日本の認知症患者の6~7割を占めるアルツハイマー型認知症。
あなたはどの程度ご存知ですか?
意外と、「アルツハイマーって何?」という方は、介護職員でも多いかもしれません。
この記事では、アルツハイマー型認知症の症状や原因について触れつつ、アルツハイマーとは何ぞやというお話しをしていきます。
認知症の定義がわかりにくい!厚生労働省とWHOとでちょっと違う?
アルツハイマー型認知症の症状
一般的にアルツハイマー型認知症では、次のような症状が見られると言われています。
- 記憶障害
- 見当識障害
- 理解力・判断力の低下
- 実行機能障害
- 物盗られ妄想や嫉妬妄想など
- 自発性の低下(意欲低下)
あくまで「一般的な症状」でして、これらが全て見られるわけでもないし、これ以外の症状が見られる場合もあります。
後述しますが、アルツハイマー型認知症では脳の広範囲に萎縮が見られます。
その中でも、記憶に関わる海馬の萎縮が見られ、記憶障害に至るケースが多いため、アルツハイマー型認知症の初期症状=記憶障害というイメージがあるんですね。
もちろん萎縮の度合いはそれぞれだし、萎縮する部位も海馬だけとは限らないため、人によって症状の出方が違います。
そもそも、萎縮したことで症状が出たのか、萎縮と無関係に症状が出て、並行して萎縮していったのかもはっきりしていませんね。
萎縮がなくても脳の機能低下は起こりますし。
アルツハイマー型認知症の原因
アルツハイマー型認知症の原因として有力とされていたのが、アミロイドカスケード仮説(またはアミロイド仮説)です。
アミロイド仮説とは、脳内にアミロイドβという異常なタンパク質が溜まり、神経細胞を破壊することで認知症を発症するというものです。
アルツハイマー型認知症に女性の患者が多いのは、女性ホルモンであるエストロゲンが閉経後に減少することで、アミロイドβが増えてしまうためとも言われています。
一説では、アミロイドβは15~20年間の蓄積によってアルツハイマー型認知症に至るとのことです。
その蓄積し始めた時期によっては、若年性での発症もあり得ます。
事実、この世で初めてアルツハイマー型認知症とされた女性は、発症当時46歳だったそうです。
2021年6月、アルツハイマー型認知症の新薬アデュカヌマブがアメリカで売られるようになりました。
これはアミロイドβを根こそぎやっちまおうという薬だそうです。
また、2023年12月には、さらなる新薬レカネマブが日本でも承認、販売されています。
ですが、近年ではアミロイド仮説を疑問視する声もあります。
他にも諸説あるんですが、例えば「記憶障害がどのように起こっているのか」まではわかっていても、その記憶障害が起こる根本的な原因はわかっていません。
結局のところ正確な原因はわからないというのが現状です。
アルツハイマーと認知症の違い
【アルツハイマー型認知症】
というひとつの病気だと一般的には思われがちですが、少し違います。
正確には、【アルツハイマー病によって認知症状が発現した状態】のことを、【アルツハイマー型認知症】と言います。
よく「認知症は病名ではありません」って研修会等で耳にしましたが、そういうことだったんですね。
なので、アミロイドβの蓄積によって起こるのはアルツハイマー型認知症ではなく、アルツハイマー病なんです。
ただ、先述の通りアミロイド仮説は疑問視されてきているため、認知症の原因としてははっきり言えなくなりましたね。