あの健康法が認知症をも防ぐ?
「われ、肉体と精神をより素晴らしく働かせるため、断食す」
古代ギリシャの哲学者プラトンの言葉です。
普通、栄養不足が長く続けば、身体機能はもちろん、脳の認知機能低下につながります。
しかし、矛盾するようですが、適切な方法・期間で栄養の制限を行えば、身体・認知機能を損なうことはないとされています。
2009年に「米国科学アカデミー紀要」に掲載された論文で、以下のような研究が行われたとあります。
高齢者を
摂取カロリーを30%減らす
好きなものを食べて良い
この2つのグループに分けて観察し、それぞれの記憶機能に差が出るかを調べたものです。
すると、①のカロリー制限を行ったグループは記憶機能がかなり向上しました。
一方で、②の制限なしのグループは、小幅ながら記憶機能が低下したという結果になりました。
脳の健康に対して、現在の薬による効果は非常に限られたものです。
しかし、この研究結果を利用すれば、高齢化に際して新たな予防と処置方法が開発できるかもしれないと結論付けられました。
ファスティングと断食
近年では”ファスティング”が健康と美容に良いと注目を浴びています。
ファスティングは断食とほぼ同じ意味で、定義としては明確な違いはありません。
一般的には、
断食:一切の食と水を絶つ厳しい修行みたいなもの
ファスティング:水や一部の食事が可能な、健康重視のダイエット
という認識で分けられているようです。
ファスティングは「プチ断食」とも言ったりしますね。
カロリー制限は大昔から認識された健康法であり、てんかん発作に関しては一番効果的な処置であると言われています。
さらには、アルツハイマー病やパーキンソン病のリスクの軽減できることがわかっています。
その処置として注目されているのが、 「ケトン食療法」
2005年のある研究では、パーキンソン病患者が28日間のケトン食療法を実施した結果、投薬等をしなくても著しい改善が見られています。
ファスティングが認知症に効果的な理由
ファスティングの7つの効果
ファスティングの効果は、体に様々な効果があります。
その効果は主に7つ。
内臓の休養
むくみの改善
ダイエット効果
体内酵素の活性化
免疫力を向上させる
若返りをサポートする
腸内の宿便・毒素の排出
一言でまとめると、ファスティングの最大の効果はデトックスによる腸内環境の改善・代謝の向上です。
腸活という言葉を聞いたことがある人は多いかと思いますが、腸内環境の改善はあらゆる健康効果があります。
その内の1つが認知症の予防・改善です。
腸と認知症の関係
なぜ腸と認知症が関係しているのか。
それは脳腸相関という概念に起因します。
脳と腸はそれぞれが独立しており、互いに信号を送り合っています。
例えば、「お腹を壊して痛い」時、食中毒などの原因になるものが腸に送られた時に、腸から脳に「やばいの来た!」と信号を送ります。
すると脳は、私たちに「腸にやばいの来たから教えてあげなきゃ!」と、痛みを感じさせる信号を発します。
このように、何らかの異常が起こった時に相互に情報交換をしているというのが、脳腸相関の考え方です。
実はこの状況自体が、認知機能を低下させる原因になっています。
腸に異常が起こっている時、他の内臓は機能を休止します。
異常の解消に全振りするためです。
同様に、脳も機能を休止します。
内臓にしても脳にしても、異常を解消するために機能を休止する期間が長ければ長くなるほど、内臓や脳はなまけ癖がついてしまい、どんどん機能を低下させていくんです。
食中毒のような急性なものでなくても、
慢性的な便秘
体に悪い食べ物の継続的な摂取
水分不足
などが原因で、疲れやすい・なんだかダルいなど、自覚があるかないか程度の慢性的な不調を起こします。
これが認知症の原因の1つになっているんです。
ファスティングにより腸内環境が改善することで、ちょっとした不調から認知症まで、予防・改善ができる可能性があります。
ファスティングは計画的に
今回お話ししているカロリー制限のポイントは、「とにかく食べるな」ということではなく、特に炭水化物由来のカロリー摂取を抑え、植物性脂肪を増やすことが重要です。
ただし、素人判断の断食・ファスティングはただただ健康を損なうだけなのでオススメできません。
しかしこれもまた、体調や病気によって左右されるところではあるので、決して自己判断では行わず、医師や専門家に相談してから実践した方がいいですよ。