なんとなくわかっている人も多いと思いますが、詳しく説明は案外できないものです。
いろんな視点から説明しますね。
介護と看護の文字としての違い
介護と看護は、どちらも心身の問題などから、誰かの助けが必要な人に提供されるものです。
まずは一回、辞書を引いてみましょうか。
介護の意味
病人などを介抱し看護すること
©広辞苑
おや?
「看護すること」が「介護」なのであれば、介護と看護は同じ意味ってことなのでしょうか?
看護の意味
傷病者に手当てをしたり、その世話をしたりすること、看病
©広辞苑
ちなみに、「介護の意味」で出てきた「介抱」も広辞苑で検索すると、看護の意味と全く同じ答えが出てきます。
ちなみに、「後見として世話をすること」っていう意味も含まれています。
なんかもう意味わかんないですね(;´Д`)
介護の始まり
「介護」の語源は、旧陸軍の兵士の病院で、介助の「介」と看護の「護」を合わせた用語であるという説があります。
広辞苑の記載はそこから来ている可能性がありますね。
1963年に老人福祉法が制定されたのをきっかけに、「介護」という言葉が公的に認められるようになっていきました。
老人福祉法を法的根拠にしている特別養護老人ホーム(以下、特養)は、もともと欧米のナーシングホームを参考にして設置されたものだそうです。
当時は看護師を配置する予定でしたが、看護師として医療業務を行うには看護師の資格が必要なため、人材不足からそれは困難となりました。
人材不足解消のために、特養の職員(当時は寮母と言いました)は資格がなくてもできる世話を行うこととして、「介護」という新しい観点での造語ができたそうです。
そのためか、広辞苑での意味は先述の通りですが、社会福祉用語辞典というものでは、介護とは「介助し保護すること」と記載されているそうです。
現代の僕らから見れば、こっちの方がしっくりきますよね。
介護と看護 業務内容の違い
それぞれの業務内容を見てみましょう。
介護業務
一般的な介護施設での業務内容を説明します。
身体介護
身体介護とは、食事・排泄・着替え・入浴や、洗顔や歯磨きなどの介助を行うことです。
他にも、ベッドから立ち上がって歩く・車いすへ移る、車の乗り降りなどの際の手伝いも含まれますね。
簡単に言うと、利用者さんの身体に直接触れて行う介助のことを身体介護と言います。
生活援助
食事の用意(調理から食後の片付けなどまで)・洗濯・掃除や、必要な買い物などの家事全般を行います。
家政婦さんの家事代行サービスを介護保険を介して受けるという認識ですかね?
通院代行なんかも含まれます。
簡単に言うと、、本人の代わりに行う場合は生活援助。
病院内で車いすを押したり、タクシーなどの乗り降りを手伝ったりすることは、身体介護というくくりになります。
訪問介護(ヘルパー)においては、生活援助と身体介護では料金が違います。
さらに「病院で受付をしたりタクシーを手配する」、「車いすを押したりタクシーの乗り降りの時身体を支える」の両方を行った場合、身体介護+生活援助として、また別途の料金計算が適応されるというわけです。
他にも見守り援助といって、例えば調理や掃除などを、本人にやってもらうよう促しながら、そばで見守ったり、必要に応じて手伝ったりする対応方法もあって、これは総じて身体介護として扱われると思います。
精神面のケア
生活する上での悩みなど相談に乗ったり、助言したりします。
利用者さん本人だけでなく、家族さんなどに対しても行うことが大事です。
特に在宅で暮らしている場合は、介護技術・知識のない方が主な介護者であることは珍しくありません。
そんな方に対して、食べやすい調理の仕方、福祉用具の使い方など、利用者さん本人がより良く介護を受けて生活できるように助言するスキルを要します。
社会参加支援
介護保険サービスを利用するような方は、
- 外出をしなくなった
- 近所の人と交流する機会が減った、
- 認知症などによってうまくコミュニケーションがとれなくなった
