デイサービスに困難事例を依頼したら衝撃の一言が・・・

僕は居宅ケアマネをしています。

在宅で要介護認定を受けた高齢者の方々に介護サービスなどを紹介する仕事です。
と言っても、ケアマネの仕事はサービスを紹介するだけじゃありません。

  • サービスの利用日の調整
  • ケアプランの作成
  • サービス担当者会議の日程調整と当日の進行
  • 毎月のモニタリング・その他必要に応じた訪問
  • 介護給付管理(請求業務)

大まかに言うと、こんな仕事をしています。

今回は、ケアマネの仕事の中でも、利用者さんと介護サービスをつなげる業務をしている時に実際にあったエピソードをお話しします。

 

こんな困難事例

以下に紹介する事例は一部脚色しています。

利用者Aさん

Aさんは70代女性。
家庭菜園と犬・猫を愛する方です。
徒歩やタクシーで外出もします。

ADL・IADLは割と保たれているものの、知的障害を持っており、長く精神科にかかっています。
週2回、精神科のデイケアにも通っています。

少し前に足首を骨折して入院し、それをきっかけに介護のデイサービスを利用したいとの相談を受け、僕が介入しました。

実は、この入院より1年程前にも僕が関わった経緯があり、しばらく利用を休んでて、この度再介入に至ったわけです。
その当時の介護認定は要支援1で、入院の際に見直しを掛け、要介護1となりました。

どんな困難?

困難事例と言われる理由はここからです。

自宅環境が困難

自宅の衛生環境が悪いです。
駐車スペースから玄関まで20mほど歩きますが、その間に自転車数台、ブラウン管テレビなどの粗大ごみから、中身がうかがい知れない可燃ごみ袋が複数・・・。
自宅内は、まだ歩くスペースと腰かけるスペースはありますが、さすがに腰かけたことはありません。

さらには多頭飼育です。
犬1匹、猫たくさん。

僕も動物好きなので、飼ってるだけならウェルカムです。
でもさすがに、玄関入ってすぐ掃除もされてないケージ(表現をかなりかなーり控え目にしてます)と汚れたにゃんにゃんが目に入ったら、こっちも正気を保つので精一杯ですわ。

家族関係が困難

家族構成は、本人・長男・長男の内縁の妻の3人暮らしです。

本人含め、全員が精神障害か知的障害を持っています。
とは言え、僕の訪問時に特に問題があるわけでもなく、(僕も深掘りしないからですが)関係は良好です。

ただし、内縁の妻にはヒステリーがあるようで、家庭内暴力がありました。
今でこそ警察の介入があって落ち着いていますが、本人も以前、中身入りペットボトル(500ml)で頭を殴られたと話しています。
強弱の程まではわかりませんが。

本人の夫は健在なのですが、地域包括支援センターの取り計らいで障害者施設のショートステイをずっと続けている状況です。
麻痺などの障害があるから入所しているわけですが、ロングのショートステイに至った原因は、暴力から逃れるためでした。

僕の知る限りは1回だけ、タクシーかなんかの人が腕を叩かれたそうです。

こういう事情があるため包括や障害者支援センターなどとよく地域ケア会議を開くのですが、本人はともかく、長男らはよくドタキャンします。

 

金銭面が困難

Aさん宅の収入は、本人の基礎年金のみです。
長男らは無色な上、パチンコによくいきます。

残念ながら、本人もよくいきます。

自己管理がずさんなため、日常生活支援事業による金銭管理を受けています。

要支援の時に関わっていた時は、長男らが介護サービスの料金をケチって事業所に乗り込んでくるということもありました。
(事件などには至ってません)
その時は、結果的にサービスを終了したため、僕のケアマネ業務も終了したというわけです。

今回はデイサービスをご希望で、実際通所支援は必要と判断できる状況ではあったのですが、介護サービス費のやりくりには金銭管理している事業所と何度も話し合いました。

デイサービスから言われて納得できなかったこと

そんなAさんとデイサービスをつなぐのが僕の仕事です。

つなぐ際には、あらかじめデイサービスに口頭や書面で情報提供しなければなりません。
話を盛ったり、嘘をつくことはできませんので、書面に詳しく、ありのままの姿見せるのよ。

