認知機能障害とは、
- 記憶障害
- 見当識障害
- 失語
- 失認
- 計算障害
- 視空間障害
などがよく聞くところです。
一般的に中核症状と言われていますね。
対して周辺症状とは、中核症状に起因する生活上の支障を現しています。
- 徘徊
- 段取りができない
- 料理ができない
- ゆううつ
- 尿失禁など
これらは円滑な食事を妨げる要因になりますので、適切な対策を講じなければなりません。
この記事では、落ち着いて座ってくれず、食事を中断してしまう認知症の方に食べてもらえるように、原因別の対応方法を紹介していきます。
介護職員に中核症状・周辺症状の知識は無駄?
食事中・介助中にむせる方への対応
原因を見極める際のポイント
落ち着いて座っていられない方の原因を見極める際のポイントは2つあります。
- 状況の把握ができない
- 感情が不安定
認知機能障害により、記憶障害、見当識障害、理解力低下などが起こります。
すると、本人は「なぜここにいるのか」や、「目の前にいる人(介助者・家族など)が誰か」がわからず、不安感を抱くのです。
仮にわかっているとしても、自分の状況をうまく説明できないことで周囲から孤立することも少なくありません。
また、介助者・家族などから指示や励ましの声掛けを受けても、それを「怒られた」ように受け取ったりして、怒りの感情を抱いたり、自信を喪失する場合があるんです。
「感情」は認知機能がいくら低下しても、本人の中に存在します。
それを「表出できるかできないか」、「覚えているかいないか」の違いです。
どちらにせよ、感情は生活の中で蓄積されていくものなので、不適切な環境や対応によって不快感が蓄積されていくと、周辺症状の出現につながります。
自分のことをうまく説明できない方に適切な環境を整えることは難しいですが、本人のバックグラウンドを把握した上で対応していくなどのケアが重要なんですね。
原因に応じた対応方法
徘徊がある
徘徊には、「家に帰りたい」などの理由がある徘徊や、なんとなく落ち着かずにする徘徊、同じところを何度も往復する常道的な徘徊があります。
どの場合でも、食事には集中できない状況ですよね。
まずは徘徊の理由を明確にしましょう。
直接理由を聞く、好きな話題、生活歴などの言語コミュニケーションから正解が得られる場合があります。
また、尿意・便意、体調不良などによる不快感が理由である可能性もあるので、状態観察は必須です。
自力摂取動作がうまくできない場合も、その憤りが落ち着かない原因になったりするので、声掛けや必要な介助などで対応していきましょう。
帰宅願望がある場合、本人がこれまで行ってきた家事や炊事、庭仕事などの生活習慣を取り入れることで、作業後に「そろそろご飯にしましょう」という流れに持っていきやすくなります。
施設などの生活では、どう頑張っても在宅時の日課を行えずに困惑するケースが多いので、「自分の役割」を得ることで徘徊が落ち着くこともまた、多いです。
職員は「動作を指示する」側に回りがちですが、逆に「利用者さんに教えてもらう」という対応も、その人の生活習慣に沿うことにつながります。
たまに外食や出前を取るなどして、自分の好きなものを選んで食べることも良い方法です。
興奮・暴力がある
職員や他者への暴力や暴言、自傷行為があって、ケアを十分に提供できない場合があります。
食事の席でそういうところが見られる場合は、席配置の変更や周囲との関係の調整が必要です。
興奮や暴力の理由を無理に聞き出すよりも、(周囲の危険を排除した上で)見守りや観察しながら、わかりやすい声掛けをしていきましょう。
場合によっては向精神薬などが処方されるかもしれません。
一時的にそういう薬が必要な場合もありますが、まずは観察によってその感情の原因を探り、精神の安定を図りたいところです。
徘徊の時のように、本人の生活習慣に則った役割の提供が効果的だったりします。
記憶障害がある
即時記憶障害など、直前のことを覚えていられないような障害がある場合、何かで注意が削がれて食事を中断してしまうと、「あれ?今なにしてたんだっけ?」となって、そのまま席を立ったり別のことをしてしまいがちです。
そんな方に「今ご飯中でしょ!」という風な声掛けはご法度です。
自尊心を傷つけて、余計に席に戻ろうとはしないでしょう。
この場合は、別に食事をしたくないわけではないので、優しい声掛けでさりげなく誘導すればまた食べ始めてくれます。
テレビや人通りなど、注意を削がれる環境を調整するようにしましょう。
静かな音楽などでリラックス効果を誘うのも有効ですよ。
まとめ
落ち着かない方への対応のマストは、まずこちらが落ち着いて対処することです。
相手に不安感を与えないように、優しい声掛けや見守りに努めましょう。