など、社会的に孤独な状態にある場合が多いです。
そのような方のために、在宅であれば、家族さんはもちろん近所の方などとの橋渡しや、デイサービスなどを紹介して交流の場を持てるよう支援します。
施設に入所されている場合でも、面会で家族さんと会うこともありますし、施設内で季節ごとの行事や、外部からの慰問など、いろんなイベントに参加してもらい、周囲との交流をとれるよう支援します。
ただそこに居るのではなく、楽しみや生きがいを作る支援をするのも介護です。
看護業務
診療の補助
お医師さんによる診療において、その補助的な役割を担います。
具体的には、
- 血圧や体温・脈拍などの測定
- 注射、採血
- 診療に使う器具の準備
などですね。
補助とは言え、この内容が患者さんの生命や健康を左右する場合も十分にあります。
責任重大な業務です。
援助・介助
外来だけでなく、入院中の患者さんにもケアを行います。
具体的には、
- 食事の配膳
- 排泄の補助
- 入浴介助
- 体位交換
などですね。
この辺の基本は介護と変わりありません。
患者さんに異変があれば、すぐにお医者さんに報告して、必要な処置を行います。
お医者さんに代わって、患者さんの体調などを観察・傾聴したり、診察結果の説明を行ったりすることもあります。
介護と看護の業務の違い
介護と看護は、介助を行う面では共通しています。
そうなると、「介助と看護」っていう介護の語源にも納得できますね。
介護と看護の業務内容の大きな違いは、専門性の高さです。
診療補助など看護業務の一部は「医療行為」と言って、医師や看護師など特定の資格・免許を取得していないと、行えないことになっています。
そのような資格・免許のことを、業務独占資格と言います。
一方で、国家資格である介護福祉士はどうでしょう。
介護福祉士がなくても介護はできますよね。
介護福祉士はどういう資格かって、ざっくり言うと、介護のプロですよってことです。
この資格を持っている人は、周りに対して介護福祉士であることを名乗って、「プロですから」アピールが出来るんです。
逆に、資格を持たずに介護福祉士を名乗ることはできず、名乗っちゃうと罰則があります。
そういう資格を、名称独占資格と言います。
悪い言い方しちゃうと、名乗れるってだけ。
こういうこと言っちゃうと
って思われるかもしれませんが、それはちょっと見当違いです。
介護福祉士は介護のプロっていうだけあって、介護技術や知識に特化しているポジションとされています。
専門性が高いのではなく、「国家公認の熟練者」ってことなんです。
看護師は日常生活上の介助など、介護業務と同じようなことを行いますが、介護福祉士ほどその技術は高くありません。
専門性と無関係に、国家資格は伊達じゃないんですよ。
心で見る介護と看護の違い
昔、こんなことを聞いたことがあります。
医療は、「今を生きるため」に行うもの
福祉は、「明日を生きるため」に行うもの
医療の目的は、病気やケガの治療を目指したものです。
治療することで、今日を生き抜くことを目指します。
看護は、今生きることを助ける仕事。
介護は、生活の中での困りごとを助けてもらうことで、「明日も生きよう」っていう思いを守る仕事です。
自分らしく生き生きと生活するって、多分そういうことだと思うんです。
介護と看護は似て違うものですが、これらは点と点でつながって、未来へ続く線になります。
医療と福祉のチームケアや連携が大事だってよく聞きますが、そういうことなんじゃないかな、きっと。
資格をとることは社会的信用につながる
介護福祉士も看護師も、今の世になくてはならない仕事です。
あなたのキャリアアップに必ず役に立ちますので、ぜひ試験に挑んでみてください。
CMなどでもしょっちゅう見かけるような大手企業だけあって、学習のサポートも万全です。
医療事務や介護事務をはじめ、関係資格の講座もたくさんあります。
僕も介護福祉士とケアマネ試験で大変お世話になりました。