軽く引くデイ

情報を見て、事業所側はさすがに軽く引いてました。

衛生面の問題までは良いとして(大変ですけどね)、以下の問題を取り上げられました。

  1. 暴力がある
  2. お金の問題で事業所に乗り込んできた経緯がある

暴力は、家庭内だけでなく、外部の人間にも及んだことがあるという点で、「送迎に出向く職員の安全が確保できないと・・・」ということでした。
ましてや、事業所に乗り込まれてはたまりませんね。
他の利用者さんにも何かあるといけませんし。

ここまでは、僕も慎重に行くべきところだと認識していたので、入念に協議していくことにしました。

軽く引く僕

制度上、デイ側は以上の問題点を理由にはサービス提供を断ることはできません(確か)。
家族の問題と、利用者が介護サービスを使うことは別の話ですから(多分)。

しかし、このデイはなかなか首を縦にふりません。
ちなみに、希望の曜日に空きはある状況です。

暴力などの問題があるので、こちらも強く言えないところではあります。
他のデイへの問い合わせも行いつつ、どうすれば問題点をクリアできるかを協議しました。

1.緊急時の連絡先で引く

デイを利用するに当たって、緊急時の連絡先を抑えることは普通のことです。

利用者Aさんの場合、自宅の固定電話の番号しか情報がありません。
(後日談ですが、長男らの携帯番号を聞いたら「それはちょっと…」と拒否られました)

なので、何かあればケアマネである僕か、包括の担当職員Bさんを緊急時連絡先とすることとしました。

これをデイに伝えたところ、返事は以下の通り。

ケアマネさんらが休みの日に何かあると困る

「あー・・・そうですか・・・」としか返せなかった僕の無能ぶりが憎い。

2.施設入所は?で引く

デイを利用するに当たって、施設入所などを考えているのか聞かれました。

以前の地域ケア会議で、「場合によっては施設も視野に」という話題もあったので、そのことを伝えました。
ただし、金銭面の問題などのため、施設はあまり現実的ではないことも併せて伝えています。

すると、次の返答が返ってきました。

施設入所など、その後の展望がはっきりしないと受け入れられない

ちょっと!

ちょっとちょっと!

他の利用者さんだったら絶対言わないよねそんなこと・・・。

3.とどめの一言に引く

ここまでで僕も引きはしたものの、Aさんを取り巻く状況を考えればデイ側の気持ちはわかるので、あまり食い下がれませんでした。

さてどこのデイなら受け入れてくれるかと考え始めたところでデイの管理者に言われた、とどめの一言。

他のデイじゃだめなの?

いやとっくに考えてましたけどもっ!!

・・・とも思いましたが、それ以上に、なんかがっかりしました。

まあそうだよね、他のデイで何が起こったって自分ら関係ないもんね。

福祉のなんたらかんたら

介護士時代の僕は、すごいやる気あるように思われてました。
キラキラ介護士とまではいかないと思いますが。

実際のところは、見えない所で手を抜きまくっていたペラペラ介護士だったと思います。

まあそれはどうでもいいんですが、少なくともこの件に関しては、管理者にもなった人間が何言ってんだと、ついプンプンしちゃいました。

こういう管理者が、部下には福祉の精神だ奉仕の心だとか言ってるんだろうか。
ペラッペラじゃん。

面倒ごとは他に押し付けようって精神で、よく介護なんてやってられるもんだと、むしろ関心しましたよ。

 

・・・はい、賢明な読者はとっくにお気づきだと思いますが、今回の記事は完全な愚痴です。

このデイとのやりとりは1ヶ月続きました。
Aさんは当時入院中だったので、急ぎはしなかったんですけどね。
もういっそ、はっきり断ってほしかったです。

その後ですが、別のデイに問い合わせして情報提供したところ、即日受け入れOKの返事をもらいました。

利用し始めたAさんは、そのデイを大変気に入っており、家族関係の問題も一切起きていません。

なんだかなーと思う、ケアマネージャー コンペイでした。