新人ケアマネとして活躍するあなた。
覚えること、山ほどありませんか?
- ケアマネ試験合格からの実務研修
- ケアマネ事業所の上司・先輩の指導
- ケアマネになってからの研修(専門研修・更新研修含む)
これだけでも情報量が多すぎてそうそう覚えられたものではありません。
しかし、ケアマネの大変なところは、十分な研修や指導を受ける前に独り立ちすることが多いということです。
さらに言えば、研修の内容だけでは対応しきれないことが、序盤からドバドバやってきます。
僕も新人の頃、それでさんざん悩まされました。
そんなあなたのお役に立てればと思い、僕の体験を交えつつ、ケアマネとしての基礎知識を徹底解説していきます。
この記事では、介護認定申請中に行う介護サービス調整の注意点についてお話します。
介護認定申請中の介護サービス
ケアマネは、事業所の契約に関係なく、希望されれば介護保険認定申請を代行します。
申請書は市町村によって様式が若干違いますので、あなたのいる市町村の様式に沿って代行業務を行ってください。
基本的には、申請の結果要介護認定を受け、そこから契約や介護サービス利用について検討する形になりますね。
認定結果は早くて1ヶ月と見ておきましょう。
しかし、場合によっては認定申請した直後から介護サービスを調整しなければならないことがあります。
- 入院中に申請したが、早くに退院が決まり、在宅復帰するのに福祉用具が必要
- 訪問介護などが必要になるギリギリまで申請していなかった
などの場合ですね。
認定申請中のサービス調整は慎重を期す必要がありますので、解説していきます。
新規申請中の介護サービス
初めて介護認定を申請する、または現在要支援認定を受けていて区分変更を申請する場合は、新規申請(または要支援者からの新規申請等)という扱いになります。
新規申請をした直後に支援することになった場合、認定調査の情報も手元にない状況なので、あなたが行うインテークやアセスメントから、おおよその認定結果を予測しなければなりません。
利用者からはいろんなサービス利用希望が聞かれるかもしれませんが、ほしいというもの全て盛り込もうとすると、区分支給限度基準額という問題が出てきます。
区分支給限度基準額は要介護度によって上限額が決まっており、むやみにサービスを盛り込み過ぎると、案外すぐオーバーします。
基準額がわかってればいくらでも調整はききますが、申請中は介護度を予測するしかないので、その予測が間違っていたらえらいことになるかもしれません。
介護士やケアマネを長くやってると、その人の認定結果の予測が割とつくようになります。
だいたいはその予測に合わせてサービス調整を始めるのですが、一番困るのは、「要支援2か要介護1くらい」という微妙な予測がついた時です。
要支援者の場合、訪問型サービスや通所型サービスは、それぞれその月1回でも利用すれば月定額の料金が発生します。
それ故に利用回数にも上限が出てきてしまうわけです(市町村にもよりますが)。
なおかつ、ふたつのヘルパー事業所、ふたつのデイサービスは併用できないという規定もあります。
(ヘルパーとデイのひとつずつの組み合わせはOKです。)
認定結果の見極めを間違えると、結果が出た後に区分支給限度基準額や利用回数をオーバーしていることが分かって、オーバー分利用者に大きな自己負担を強いることになってしまいます。
なので、要支援か要介護かの境目を予測しているなら、サービスは要支援で一旦見当する・・・
というか、要介護1以上の可能性が高くても、結果が出るまで区分支給限度基準額には余裕を持たせておくよう調整するのが正解です。
その旨を利用者・家族には必ず説明するようにしましょう。
あと、「要支援になるかもなー」と予測した場合は、地域包括支援センターに連絡しておきましょう。
包括からの紹介でなければ、要支援者と結果が出た後に「聞いてませんよ」と嫌味を言われることもあるので・・・。
次にお話しする更新申請でも、それは同様です。
ヘルパーやデイという通称は同じですけどね。
その支援内容も、身体介護を行わないなど、要介護者とはかなりの差別化が図られてます。
更新申請結果が遅延中の介護サービス
事情は様々なので割愛しますけど。
となると、やはり認定結果の予測をたててサービスを調整するわけです。
実際僕も、要介護2から要介護1くらいになると踏んでいたら、逆に要介護3になったという経験があります。
僕の見立てが悪かったのか、認定調査時に相当な演技をされたのかはわかりませんが・・・。
- 介護度が変わらないと踏んで今まで通りのサービス内容のまま
- 介護度が下がっても良いように、一時的にサービス量を減らす
利用者・家族から「オーバーしてもいいから」と言われれば、まあその限りではありませんけどね。
区分変更申請中の介護サービス
すでに介護認定を受けている方で、急な状態の変化があったばあい、有効期間満了を待たずして要介護度を見直すことがあります。
その見直しのための申請を区分変更申請と言います(言い方は市町村にもよります)。
区分変更の申請書を市に提出した日(申請日)から変更が適用されるので、15日に申請して要介護度が変わった場合、14日までは、変更前の要介護度になります。
デイサービスなどは要介護度で料金が変わるんですが、要介護1だった人が15日から要介護2になった場合、
- その月の1~14日までの利用分は要介護1の料金
- 15~月末までの利用分は要介護2の料金
これらを合わせて、その月の料金として請求します。
これが要支援と要介護の組み合わせになると料金計算が余計面倒になるんです。
詳細は割愛しますが、区分変更するなら月の1日付けで申請することをオススメします。
サービスについては、更新同様、結果がどう変わるかの予測をたてて調整します。
軽くなることを見越して区分変更するケースは少ないと思いますが、重くなると思ってても変わらない・軽くなる可能性は案外低くないので、最低でも現状のサービス内容を維持しておいて、結果が出てから増やすなりしましょう。
認定申請中の利用票・提供票はどうする?
認定申請中でも介護サービスを利用する場合、介護費の概算を出すために、介護度の予測をたてて利用票を試作する場合はあると思います。
では、その試作した利用票・提供票は交付するべきなのでしょうか?
市町村にもよるかもしれませんが、たとえ申請中でも、利用者・家族への利用票、サービス事業所への提供票は暫定として交付しなければならないようです。
結果が出たら、その介護度に修正した利用票・提供票を交付します。
ですが先述の通り、介護度が決まっていないと料金が定まらないサービスがありますよね。
交付するとしても、あくまで日程等の確認が目的になると思います。
気を付けてほしいのは、サービス事業所はともかくですが、利用者・家族は、ケアマネがたてた予測の介護度をうのみにする可能性が多いにあるという点です。
その結果が予測と違った場合、「話が違う!」とトラブルになる可能性もなくはないので、交付するなら慎重に説明しなければなりません。
正直ケアマネなんて「言った・言わない」の世界なので心許ないですが、言ったこと全部を文書化して渡すわけにもいかないので、説明した旨は必ずケース記録に残しておいてくださいね。