【図解】レビー小体型認知症とパーキンソン病、アルツハイマー病の違いを比較!介護の現場で役立つ知識

近年、レビー小体型認知症という言葉をよく聞くようになりました。

  • レビー小体病とどう違うの?
  • パーキンソン症状があるっていうけど、パーキンソン病とは違うの?

といった疑問もよく聞きます。

この記事では、レビー小体病とレビー小体型認知症の違い、パーキンソン病との関係などについて話していきたいと思います。

 

レビー小体病とレビー小体型認知症の違い

別の記事でお話ししておりますが、「アルツハイマー病とアルツハイマー型認知症の違い」は、「原因疾患と症状」という関係にあります。

アルツハイマー病(=原因疾患)により認知症状が現れた状態(=症状)です。

これはそのまま、レビー小体病とレビー小体型認知症の違いにも当てはまります。

レビー小体病によって現れる認知症状群が、レビー小体型認知症です。

 

レビー小体型認知症とアルツハイマー型認知症の違い~症状~

「レビー小体型認知症 症状」や「アルツハイマー型認知症 症状」と検索すれば、それぞれの主症状についての解説がたくさん見つかります。
それを見れば、見られる症状が全然違うことがわかると思います

それらは現場目線でも大変参考になるんですが、ちょっと気を付けてもらいたいところをお話ししますね。

↓の表は、レビー小体型認知症とアルツハイマー型認知症の症状の出方を比較したものです。

レビー小体型認知症アルツハイマー型認知症
認知機能記憶障害は比較的後から見られる
1日の間にも好不調に変動がある
初期症状に記憶障害が見られる場合が多い
徐々に低下していく
幻視多い少ない
妄想幻視から妄想につながる記憶障害から妄想につながる
徘徊少ない多い
睡眠障害寝ている時に大声で叫ぶなどの
異常行動がある
昼夜逆転傾向
パーキンソン症状ある少ない

参考:認知症サポートSOMPO 笑顔倶楽部

お気づきでしょうか?

こうして比較してみると、両者の境界線が大分あいまいですよね。

「ある」と「ない」じゃなくて、「ある(多い)」と「少ない」って、すげー微妙じゃないですか。

もちろん、この表が間違っているというわけではありません。

レビー小体型認知症も結果的にいろんな症状が出ちゃうので、アルツハイマー型認知症と誤診されてしまうケースが多いんです。

まあ、診断基準や脳で何が起きているかという医学的な視点では、両者は全然違いますけどね。

レビー小体病とパーキンソン病の違い~原因~

レビー小体病という病名が付いたのは1976年のことで、認知症の歴史の中では比較的新参者です。
その発見者が、日本の小阪憲司先生という医者です。

小阪先生がレビー小体病を発見するまでの経緯を紹介したサイトがあったので、引用します。(少し簡単にまとめますね)

55歳でアルツハイマー病と診断された男性には、認知症の症状が見られています。
同時に、パーキンソン症状が見られていました。
アルツハイマー型認知症でも末期になるとパーキンソン症状が見られることがありますが、まだ歩ける段階で見られるものなのかと、先生は疑問を持っていました。

男性が亡くなった後に病理解剖をしたところ、大脳には確かにアルツハイマー病のような所見があり、脳幹にレビー小体が多数見られるというパーキンソン病の所見もあったことから、当初はアルツハイマー病とパーキンソン病が合併して発症していたのかと考えられました。

しかし後になって、アルツハイマー病の所見がある大脳をより詳しく調べたところ、大脳にも多数のレビー小体があることがわかりました。

参考・引用:小阪憲司先生インタビュー記事 「臨床こそが原点」

レビー小体病は、大脳に多数のレビー小体が発生することで発症する病気です。
対してパーキンソン病は、脳幹にレビー小体が発生することで発症します。

もともとレビー小体は全身に発生するもので、全身病として考えられているという話もありますが、それがどこに多数発生したかで診断が変わります。

ややこしいことに、どちらもパーキンソン症状が見られるため、結果的に何が違うのかわかりにくいですよね。

「認知症の有無」という見方もできますが、

  • 認知症状の少ない(生活への支障が少ない)レビー小体型認知症
  • 認知症を伴うパーキンソン病

どちらも実際にあるんです。

これに加えて、アルツハイマー型認知症にも稀ながらパーキンソン症状が出る場合があるというから、何をもってそう診断しているのかわかんないですね。

 

レビー小体病とレビー小体型認知症の違い2~診断基準~

医学的な診断基準のことはさすがに僕もよくわかりませんが、ここまでの話をまとめると、ひとつの考え方が浮かびます。

ポイントは、

  1. 認知症状の少ないレビー小体型認知症があること
  2. 認知症を伴うパーキンソン病があること
  3. どちらもレビー小体の発生が関わっていること

というか、この記事の中ですでに答えを述べています。

レビー小体病は、大脳にレビー小体が発生することで発症する。
対してパーキンソン病は、脳幹にレビー小体が発生することで発症する。

言い換えると、認知症が先で、後からパーキンソン症状が出たらレビー小体型認知症。
パーキンソン症状が先で、後から認知症状が見られたらパーキンソン病。

結局のところ、【どっちが先か】程度の問題であって、レビー小体病もパーキンソン病も同じ病気だと思っていて問題ありません。

これはレビー小体病が発見されてからの考え方です。
パーキンソン病の研究はその100年以上前から始まっています。
(5000年以上前から治療は行われていたという説もありますが)