なおさら忘れると大変ですよ。
ちょっと面倒なのが、せっかく訪問日を調整して利用票を持ってきたのに、モニタリングの結果変更が必要となった時と、利用者らからサービスの調整を頼まれた時ですね。
必要ならばやらないわけにはいかないので、作り直して再度訪問です。
ケアプランの修正が必要になる場合もあるので、その時は急ピッチ作業ですね。
ファイト!
介護保険によるサービス事業所へは、次で説明するサービス提供票を交付するのですが、介護保険外の事業所等には、利用者に交付したのと同じ利用票を交付します。
一部の例を挙げると、成年後見人、金銭管理委託業者、役所等にある生活保護関連事務所(生活保護受給者の場合)などです。
特に決まりはありませんが、利用者に押印等もらった利用票の方が確実ですので、コピーして交付しましょう。
サービス提供票・提供票別表
これを各事業所に交付しないと、原則実績をもらえないので、サービス利用開始前、または利用月の前月に必ず交付するようにしましょう。
提供票交付については確認印等も必要ないし、僕は記録もしてません。
事業所に「もらってないよ」と言われたら、すぐ印刷して持ってけばOKです。
なので例えば訪問介護、通所介護、福祉用具の3事業所を利用している場合は、提供票は共通のものが3部、別表が各事業所分1部ずつ印刷され、それぞれに交付することになります。
なので、提供票・別表は利用票と同じく「第6表・第7表」に分類されています。
ですが事業所によっては変更・調整した時点で早めに報告しておけば、差し替えを交付しなくても「実績で確認してください」って言ってくれますので、絶対差し替えとは限りません。
とは言え、口頭では伝え間違っている可能性もありますので、結局交付した方が無難なんですよね。
まとめ
サービス提供票・提供票別表は、それぞれの事業所に交付するものです。